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続・お仕置き記録帳 思春期原罪

マタイによる福音書より 

5章27節 『姦淫するな』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。  

5章28節 しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。

5章29節 もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。

5章30節 もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。




※警告※ 

あなたがこれから読もうとする小説は、フィクションです。

また、これらの小説は、成人向けの「大人の懐かしい思い出話」として書かれたもので、未成年者に対する体罰、暴力、虐待、性的ないたずら(大人が快楽を得る目的で未成年者の尻を叩 く行為を含む)、そして、それらに関連するあらゆる行為を、支持・奨励・助長することを意図して書かれたものではありません。私、太朗は、合法・違法を問わず、かかる未成年者に対する行為のすべてに絶対的に反対します。

また、この小説に、宗教的、政治的な主張は、一切、ございません。




一、孝一のパンツの染み

   ここは本州から遠く離れた南の島。亜熱帯気候に属し元日に海開きが行われる暖かい島だ。その島で半農半漁の自給自足の生活を営む鈴木孝42歳は、島にある教会に毎日曜日に通う敬虔な信者だった。

 鈴木家には、三人の息子、孝一(中1)孝二(小6)そして、孝三(小3)がいた。三人の息子たちの母、鈴木京子は、孝三を産んでまもまく病死し、それ以来、鈴木家は女気なしの男所帯であった。

 それは、外もまだ薄暗い日曜日の早朝だった。

 鈴木家の長男・孝一にとって、テンション大幅ダウンな日曜日の朝がまたやってきたのだった・・・

「あ〜〜〜、またやっちゃたぁ・・・これでもう三日連続だよ・・・しかも今日は日曜日か・・・あぁ、またか・・・やだなぁ・・・えぇと・・・四週連続でケツ叩きだ・・・」

とつぶやきながら、孝一は、隣で寝ている孝二と孝三に気づかれないように部屋をそっと出る。廊下にでると、布団の中では生温かく感じていたパンツの股間に、急に、ヒンヤリしたものを感じる。ブルッと思わず身震いする孝一だった。

 そして、再び、

「あぁ、またか・・・やだなぁ・・・四週連続ケツ叩き・・・」

とつぶやきながらも、足を忍ばせながら、孝一は、父親の部屋へと向かうのだった。孝一はガックリと肩を落としていた。

 そして、三度、

「あぁ、またか・・・やだなぁ・・・四週連続ケツ叩き・・・」

とつぶやくと、右手で自分のジャージのケツをさするようなしぐさをするのだった。

 もちろん、兄・孝一がそっと部屋を出ていくことに、弟の孝二は気が付いていた。寝たふりをしていたのだった。孝二は、兄貴が行ってしまったことを確認すると、ふとんから身を起して、

「孝一兄ちゃん、また朝、そっと部屋を出て行った・・・何があったんだろう・・・ケツ叩きって、愛のムチを受けるのかなぁ・・・」

と、つぶやくのだった。

「えっ!兄ちゃん、知らないんだ!!大きい兄ちゃんの秘密!!」

 孝二は、隣でまだ寝ていると思った孝三が布団の中でいきなり声を発したのにギョッとしながらも、

「えっ!おまえ、知ってるのか?孝一兄ちゃんの秘密ってなんなんだよ?教えろよ!!」

 孝三は、布団に寝たままニヤニヤしながら、

「フフフ・・・教えなーい!!」

といじわるく言う。

「教えろよ!!」

「フフフ・・・大きい兄ちゃんのパンツにね・・・フフフ・・・やっぱり教えなーい!!」

「兄ちゃんのパンツに、なんなんだよ!!」

と、孝二は、布団の中の孝三の上にまたがって、迫るように言うのだった。

 いつのまにか、孝二・孝三のヒソヒソ声は、かなり大きな声になっていた。オヤジさんの部屋から、

「コラァ!!孝二も孝三も、静かに寝てろ!!」

と、叱責の声が聞こえてくる。

 孝二と孝三は、ピタリと話すのをやめ、孝二は、自分の布団の中にあわてて再びもぐりこむ。

 中学生になった孝一と違い、まだ小学生の孝二と孝三には、「お仕置き記録帳」による躾けという現実があった。

 オヤジさんを怒らせお仕置きということになれば、「お仕置き記録帳」の不名誉な記録がまた一つ増え。クリスマスプレゼントからは一歩遠ざかり、あの泣いちゃうくらいお尻が痛い「愛のムチ」には一歩近づいてしまうからだ。

 父親の部屋にいる孝一は、弟二人が起きていたことを知り、もしやあのことに気づかれたのではと、ポッと頬を赤らめるのだった。

 孝一は、父親に促されるようにして、はいていたハーフパンツタイプの赤色ジャージを下ろすと、父親に自分のパンツを見せ、

「ごめんなさい・・・また悪夢をみて、パンツを汚しちゃいました・・・」

と、極々小声で、父親に耳打ちするように言うのだった。

 孝一は、その春から、島の中学校の一年生。

 そして、島の中学校では唯一の「運動部」であるサッカー部に、小学時代からの親友である山田信二とともに入部していた。だから、その赤ジャージの腰ゴムの下には「南島中学校 サッカー部」の金の刺繍がほどこされていたのだ。

 ジャージにこの刺繍がついていれば女の子にもてるという、島の男子たちの間では、羨望の刺繍つきサッカー部・赤ジャージであった。

 しかし、その一方で、孝一がジャージを脱いでオヤジにみせたパンツは、まだ白のグンゼブリーフであった。

 しかし、それは孝一に限ったことではない。島の男子中学生は、卒業して、就職するか、本土の高校へ入学し、島を離れて寮生活や下宿生活を始めるようになるまで、パンツは全員、白のグンゼブリーフだったのだ!!

 これは、いわゆる、南の島における男子パンツのガラパゴス化現象と言ってもよいであろう。

 それはさておき、孝一がパンツに思春期男子特有の「染み」をこさえ始めたのは、中学に入学して間もない頃からだったろうか。

 やや晩生の孝一ではあったが、長男が夢精をこくようになって以来、オヤジ孝は、友達や先輩に、まだ一人エッチのことを教えてもらえていない息子の要領の悪さに、「ったく・・・仕方のないヤツだ・・・」と思い始めていた。しかし、まあそれは早晩だれかに教わるだろう・・・父親とはいえ、親が首をつっこむことではないと、そのままにしていた。

 その日の朝も、「ああ、コイツ、また漏らしやがって・・・」と思いながらも、オヤジ孝は、無言でうなずき、気まり悪そうな長男・孝一に、

「気にするな・・・孝二と孝三にわからないようにパンツは乾かしといてやる・・・さあ、脱いで、パンツが乾くまで、父さんのパンツをはいていなさい。チンチンはそこにあるタオルでふいとけ。」

とやさしく言うのだった。

「はい・・・」

と小声で返事をする孝一。孝一の白ブリーフの全面には、透明でややクリーム色がかった、いかにも粘着感のある染みが、大きくベットリとついていた。孝一が健康な思春期男子である証拠だった。

  息子・孝一は、ねっちょりとした染みをこしらえてしまったブリーフを脱ぎ、タオルで股間をふくと、あの気持ちの悪さから解放されて、少しすっきりした気分で、オヤジの部屋のタンスから、オヤジのトランクスを出してはくのだった。

「父さんのパンツ、いつはいてもスースーした感じだよな・・・」

と思う孝一。しかし、その日の教会でのことが、再び頭をよぎって、パンツを替えた爽快感は、すぐに打ち消されてしまう。

 孝一は、オヤジに最後の助けを求めるかのように、べそをかくような声で、

「きょ、今日も教会に行かないとダメなの・・・」

と、甘えるように聞いてくるのだった。

 孝一の目は少し涙ぐんでみえた。

 孝一の目みて、孝の心に、

「神父様には黙っていればわからないから、今日は教会に行かなくてもいいぞ。」

と言ってやりたい気持ちがふつふつとわいてくる。

 しかし、オヤジ孝は、その息子を甘やかしたい気持ちを振り切り、

「そうだ、行かないとな!!今朝のことを神父様に報告しないといけない。パンツが乾いたら、履き替えなさい。お前が染みをこしらえたパンツも見てもらうんだ。それがお前のためだからな。」

と、心を鬼にして言うのだった。

「は、はい・・・」

と、あきらめたように肩を落とすと、孝一は、サッカー部の赤ジャージをはいて、そっと部屋を出ていくのだった。

「あぁ・・・恥ずかしいよな・・・また、あのパンツはいて、ケツ叩きだなんて・・・」

 部屋を出た孝一は、そんなことをつぶやきながら、やはり右手でケツをさすりながら、自分たちの部屋へと戻っていくのだった。

 息子が出ていくと、部屋に充満した鼻をつくような息子の男性自身より放出された粘液の青くさい臭いを感じながら、そして、息子のブリーフのフロントにベットリとついたクリーム色の粘液を見つめる父親の孝。 長男・孝一は、生物学的に一人前の健康な「雄」になったことを実感するのだった。

「そろそろ、俺自身が、アイツに、アレの仕方を教えてやる時なのか・・・」

 そんな、息子への性教育の必要性を思いながら、部屋続きの作業場へと降りていくオヤジ孝。

 その作業場で、孝は、漁に必要な網縄などの補修をしている。ナイフや鉈など、子供がいたずらをすれば、大怪我をする道具がたくさん置いてあるので、息子たち、とくに、孝二と孝三には、作業場に無断で入ったらお仕置き!!ときつく言い渡してある。さすがに弟たち二人も、「お仕置き記録帳」の「貯金」を気にしており、孝のいいつけを守っているようだった。

 孝は、作業場にかかった、いつもは漁から帰ってきた後に濡れた着衣などを乾かすための物干しざおに、長男・孝一の染みつきパンツを吊るすのだった。別に悪さをしたわけではない長男・孝一のプライドを少しでも弟たちの好奇の目から守ってやろうとする孝の親心であった。

 長男の染みつきパンツをしみじみと見直しながら、

「俺がアレの仕方を教えてさえやれば・・・孝一は、教会の福音教室で、恥ずかしい思いも、尻の痛い思いもしなくてすむ・・・」

と思うのだった。そして、ポッと頬を赤らめる。

「孝一に、いったいどうやって、アレのやり方を教えればいいんだ・・・そんなこと、オヤジが息子に教えることなのか・・・オレはたしか・・・そう中学時代の部活の先輩から教わったはずだ・・・」

と思う。 

 しかし、オヤジ孝は、すぐに首を横に振り 

「いや、そんなこと考える必要はないんだ。そんなことを考えることは、いつもお世話になっている、神父様の教えに背くことになる!!」

と思い直す。

 それは、信仰心というより、息子に対するオヤジのある種の照れくささかもしれなかった。どちらにしても、変に生真面目なオヤジ孝は、息子に一人エッチの方法を教える性教育にまでは、踏み込めないでいたのだった。




二、教会の福音教室



 午前9時。南の島に、教会の鐘が鳴り響く。そして、その鐘の音に導かれるように、島民たちの多くが、祈りを捧げるために教会へとやってくるのだった。

「なんだ!!孝一君はやけに浮かない顔しているな!!何かあったのか?」

と、教会へと向かう道すがら、山田信が、孝一に話しかけてくるのだった。

「あ、おじさん・・・こんにちは・・・」

と、元気なく返事をする孝一。

 山田信の息子、山田信二が、その場の間の悪さから孝一を救うように、

「オヤジは、うるさいよ!!孝一、先に行こうぜ!!」

と、孝一の肩に強引に右手を回し、父親から離れるように速足で教会への道を進むのだった。山田信の次男・信二は、小学時代は腕白少年グループのガキ大将であった。そして、小学時代より、孝一の親友でもあった。

「へへ・・・オレのことをオヤジって呼びやがって・・・アイツも生意気になったもんだ・・・」

とニヤニヤする山田信だった。

 そんな三人の後を追うように、孝一の父親・孝が速足で、山田信に近づいてくる。孝と信は、同い年の幼馴染で、わんぱくいたずら仲間でもあり、いまでも仲がよく、家族ぐるみの付き合いだった。

「オッス!」

「オッス!なんだ、孝一君、元気ないじゃないか・・・なにかあったのか・・・」

「いや、実は、今週もまた、なんだ・・・」

「えっ、そうか、元気いいなぁ!!ガハハハ!!」

「バァ〜カ・・・笑いごとじゃねぇよ・・・本人はあれでかなり悩んでいるみたいだし・・・」

「そうか・・・笑ったりして悪かった・・・でも、孝一君は、アレをまだおぼえとらんのか?」

 そういうと、山田信は、孝の顔を覗き込み、ニタリと笑ってウインクすると、右手で己のジュニアを扱くしぐさをするのだった。

「おい!!これから教会だぞ!!信、おまえは、いつも少し不謹慎すぎるぞ!!」

「ワハハハ!!お前は、真面目すぎるんだよ!!息子の慰め方くらい男のたしなみだろうが・・・お前が息子に教えてやれよ!!」

「・・・、そういうおまえはどうなんだよ・・・信二君はどうなんだ?もうおぼえたのか?アレを?」

「ワハハハ!!もうとっくの昔さ!!パンツに染みこしらえるのがピタリと止まったからな・・・兄貴の信一にでも教わったんだろう・・・」

「そうか・・・ならば、信二君に、孝一にアレのやり方を教えるように、言ってくれないかな・・・それとなくでいいんだ・・・信二君と孝一は仲がいいから・・・」

 そんな鈴木孝に、山田信は、はっきりとは返事をせず、話を変えるかのように、

「オレは、お前から教わったからな!!ワハハハ!!」

と返す。

「えっ!!そうだったか?」

と顔を赤らめる孝。

「いい年こいたオッサンが、顔、赤らめてんじゃねぇよ!!もう忘れたのか!!」

「悪い・・・」

「島の南の森に俺たちの秘密基地があっただろう?あそこでオレはお前からアレのやり方を教えてもらったんだぜ!!それで、俺たちの男同士の友情もグッと深まったってもんだ!!」

「そ、そうか・・・」

「ああ、そうだ!!」

「だったら・・・信二君にそれとなく頼んでくれないか?」

「実はだな・・・おせっかいだと思ったんだが、先週、福音教室のあと、毎週のようにケツ叩かれてる孝一君があまりにもかわいそうだと思って、信二にそれとなく言ってみたんだ・・・」

「おお、それはありがたい・・・で、信二君はなんて・・・」

「わからん・・・俺が信二の立場だったら、親友を救うべく、すぐにでも教えてやるんだが・・・息子は、今はできないって言うんだ・・・」

「どうして?息子と信二君は親友じゃないのか・・・」

「わからん・・・今回ばかりは、信二の考えていることがオレにもわからんよ・・・さっぱりだ・・・」

「おとうさーん!!待って!!」

と、後ろから追いかけてくる孝二と孝三の声に、孝と信の話は断ち切れるのであった。

 そうこうしている間に教会につく鈴木、山田の両父子。まずは、教会でいつもの祈りを捧げる。そして、それが終わると、中学生男子とその父親の有志だけが、教会二階の「教室」へと向かうのだった。

 南の島教会の歴代司祭たちは、信者の子弟たちに対して教育熱心な指導者が多く、その方針は、現在の主任司祭・小村厳一にも受け継がれていた。

 特に、「お仕置き記録帳」によって、小学校6年生までの男の子の家庭における躾けに、父親たちを取り込み、彼らに主導権をとらせ、小村の言葉を借りれば、「中学以降の島の子らの非行防止に抜群の効果をあげて」きていた。

 島の男子たちは、中学を卒業すればその多くが進学・就職して、一旦、島を離れる。なので、「お仕置き記録帳」による「管理」は小6で終わるものの、島を離れるまでの中学校在学中3年間の躾けも、非常に重要と、小村司祭は思うのだった。

 そこで小村が導入したのが、島の男子中学生のためだけの「福音教室」だった。

 そこでは、小学生に教えるにはまだ早いと思われることまで説教し、島を離れる時に備えるというものだった。要するに小村流の性教育を、信徒の子弟たちに施そうというものだった。

 小村司祭は、神父というイメージには似合わず、真っ黒に日焼けしており、大柄な体格のマッチョマンであった。神学校時代は、ラグビーで鍛えたスポーツマンでもある。

 そして、小村が所属する神学校の学派は、厳格な聖書解釈によって、男子の性の乱れを戒める傾向が強かった。

 そんな学派の中でも、最右翼的な立場にある小村は、マスターベーションはおろか、夢精でさえも罪悪とし、男性信者とその息子たちに、きわめてストイックな禁欲的生活を常々説いていた。

 思春期男子の夢精を、自然な生理現象ではないかと小村に異を唱える信徒には、

「夢の中で淫らな考えを無意識のうちに思い浮かべた結果が夢精なのです。それは、心の中で女性を姦淫したこととなんら変わりはなく、罪深いことなのです。

もちろん、思春期における夢精は、病気ではありません。しかし、性欲の悪魔・アスモデウスが、ご子息の心の中に巣くっていることに間違いはないのです。

ですから、その邪悪なものを今のうちにしっかりと祓っておかないと、大人になってから性欲奴に堕ち、己を律しきれなくなりますぞ!!」

と説くのであった。

 そして、どうすれば息子の心の中に巣くう邪悪なものを祓えるのかとの問いに、小村は、

「警告を与えればよいのです。

ご子息の尻を7回叩き、心の中に悪魔が棲みつつあることをご子息に知らせてやるだけでよいのです。

あとは、ご子息自身の心の自然な立ち直りに任せればよいのです。」

と説く。

 「尻を叩く」と聞いて、父親たちは、中学生にも「愛のムチ」でしょうか?と問うてくる。それに対して、小村は、

「いや、今の場合は、罰ではなく、警告なのです。ご子息を膝の上のお抱きなさい。そして、ご子息の尻を、平手で7回、思い切り叩いて、警告するのです。」

と説くのだった。

 有志の父子が全員揃うと、その日の「福音教室」の始まりだった。

 南の島教会・主任司祭の小村厳一が茶色の司祭服を身にまとい、父子たちの待つ、教会2階の教室に入ってくる。

 教室では、中学生の息子と父親たちが交互に座っている。南の島らしく、簡素な服装の者が多かったが、みな、漁や農作業をしている時の服装とは違い、余所行きの服装だった。

 しかし、そんな中、一番前で、父親・鈴木孝の隣に座る鈴木孝一だけは、上は白のランニングシャツ一枚に、下は白ブリーフ一丁であった。

 そして、そのパンツのフロントの部分は、今朝、こしらえたばかりの恥ずかしい染みでゴワゴワになっていて、綿生地は茶色く染まっていた。

 孝二と孝三は、中学生ではないので、その教室には入ることができず、教会一階の児童室で行われる、田原司祭が講師を務める日曜教室に出席していた。

 そして、鈴木父子の隣には、やはりランニングシャツにブリーフ一丁の男子が座っていた。

 孝一と同じ中学校の三年生で、天文部部長の田所俊一だった。しかし、田所の隣には、父親はいない。田所は両親のいない孤児で、島の教会に引き取られ、教会付属の寄宿舎で生活していた。

 孝一も俊一も、後ろにいる福音教室出席者の父子の視線を背中に痛いほどに感じながら、真っ赤な顔をしてうつむいていた。



三、夢精贖罪


 教室前方の一段高くなった教壇の上に立ち、小村司祭は、説教に先立ち、ややわざとらしく、

「これは、鈴木さん親子ではありませんか!!今日はまた、一番、最前列にお座りになり、いかがいたしましたかな?」

と聞いてくるのだった。

「息子が神父様にご報告とご相談申し上げたいことがあると申しまして・・・私の隣に座る、愚息・孝一のために、お時間をとっていただけないでしょうか?」

と、オヤジ孝が、小村司祭に願い出るのだった。

 その願い出に、小村は大きくうなずくと、

「よろしい!!孝一君だったね。さあ、立って、遠慮なく、私にお話しなさい!!」

と、孝一に促すのだった。

 恥ずかしさと緊張で、もう心臓がはちきれんばかりに、ドクドク高鳴っている孝一。孝一はどうにか立ち上がると、小村の顔をまっすぐに見て、

「神父さま、ボクは、神父様のお導きにもかかわらず、今朝、また悪夢をみてしまいました。そして、そして・・・」

 己の白ブリーフのフロントに、こしらえてしまったゴワゴワの染み・・・その恥ずかしい染みのことを信者の父子が見ている前で、自らが報告しなければならないなんて!!

 ここのところ「毎週」のこととはいえ、そのことの恥ずかしに苛まれ、次の言葉を言い出せない孝一。

 孝一は、無意識のうちに、自分のランニングシャツの裾をグイグイと下に引っ張って、どうにか、その恥ずかしい染みを隠そうとしていた。

 そんな孝一の態度に、小村司祭は、孝一の目をやさしく包み込むように見つめながら、

「さあ、孝一君。恥ずかしがることはなにもないんだよ。そして、どうしたのかな?」

と、孝一に先を促すのだった。

 孝一は、ゴクリと生唾を飲み込むと、覚悟を決めたかのように、そして、これは自分のためになることなんだと、自らを納得させるかのように、大きく頷くと、

「パンツに、悪魔の染みをこしらえてしまいました!!」

と一気に報告するのだった。

 もちろん、教室内はシ〜ンと静まり返り、物音一つ立つことはなかった。しかし、その静寂が、かえって、孝一を苛めるのだった。

 孝一の報告を受けて、小村司祭は、まるで、今、改めて気がついたかのように、目をこらしてマジマジと、孝一のブリーフのフロント部分も見つめるのだった。

「さあ、も少しシャツの裾をあげて、パンツの前の部分を、私によく見せてみなさい!!」

 小村司祭のその命令に、孝一は、恥ずかしそうに、さっき押し下げたばかりのランニングシャツの裾を少し上げて、染みをこしらえてしまったブリーフのフロント部分をはっきりと小村に見せるのだった。

 小村の視線を感じるのか、孝一は、股間にムズムズとしたものを覚える。そして、小村の視線を、股間にまざまざと感じながら、孝一の恥ずかしさは頂点に達する。顔から火が噴き出るのではないかというくらい孝一の顔は真っ赤だった。

「うむ・・・先週のものよりも大きく濃くなっている・・・」

 なんと、小村司祭は、孝一のブリーフのフロントについたその恥ずかしい染みの大きさをコメントし始めたのだった。そして、あろうことか、小村司祭は、孝一に、

「さあ、孝一君、壇にあがって、みなさんの方を向き、悪魔が君のパンツの上にこしらえた染みを見せてあげなさい!!」

と言うのだった。

 その想定外の司祭の言葉、いや、命令に、孝一は、

「せ、先週はそんなこと言わなかったのに・・・」

とつぶやいて、助けを求めるかのように、父親の孝の方を見つめるのだった。

 しかし、小村司祭に全幅の信頼を寄せている父・孝は、孝一の助けにはならなかった。

「さあ、早くしない。」

と小声で言って、息子を突き放すのだった。

 小村司祭は、

「さあ、孝一君。遠慮はいらないんだよ!!早くなさい!!」

と、言葉はやさしいが、高圧的な口調で、孝一を促すのだった。

 もう孝一の恥ずかしさは頂点に達し、さらには振り切れてしまい、もう羞恥心が麻痺してしまいそうだった。

 しばしの沈黙の後、孝一は、首を項垂れるようにして、小村司祭の立っている教壇に上がり、小村の隣に立つのだった。

 一瞬、ざわめく教室内。教室の後ろの方から、「でっけぇー!!」との声が漏れてくる。

 そして、すぐさま、パチィ〜〜ンという小気味のいい音。そして、次は、「いってぇー!!」の声が上がる。

 教室内から笑いが起こり、信徒の父子たちが、一斉に後ろを向くのだった。

 そして、その視線の先には、教室の出席父子から図らずも注目を浴び、教室内の最後列で真っ赤な顔をして座っている大川父子がいた。

 父親・大川大将(だいすけ)は、山田と同じで農業を営み、村の農業青年団の団長だった。村民の多くから、「たいしょう」と呼ばれ親しまれている。

 一方、その息子・大川大輔(だいすけ)は、島の中学3年生。子供の頃からやんちゃでキカン坊。「愛のムチ」を食らう時の泣き声のバカでかさは、遠く離れた本土まで聞こえるほどらしいと島民たちはみな噂していた。

 もちろん「愛のムチ」は、毎クリスマスの常連さん。生まれてこの方、クリスマスプレゼントとは縁がない。

 しかし、どんなに厳しい「愛のムチ」を食らっても、おとなしくしているのは、教会の玄関をくぐるまで。教会を一歩でれば、すぐに次のやんちゃを考えている、なかなかの「大物」であった。いまでは、島の中学校・サッカー部の主将をしており、孝一や信二にとっては、部活の先輩でもあった。
 
 そんなWだいすけではあるが、だいすけジュニアは、父親の言いつけもきかず、サカパンにTシャツ姿で日曜礼拝に出席し、福音教室では、孝一のパンツの染みに、遠慮会釈のない正直なコメントをデカい声でくわえるのだった。

 パチィ〜〜ンという音は、父親のだいすけシニアが、息子のサカパンのケツを、思い切り平手打ちした音だった。座っている息子をすぐさま横に倒してケツを出させ、平手打ちを食らわすなど、息子の仕置きにかけては、このオヤジもなかなか匠の技の持ち主だった。

 しかし、大川大輔は、オヤジにケツを叩かれたことなど気にするそぶりもなく、隣に座っている福本翔と、ひそひそ私語を始める。福本は、村の福本旅館の息子だが、父親は早くに亡くなっており、福音教室へはいつも単独の出席だった。

「鈴木のヤツ、マジで知らなかったんだ、一人エッチのやり方・・・山田の言っていたこと、本当だったんだな・・・」

「そうだな・・・オレたちが、たっぷりと教えてやんないとな・・・」

「そうだよ、オレたちの後輩が、毎週、オヤジの膝の上で、パンツ一丁ケツ叩きだなんて、女の子の手前、超カッコわりィし、サッカー部の名誉にもかかわるぜ・・・」

 しかし、そんな二人の私語も、小村司祭の「ゴホン!!」という咳払いに、静止される。そして、司祭は、ゆでダコのような真っ赤な顔で、自分の隣に立つ、孝一のフロントの染みを指さしながら、

「みなさん、見てください!!

これが、鈴木孝一君の心の中に棲みついてしまった色欲魔・アスモデウスが、孝一君のパンツにつくった悪魔の染みです!!

さあ、おとうさん、こちらへ来て、そこの椅子にすわり、孝一君のお尻を7回しっかりと叩いて、悪魔祓いをお願いします!!

しっかりと叩かないと、アスモデウスは、明日も出ますよ!!」

と言って、ニヤリと笑うのだった。

 もちろん、「アスモデウスは、明日も出ますよ(アスモデマスよ)」は、小村司祭が長年言い続けているギャグなのであるが、背筋も凍るほどの、さぶ〜〜いオヤジギャグのせいか、一度たりとも信徒の笑いを誘ったことがない。

「はい!!神父さま、お導き、ありがとうごあいます!!それでは失礼します!!」

と言うと、孝一の父親・孝は、檀上にあがり、司祭から指示された椅子にすわると、

「さあ、孝一!!こっちへ来て、ケツを出せ!!」

と、やや厳しい口調で、孝一に命令するのだった。

 意外にも孝一は、ややホッとした表情で、しかし、口元は男らしくキリリと引き締めて、

「はい!!」

と応えると、オヤジの膝上のって、白ブリーフのケツを教室の天井に向かって高く突き出すのだった。孝一にとっては、ブリーフ・フロントの恥辱の染みを早く隠したくて仕方なかったのである。

 オヤジ孝は、小村司祭の、檀上向かって左側にある椅子に座っており、信徒父子の方を向いていた。そして、孝一は、小村司祭の方へ顔を向けて、オヤジの膝上でケツを出していた。

 そして、「悪魔祓い」が始まる・・・。

 オヤジ孝は、まるで天井を突くかのように右手を思い切り高く上げると、

バッチィ〜〜ン!!!

と、孝一の白ブリーフのケツのど真ん中に打ち下ろし、ケツ平手打ちを食らわす。

 それは、「愛のムチ」の痛みに慣れていれば、楽勝の痛みだった。

 しかし、中学生にもなってブリーフ一丁、オヤジの膝上でお尻ぺんぺんだなんて、あまりにも恥ずかしくて、その場に女の子がいなくて本当によかったと孝一は思うのだった。

 そして、ケツを叩かれている理由も、少し落ち着いて考えてみると、とても恥ずかしかった。それは、痛いケツ叩きというよりも、恥ずかしいケツ叩きだったのだ。

 孝一の頭上から、小村司祭が、

「一回!!」

と数える声が聞こえてくる。

 そして、小村司祭は、

「さあ、孝一君。自分の中から、アスモデウスが追い払われることを祈るのです!!君の祈りが真剣であればあるほど、神様は、君を救ってくださる!!」

という声が聞こえてくる。

 孝一は、

「神父様、お導き、ありがとうございます!」

と言うと、やや足を開いて、床につま先をつくようにして体勢を支えると、いままで床についていた両手を床から放し、両手を顔の前で合わせるようにして握ると、

「神様・・・アスモデマス・・・いや、アスモデウスが、自分の体から出て行ってしまいますように!!」

と神に祈りを捧げるのだった。そして、全身に力を入れて、オヤジからの平手打ち二発目をケツでしっかり受け止めるべく、心と体の準備をするのだった。

 オヤジ孝も、

「神父様、お導き、ありがとうございます!神様!!アスモデマス・・・いや・・・アスモデウスが、息子の体から消え去りますように!!」

と祈りながら、再び、右手を高く高く天井に向けて突き立てるように上げるのだった。

 孝・孝一親子のアスモデウスの言い間違いを聞いて、小村司祭は、思わずニヤリとほくそ笑み、

「フフフ・・・わたしのギャグもまんざらでもないようなだな・・・」

と思うのだった。

バッチィ〜〜ン!!!

と二発目が孝一のブリーフのケツを強襲する。

 小村司祭は、再び、真剣な顔つきになり、

「二回!!そうです!!その調子です!!あなた方・父子の祈りは、きっと、神によって救われるでしょう!!」

と鈴木父子をやさしく導くのであった。

バッチィ〜〜ン!!!

「三回!!」

バッチィ〜〜ン!!!

「四回!!」

バッチィ〜〜ン!!!

「五回!!」

と、オヤジ孝の平手は、息子・孝一のブリーフ一丁のケツに炸裂し、時には、デッカク真っ赤なもみじを孝一のケツに刻印し、また時には、すぼめた手で、やや小ぶりのもみじ葉が、孝一のケツに焼き付けられていくのだった。

 それを見ながら、小村司祭は、何度も何度も頷きながら、

「そうです。すばらしい!!色欲魔・アスモデウスが孝一君の体内から消え去るまでもう少しです!!」

と、やや興奮気味に、鈴木父子を導くのであった。

バッチィ〜〜ン!!!

「六回!!」

バッチィ〜〜ン!!!

「七回!!いいでしょう!!そこまで!!さあ、孝一君、立ち上がりなさい。」

と、小村は孝一を導くのだった。

「はい!!」

と言って、真っ赤な顔の孝一は立ち上がり、壇を一歩降りて、小村司祭の前に跪く。そして、もう一度、祈るように両手を胸の前で握り合わせると、

「神父様、お導き、ありがとうございます。」

と言う。

「うむ。もう二度とアスモデウスに心を侵されないように、今一度、祈りなさい・・・・」

「はい・・・」

 そして、祈りが終わると、孝一は、「それでは、席にお戻りなさい!!」との司祭の導きで、席に戻る。そして、父・孝も祈りを捧げ、自分の席に戻るのだった。

 オヤジから7発の平手打ちをケツに食らい、ケツがホカホカ状態の孝一。

 一方、オヤジ孝も、右掌に痛みと熱り(ほてり)を感じていた。それは、中学生になってサッカー部で鍛えている息子の尻が一週間前よりもかなり堅くなったことを意味していた。

 もし、唱歌「村の鍛冶屋」のサウザンアイランドバージョン(←サラダドレッシングではない!)「島の漁師」があったならば、その2番は、間違いなく次のように替え歌されていただろう。

唱歌「村の鍛冶屋」(著作権消滅曲)替え歌「島の漁師」2番

♪漁師は名高きいつこく老爺(おやぢ)

♪早起き早寝の病(やまひ)知らず

♪鐵より堅しと誇れる腕に

♪勝りて堅きは長男のおケツ

 オヤジ孝は、孝一のケツを平手打ちした後の自分の手の痛みに、孝一の成長をヒシヒシと感じたのであった。



三、罪深きオナニー


 鈴木父子が席につくと、小村司祭は、声を一段と厳しくして、  

「田所俊一!!立ちなさい!!君は私に報告すべきことがあるね!!」

と、俊一を責めるように言うのだった。俊一に対する小村司祭の物言いは、父親のそれであり、いままでとは打って変わって、言葉が荒々しかった。

「は、はい・・・」

と言って立ち上がる俊一。俊一も、孝一と同様、白のランニングシャツに白ブリーフ一丁であった。

 そして、小村司祭の前に跪くと、

「昨夜、寄宿舎の自室で、右手をつかい、神父様から禁じられている汚らわしい行為をしてしまいました・・・」

と、オナニーを自己申告するのだった。自己申告とは言っても、昨夜、一人エッチの現場を、たまたま部屋を見回りに来ていた男子寄宿舎・舎監の田原司祭に、見つかってしまい逃げられなくなったのだった。

 教室の後ろの方では、再び、田所の同級生である、大川大輔と福本翔が、

「あいつ、現行犯逮捕か・・・だっせぇーなぁ・・・」

「オレたちはそんなヘマしないよな・・・秘密基地があるもんな・・・」

とヒソヒソ私語をかわしつつ、やんちゃ坊主らしい笑みを浮かべて、お互いの顔を見合わせるのだった。

 そんな私語を交わすざわつきを打ち消すかのように、小村司祭は、声を荒げて、

汚らわしきは、汝の右手なり!!さあ、おまえの右手にすみつく、色欲魔・アスモデウスを祓うこととする!!右掌を私の前に差し出しなさい!!」

と厳しく、田所俊一に命令するのだった。

 父親のいない、または、父親が「福音教室」に出席できない島の中学男子に対しては、小村司祭自らが、父親に代わり、「悪魔祓い」をしてやるのだった。

 後ろからみんなに見られていることを背中にヒシヒシと感じながら、田所俊一は、覚悟を決めるかのように、ゴクリと生唾を飲み込むと、

「はい!!お願いします!!」

と言って、立ち上がり、右掌を、小村司祭の前に差し出すのだった。

 それを見て、小村司祭は、徐に、教壇の上の教卓の内側からあるものを取り出すのだった!!

 それを見て、教室にいた父子たちから、再び、ざわめきが沸き起こるのだった。

 それは紛れもなく、父も子も、小学校時代にお世話になった「愛のムチ」であった。

 そこにいた全員が、もちろん、鈴木孝も、鈴木孝一も、「愛のムチ」を尻に受けた時の、あの焼けつくような痛みを思い出し、椅子に座りながら、思わずケツをモジモジさせるのであった。

 しかし、「愛のムチ」にそっくりな小村司祭の「棒ムチ」は、ケツを叩くものではなかった。

 小村司祭は、取り出したその「棒ムチ」を右手でギュッと握りしめると、教室の天井を指すかのように、その棒を振り上げ、前に差し出された田所俊一の右掌を、ピュ!!ピシッ!!と一発、強襲するのだった。

「い、痛いっ!!」

と叫ぶようにして、思わず、前に差し出した右手を引っ込める田所俊一。夢精よりもオナニーの禁を破ったときの「悪魔祓い」の方が数段厳しかったのだ。

 俊一は、

「いってぇ・・・」

と泣きそうな声を出しながら、まるで右掌についた火をもみ消すかのように、左掌で、必死に、右掌をさすっているのだった。しかし、小村は、そんな俊一に厳しかった。

「誰が手を引っ込めていいと言った?まだお祓いは終わていない!!さあ、右手を出しなさい!!」

ときつい口調で命令するのだった。

 その「棒ムチ」のあまりの痛さに、田所は、やや恐怖を感じながら、右手を差し出す。

ピュ!!

と鋭い音がするや、

ピシッ!!

と、小村司祭の「棒ムチ」が田所の右掌に炸裂する。思わず右手を引っ込めて、

「いってぇ・・・」

と、つらそうにつぶやく田所俊一。それは反射的ともいえる素早さだった。

 しかし、「悪魔祓い」はまだまだ終わってない。小村司祭からは、「まだまだ!!さあ、右手を出すんだ!!」との厳しい命令が、田所に飛ぶのだった。

ピュ!!

ピシッ!!

「ぎゃぁ!!痛い!!」

ピュ!!

ピシッ!!

「い、いっちぃ・・・・」

と毎回、悲鳴にも似た声を発し、右手を引っ込めてはさすり、再び、小村に叱責されては、右手をこわごわ差し出す田所俊一。

「棒ムチ」のキツイ

ピュ!!

ピシッ!!

も五発目を超えるようになると、田所は、毎回、右手を隠すようにして、目にはいっぱい涙をためて、「もうオナニーはしませんから・・・もう打たないでください・・・」と懇願するような目つきで、小村司祭を見つめるのだった。

 しかし、小村司祭の鬼の気持ちは揺らぐことはなかった。「悪魔祓いの所定の回数は、7回だ!!さあ、手を出しなさい!!」と厳しかった。

ピュ!!

ピシッ!!

ピュ!!

ピシッ!!

と、まったく力を加減されることのない六発、七発目の棒ムチが、俊一の右掌に情け容赦なく着地したのだった。

 俊一の右掌には、7本の真っ赤な線が、クッキリと焼き付けられていた・・・。右掌は、火傷をしたときのように、ジンジン、ズキズキと疼いていた・・・。

 しばらくは、右手をつかって、あのいかがわしい行為などできないであろう・・・だったら、畳にこすり付ければ・・・などと不謹慎なことを思い浮かべることができないほど、俊一は、右掌のズキズキする痛みに苛まれえていた。

 しかし、オナニーの禁を破った俊一の「悪魔祓い」はまだまだ終わっていなかった。

 小村司祭は、俊一の右掌にヤキを入れたその「棒ムチ」を元あった場所に収めると、今度は、さっき孝一のオヤジが座った椅子に腰をかけ、

「さあ、俊一!!遠慮はいらん!!私のことを本当の父親だと思って、こっちへ来て、尻を出しなさい。私が、お前の父親に代わって、今度はお前の尻を叩き、お前の心の中に巣くう色欲魔・アスモデウスを退治してやる!!」

と言うのだった。それはもう司祭というより、俊一のオヤジさんといった風を感じる言い方だった。

「ひぇ〜〜、ケツも叩かれるの?」

「超きっびしぃ〜〜!!」

と、教室の後ろの方では、大川大輔が、隣の福本翔と、性懲りもなくヒソヒソ話をしているのだった。もちろん、サカパンのケツには、再び、大将オヤジの平手がベチン!と飛んだことは述べるまでもない。

 そんな同級生たちの声が聞こえたのか、田所俊一は、ますます顔を紅潮させて、檀に上がり、小村司祭の膝の上に乗ろうとする。しかし、小村は、

「誰がパンツをはいたままでよいと言ったんだ!!」

と、俊一に厳しい注文をつける。

 それを聞いて、

「ひぇ〜〜、もしかして生で・・・」

「小学生じゃあるまいし、ケツ丸出しはつれぇよなぁ〜〜、チン毛も丸見えじゃん・・・」

と、大川と福本のヒソヒソ話は、ますます絶好調だった。

 大川と福本だけではなかった。

 中学校・天文部の後輩たちも、部長の生ケツをまじかに拝めるとあって、なにやら顔はにやけ気味。しかも、司祭の膝上でお尻ぺんぺんだなんて!!

「えっ!!パンツもですか・・・」

と、俊一は戸惑いを見せる。

 俊一の脳裏には、後ろに座っている、大川や福本といった同級生たちだけではなく、天文部の後輩たちの顔がよぎるのであった・・・みんな、自分の背中をケツを嘲り笑うような目で見つめていた。俊一は、その恥辱感に、カァ〜ッと耳の後ろが熱くなるのだった。

 しかし、小村は厳しかった。

「当然だ!!孝一君の場合と違って、おまえの心の中に巣くう色欲魔・アスモデウスは、かなり邪悪なヤツである!!パンツの上からでは、とてもではないが、祓うことなどできん!!」

と、俊一の戸惑いを突き放すかのように言うと、

「さあ、パンツを下ろしなさい!!」

と、俊一にさらにきつく命令するのだった。

 俊一は、とまどいながらも仕方なく、自分のBVDの白ブリーフの腰ゴムに親指をかけて、それを膝までそぉっと下ろすのだった。当然、俊一のケツだけでなく、前も丸見えになる。

 俊一の股間のいちもつはなかなか立派で、チン毛も生えそろっており、大川や福本よりも、成熟した男の恥部を晒していた。そして、それをケツの方から眺めれば、両足の間に、俊一の、これもまたなかなか立派でズシリと重そうな玉袋が、寂しげに哀しげに、男の哀愁を漂わせながら、ぶらぁりぶらぁりと揺れているのだった・・・。

 まるで島の子供が父親からお仕置きを受ける時のように、パンツを膝までおろし、よちよち歩きで、椅子に座っている小村の方へ行き、小村の膝上に乗る俊一。そのよちよち歩きと、チン毛の生えそろった成熟した恥部のアンバランスが、なんとも物哀しかった。

 俊一は、背が高く、足と手が長い典型的な現代っ子だ。なので、小村の膝上に乗っても、十分に余裕を持って両手と両足を床につけるのだった。しかし、右手は痛くて床につけることができず、仕方なく、拳固を握ったままで床に右手をつき、両手、両足のバランスをとるのだった。

「さあ、俊一!!尻をもっとしっかりと高く突き出すのだ!!」

と厳しく指導する小村司祭。

「は、はい・・・。」

と返事をすると、俊一は、ケツを天井へ向けてできるだけ高く突き出すのであった。

 小村司祭は、どんなに暑い時でも、司祭服の下には、長袖のYシャツを着ていた。そして、そのシャツの右腕をまくると、

「よし!!行くぞ!!一発毎に、神に祈るんだ!!いいな!!」

と、厳とした口調で俊一に言う。

「はい!!お願いします!!」

と、俊一の応答を聞くと、小村は、ウムと頷き、左手で俊一の腰をグッと押さえるのだった。

 そして、右手はというと、掌をすぼめ、そこに、ハァ!ハァ!と息を数回吹きかける。そして、神学校時代、ラグビーで鍛えた図太い右腕を、天井を突くように高く上げると、一気にドスンと俊一の生ケツのド真ん中に豪快に振り下ろすのだった!!

ベッチィ〜〜ン!!!

「いってぇ〜〜〜〜!!」

と叫び、小村司祭の膝上で、生ケツ晒して、思わず仰け反る俊一だった。

 そのケツ叩きの音は、それを見ている者の腹にまでドォ〜〜ンと響いてくるような重量感あふるるものだった。そして、比較的きれいな俊一のパンツからも、ほこりが立つほどであった。

 中学校の同級生と後輩たちの前で、まるで島の小学生たちがされるように、パンツを膝まで下ろし、ケツを丸出しにさせられる恥辱感。そして、生ケツを強襲する小村のド迫力の平手打ち一発!!中学ではどちらかといえばおとなしくて優等生である俊一を反省させるには、もうそれだけで十分だった。

「ひぇ〜〜、神父様のケツ叩き、すげぇ〜〜ド迫力」

と、そこにいた父子たちは皆思うのだった。

 しかし、「悪魔祓い」のケツ叩きの所定の回数と方法は、「膝上7回」だ!!

 すでに俊一は、小村の膝上で、ジンジン熱っている(ほてっている)ケツを天井へ向けながら、教会の寄宿舎で、司祭の言いつけを破り、みだらなことを妄想しながら、右手で股間にそそり立つイチモツをシコシコ扱き、摩擦熱をあたりに発散させ、己の精液を無駄にちり紙の中に放出させたことを深く後悔しているのであった・・・。しかし、後悔は先に立たないのが世の常。恥辱のケツ叩きは、まだまだ6回残っていた・・・。

 残りの6回も、お情けなしの強烈な平手打ちの連続であった。
 
ベッチィ〜〜ン!!!

「いってぇ〜〜〜〜!!」

バッチィ〜〜ン!!!

「いってぇ〜〜〜〜!!」 
 
ベッチィ〜〜ン!!!

「いってぇ〜〜〜〜!!ごめんなさい!!」

バッチィ〜〜ン!!! 

「いってぇ〜〜〜〜!!もうしません!!」

バッチィ〜〜ン!!!

「いってぇ〜〜〜〜!!神父様、どうかお許しを!!」

と、俊一は、小村の膝上で、ケツを打たれる度ごとに、体をのけぞらせ、絶叫せざるを得なかったのだ。
 
 そして、最後の一発が、

ベッチィ〜〜ン!!!

と、俊一のケツに着地する。

「いってぇ〜〜〜!!」

と、最後の雄叫びを小村の膝上で上げ、上体をのけぞらせる俊一。

 小村は、俊一のケツを、今後は気持ち悪いほどに、やさしく撫で回しながら、

「どうだ・・・これで少しは懲りたか?」

と聞いてくるのだった。

 小村の掌は、自らも教会の畑で、農作業に従事するせいか、労働者の手のようにゴツクてザラザラしており、平手打ちを食らったばかりで、ジンジンとうずく俊一のケツには、チクチクと痛くて、俊一は、小村の手の動きにあわせて、小村の膝上で、ケツをどことなく卑猥にクネクネと廻したり、上下に振ったりと、落ち着きがなかった。

 しかし、父親のいない俊一にとって、小村の膝上は、唯一、父性愛を感じられる場所でもあったのだ。

 ホッカホッカのケツを天井に向けながら、いま自分のケツを撫で回している小村のゴツイ平手が、少しでも油断をすれば、いつまた自分のケツに打ち下ろされるかもしれんと、ビクビクしながらも、俊一は、お仕置きが終わって少しはやさしくなったオヤジにまるで甘えるかのように、チラリチラリと小村の方を見ながら、

「は、はい・・・」

と返事をするのだった。

 小村は、

「よし!!立ち上がりなさい!!」

と、俊一に命令する。しかし、パンツを上げようとする俊一に、なんと、小村は、

「誰がパンツを上げてよいと言った!!パンツを脱いで、それを、渡しなさい!!」

と言うのだった。

 まさかのパンツ没収!!に、教室に集まった父子たちも唖然とする。父子たちは、オナニーの罪深さを、再認識することしきりだった。

 真っ赤なもみじ印が両ケツペタに七葉、きれいにプリントされた臀部を晒している俊一。小村のパンツ没収宣告に、俊一は、ガックリとうなだれると、蚊の鳴くような声で、

「はい・・・」

と返事をする。

 そして、あきらめたように、俊一は、膝上まで下ろしていたパンツを足首のところまで下ろし、ゆっくり、右足、そして、左足と、順々に足をパンツから外し、パンツを完全に脱ぐのであった。

 脱いだパンツを腰をかがめて手に取る俊一。その時、後ろにケツをグイッと突き出すように腰を落としてパンツを取ったため、俊一の真っ赤に染まったケツは、ますます、同級生や後輩たちの前で、さらしものになってしまうのだった。

 俊一からパンツを受け取ると、小村司祭は、それを丸めて、自分のズボンのポケットにしまいこんでしまう。

 そして、

「パンツは説教が終わるまで没収とする。今日の説教は、マスターベーションがいかに罪深い行為なのかについてである。俊一、おまえは、そこに立って、よく聴いて反省するように!!」

と、教室の前方隅を指さしながら、俊一に命令するのだった。

 それは、小村司祭が男子寄宿生を罰するときにしばしば科する、「パンツ没収の上、反省!!」の恥辱のコーナータイムであった!!しかも、俊一の同級生や後輩たちが見ている前で、この罰を食らうだなんて!!

 ただ、寄宿舎の食堂でのコーナータイムと違い、女子の目に、己のもみじ印に染まったケツを晒さなくて済むことだけが、俊一にとっては、せめてもの救いだった。

「はい・・・」

と元気なく返事をした俊一は、肩を落としてうなだれたまま、小村が指さした教室の隅へと向かう。そして、壁の方を向いて、反省タイムに入るのだった。もちろん、今回は、司祭の説教も静聴しつつ反省しなければならない。

「シャツをも少しあげろ!!両手は、頭の後ろで組むんだ!!いつも寄宿舎で言われていることだろう!!」

と、小村司祭のとどめの命令。

 俊一は、悔しそうに唇をかみしめ、目には涙を浮かべながらも、小村の命令通り、シャツをやや上げて、真っ赤なケツを丸出しに、両手を頭の後ろに組んで、オナニーの罪深さをヒシヒシと感じつつ、恥辱のパンツ没収の上、生ケツ晒しての反省タイムを甘んじて受け入れるのであった・・・。
 
 一方、一番前で、さっきオヤジからケツを叩かれたばかりの鈴木孝一は、神妙な面持ちで、田所俊一が叱責される一部始終をみて、小村司祭の説教も聞いていた。

 小村司祭によれば、「マスターベーション」なる行為は、どうやら、たいへん罪深い行為らしい。でも、小村司祭の説教に、マスターベーションの具体的行為に関する言及は一切なかった。

「マスターベーション」っていったいどうすればできるの?と、孝一の疑問は深まるばかりだった・・・。



四、精霊のほこら


 翌日。月曜日の放課後。サッカー部の練習で、主将の大川が、部員たちに、その日の練習メニューについて説明する。小さな島の中学校であったが、その中学校唯一の運動部がサッカー部ということもあり、1〜3年生まで、男子ばかり、20名ほどの部員がいた。そのうち、一年生は、鈴木孝一、山田信二を含む、6名であった。

 そして、大川主将の説明が一通り終わると、野太い男子中学生たちの

「1、2、3、4」

の掛け声がグランドに響き、準備体操が始まる。そして、準備体操が終わると、まだ本格的に練習に参加させてはもらえない一年生たちは、それぞれ先輩から割り当てられたも雑用の持ち場へと散っていくのだった。

 そんな中、大川主将が、

「鈴木!!山田!!ちょっとこっちへ来い!!」

と命令するのだった。

 山田は、すぐに

「はい!!」と返事をして、自分の持ち場から大川先輩の前へとダッシュする。

 鈴木孝一は、

「なんだろう・・・」

と、ちょっと不安顔ではあったが、山田信二に負けじとダッシュで、大川先輩の前へと急ぐ。

 そして、二人が、自分の前に直立不動で立つと、大川は、

「二人とも来るのがおっせえよ!!何分かかってんだ!!腕立てだ!!今日は30で許しといてやる!!」

と、お約束の腕立て伏せの命令を、鈴木と山田に下すのだった。もちろん、どんなに早く、ライトスピード!!で主将の前に集合しても、一年生は、必ず腕立てをさせられるお約束になっていたのだが・・・。まあ、男はこうして鍛えられていくのであろう。

 二人の腕立てが終わると、大川は、

「今日は、お前ら二人、別メニュー、オレについて来い!!気合入れていこーぜー」

と言うと、いきなり、

「ワッショイ!!ワッショイ!!」

と掛け声をグランドに響かせながら、ランニングを始める。

 孝一と信二は、先輩に従うしかなく、やはり、

「ワッショイ!!ワッショイ!!」

と声を掛けながら、大川主将についていくのだった。

 大川は、学校のグランドを抜けて、学校の裏手にある道に進路をとる。しばらくすると、副将の福本も、加わってきて、四人で、

「ワッショイ!!ワッショイ!!」

とランニングが始まるのだった。
 
 しかし、それはいつものランニングとは違い、やけにゆっくりとしたペースで、一年生の鈴木と山田にも、楽勝でついていけるペースだった。

「ワッショイ!!ワッショイ!!」

 一年生ではあるが、孝一も信二も、島で生まれ育ったわんぱく坊主だ。大川と福本の両先輩が、島のどの方向へ進路をとっているのか、本能的にすぐにわかるのだった。

 楽勝のペースではあったが、孝一も信二も、自分たちを先導する三年生の先輩たちの後ろを、やや距離をとって走っていた。

 ランニングが進むにつれて、だんだん不安な気持ちになってくる鈴木孝一。

 孝一は、山田信二の方に今まで以上に近づくと、

「ねえ、信ちゃん、この道、ずっと進むと、島の北側にある断崖絶壁につきあたるんじゃないかな・・・ちょっと、ヤバいんじゃないかな・・・」

と、先輩たちに聞こえないような小声で、信二に自分が今抱いている不安を口にするのだった。

「先輩たちが一緒だから、大丈夫だよ・・・孝一は、心配性だな!!」

と信二。

「だって・・・とうさんが、島の北の断崖絶壁に子供たちだけで近づいたら、お仕置きだって言ってたし・・・」

「おまえ、オヤジと先輩、どっち信じるんだ?」

 親友の信二にそう問われた孝一は、言葉に窮する。

 いつも父親のことを「とうさん」と呼んでいる孝一にとって、信二の口からついてでた「オヤジ」という言葉の響きに、新鮮さを感じるとともに、信二だけが自分を残して、急に大人になってしまったような焦燥感を孝一は覚えるであった。

 そんな孝一の気持ちにはお構いなしに、信二はズケズケと続ける。

「もう俺たち中学生なんだから、お仕置き記録帳とはオサラバだろ?まだオヤジのことが怖いのか?」

「ボ、ボクだって・・・オ、オヤジのことなんか怖くない!!」

と、絞り出すように「オヤジ」と言ってみる孝一だった。そして、「オヤジ」の一言を言うのに、なんかものすごいエネルギー使い果たしてしまったようなそんな感覚に襲われるのだった。

「それから、オレのこと、信ちゃんって呼ぶの、もうやめてくんねぇ・・・特に、部活とかでは・・・名前呼ぶんだったら、俺のこと、信二って呼べよ!!それが嫌なら、山田でいいから・・・」

と、信二は孝一に言うのだった。

「わ、わかった・・・シ、信二って呼ぶよ・・・」

「そうそう、オレもおまえのこと、孝一って呼ぶから・・・」

「っていうか、信二はもうボクのこと、ずっと前から、孝一って呼んでるだろ!!」

「えっ!!そうだったっけ?ワハハハ!!まあ、そんなこと、どうでもいいじゃん!!これからオレはお前のこと孝一って呼ぶ。だから、おまえは、オレのこと、信二って呼ぶんだぞ!!約束だからな!!」

「うん!!わかった!!」

 前を走る二人の先輩たちから、

「コラァ!!後ろでなにペラペラしゃべってんだよ!!」

「そうだよ!!遠足じゃねぇんだぞ!!」

と、怒鳴られる孝一と信二。

「はい!!すいません!!」

「はい!!すいません!!」

 そうしている間に、四人は、孝一が心配したように、島の最北端にある「断崖絶壁」へとやってくるのだった。孝一は、自分が予想した通りの展開に、心臓はドキドキ高鳴り、これからここで何をするのかと、不安な気持ちになってくるのだった。

 主将の大川が、その「断崖絶壁」の崖っ淵までやってくると、いきなり、「さあ、ここを降りるぞ!!」といって、ピョンとその「断崖絶壁」の向こう側へと飛び降りたのだった。

 孝一は、思わず、

「あ、危ない!!」

と叫びそうになる。

 その様子をみて、信二は笑いながら、

「ったく、孝一ったら臆病だな!!もう少し前の方に行って、下を見てみろよ!!」

と言うのだった。

 孝一は、恐る恐る、その崖っ淵へと近づいてみる。するとなんのことはない、そこは確かに崖なのであるが、大川がピョンと飛び降りた場所からは、下へ降りるための細い坂道が、崖の壁面ずたいに続いているのだった。

 中学生であれば、そこから転落する心配は、まずないといってよいほどの場所であった。要するに、孝一は、小学生の頃、万が一を考えた島の大人たちに脅かされ、島の北側には子供たちだけでいかないように仕向けられていたわけである。

「あっ!!なんだ・・・信ちゃん、あ、ごめん・・・信二は、知ってたのか!!」

「ああ、悪い・・・オレ、ここにもう来たことがあるんだ・・・先輩と一緒に・・・」

「なんで、ボクのこと、誘ってくれなかったの?」

「オレが誘うんじゃない、最初だけは、先輩に誘われないと、ここへはこれないんだ・・・まあ、サッカーがうまい順番だな!!」

「まあ、それは、ボクより、信二の方がサッカーずっとうまいし・・・」

「まあ、孝一に内緒にしていたこと、悪く思わないでくれよ!!」

 その坂道は、傾斜を緩めるため、なんども向きを変えながら、その崖の下まで降りていく。いわゆる九十九折(つづらおり)の坂道である。

 そして、孝一と信二も、先輩の背中をみながら、坂道の一番下へやってくるのだった。その坂道の一番下は、少し広い場所になっており、猫の額ほどなのだが、海側は砂浜のようになっている。そして、崖側には、なんと自然につくられたのであろうか、洞窟の入り口のような穴があいていたのだった・・・。

 大川は、孝一に向かって、自慢げに、

「ここが、俺たちの秘密基地、『精霊のほこら』だ!!今日からお前もここに自由に出入りしていいんだぞ!!」

と言うのだった。

 孝一は、「精霊のほこら」と聞いて、孝一が大好きなマンガを思い出し、

「えっ!!中にルピス様がいるんですか?」

と思わずマジ聞きしてしまうのだった。

 それには、大川、福本の先輩たちだけでなく、信二も、腹をかかえて大笑い。

「バーカ、鈴木はマンガの読みすぎだ!!」

と言われてしまう。

 しかし、先輩たちの顔は、急に真剣な顔になり、

「その前に、このほこらの住人になるための儀式をこれから行う!!」

と、大川が宣言するのだった。

 宣言するやいなや、大川は、いきなり、孝一の後ろに回り込み、孝一の両脇に、自分の両腕を通して、しっかりロックし、孝一を羽交い絞めのようにして動けなくしてしまう。

 そして、前からは、福本が、ニヤニヤ笑いながら、孝一のサカパンと白ブリーフを遠慮会釈なく、膝のところまで、ズズッと引きずりおろす・・・。

 孝一のまだ皮被りのジュニアが先輩たちの前に晒されるのであった。

「よし!!これらか、お前を真の男にしてやる!!このほこらには、真の男になったヤツしか入れねぇんだ!!暴れるなよ!!ジッとしてろ!!」

と、後ろから、大川先輩の声が聞こえてきた。

 孝一が、背中、そして、サカパンとパンツをひきずり下ろされた生ケツで触れる大川先輩の体躯は、孝一の想像以上に堅くて、孝一の心臓がドックンドックンと脈打ち始める。それは、長男・孝一が初めて触れる、オヤジ以外の年長男のたくましさだった。

 そして、あろうことか、大川先輩のたくましさを、背中と生ケツで感じ、孝一のジュニアは、ビコォ〜〜ンとすぐさま屹立してしまうのだった・・・。 

 福本先輩が、それをニヤニヤして眺めながら、

「あっ、コイツ、もうお勃起っていやがる・・・」

と言うのだった。

「想像以上に元気だな・・・さすが、教会の福音教室で四週連続でケツを叩かれたヤツだけあるぜ・・・コイツに、エロ本は必要ないみたいだな・・・福本、むいちゃえ!!」

と、大川は、福本に命令するのだった。

「よぉ〜し!!ちょっと痛いが我慢だぞ!!真の男になるための儀式だ!!」  
 
と言うと、福本は、孝一の屹立したジュニアの先端を指先でつかみ、そのつかんだ皮を、思い切り、下の方へと引っ張るのだった!!

ズルン!!!

「い、痛っ!!」

 それは、孝一のジュニアの亀頭を覆っていた皮がズルリと剥きあげられた瞬間だった!!

 ヒリヒリとした痛みを己のチンポの先端に感じる孝一。ちょっと怖くて、いま己のジュニアがどういう状態になっているのか、下を向き眺める勇気を持つことさえできなかった。しかし、己のジュニアの放つ、青臭いチンカス臭が、孝一の鼻にも到達していた。

「うわぁ!!チンカスがすげぇたまってる!!」

「おお、これはすげえなぁ・・・コイツ、いままで、皮の中で、夢精こきまくりだったようだな・・・海水で洗ってやってくれ!!」

と大川は、再び、福本に命令する。

 福本は嫌な顔一つせずに、むしろ、うれしそうに、海水を自分の両掌で何度も何度もすくってきては、孝一のジュニアの亀頭と、そしてカリと包皮で挟まれた「チンカス溜(だまり)」の部分を、丁寧に洗ってやるのだった。

 サッカー部副将として、普段の言動はかなり乱雑な福本だったが、孝一のジュニアを扱う福本の指先は、丁寧でやさしかった。そして、後ろで自分をガッチリ捕まえている主将の大川も、今日はやさしい兄貴といった感じ。サッカー部主将・副将として南の島中学では番長格の、大川・福本の大福コンビの意外なやさしさをみる孝一だったのである。

 福本の妙にやさしい指先タッチで何度も刺激され、孝一のジュニアは、もう快感の頂点に達していた・・・それに気がついたのか、大川も福本もニヤニヤ笑いながら、

「これが男の一人エッチだ・・・よく覚えとけ!!」

と言うと、福本のやさしい手つきが、急に荒々しくなり、孝一のジュニアをムンズと掴んだかと思うと、屹立した孝一の男性自身を上下に摩擦し始めるのだった。

「あっ・・・あぁ・・・も、もう・・・だ、ダメです・・・ボ、ボク・・・・」

と、孝一が絶頂に達しつつあった。

 まるで孝一をじらすかのように、福本先輩の右手の動きがピタリと止まり、今度は、絶妙のタッチで孝一のすでにうめぼしのように縮んだ玉袋を玩びはじめる。そして、福本先輩は、掌の上に孝一のタマタマをころがすようにして、「睾丸マッサージ」もどきをするのだった。

「へへ、コイツの金玉袋、もうこんなに縮んでやがる・・・」

 しかし、これもすぐに止まり、再び、福本先輩の右手は、孝一の屹立した男性自身を、扱き始めるのだった。

「あぁ・・ああ・・・」

と、股間を襲う熱くて重くてむず痒い快感に、腰をクネクネと動かし始める孝一。

 孝一は、急に父親・孝と小村司祭の顔が思い出され、なぜか罪悪感に苛まれ、目をつむってしまう。しかし、自分のジュニアを挟むようにつかんでいる福本先輩の手と指先の動きを孝一はしっかりと理解し、それを記憶として自分の脳髄にしっかりと刻んでいく。。
   
 目をつむると、倒れそうになる自分を後ろで支えてくれている大川先輩のたくましいて堅い体躯を再び感じとってしまう。

 孝一は、自身の肩甲骨あたりに、大川先輩のビンビンに立った乳首を感じ、そして、丸出しの生ケツでは、なんと、サカパン特有のサラッとした肌触りの他に、サカパンの中で石のように硬くなった大川先輩のたくましい男性自身を感知してしまう。

 孝一は、まだオヤジのもみじ印がピンク色にうっすらと残る自分の生ケツを、やや遠慮がちに、そっと、先輩のサカパンの方へと押しつけてみる。

 しかし、大川先輩は、もっと大胆だった。「遠慮はいらねぇぜ!」とばかり、今度は、大川先輩が、サカパンの股間を孝一の生ケツの方へとグイグイ押し付けてくるのだった。

「大川先輩のチンチンって、デカくて硬い・・・」

と思った瞬間だった。

 孝一は、己のジュニアに感じる気持ちのよさに抗しきれなくなってしまい、ついに、

「あっ・・・あぁ・・・い、いくぅ・・・・・」

と声をうわずらせながら、福本先輩の手のひらの中で果てるのであった。

「よし!一丁上がり!!」

と言うと、福本は、孝一の男性自身から手を放し、海水で自分の手を流しに行くのだった。

 そして、孝一は、大川先輩の羽交い絞めからも解放され、再び、パンツとサカパンを上げることを許されるのだった。

「よし!鈴木!!これでお前も今日から真の男だ!!山田!!そうだよな!!」

「は、はい!!こ、孝一は、真の男になりました。し、親友のオレが見届けました!!」

と、孝一の勃起するジュニアをみていて、なぜかアブノーマルな気持ちになってしまい、サカパンとブリーフの中の自分自身のジュニアもかなり危ない状態の山田は、興奮気味に声をうわずらせながら、返事をするのだった。

 大川は、信二の男性自身も半勃起ち状態であることを見抜き、わざと信二のサカパンの股間部分を刺激するようにさわりまくると、

「おまえもやりてぇのか?」

「は、はい・・・」

「よし!!今日の『ほこら当番』は、一年の山田と鈴木だ!!徹底的に掃除して、磨いとけ!!」

と言うと、信二の方を見て、ニヤリと笑うのだった。それは、「わかってるよな・・・よぉ〜く磨いて掃除しとくのは、おまえらのナニの方だぜ・・・」と言わんばかりの表情だった。

 山田は、

「は、はい!!」

と喜んで返事をする。

 その返事を聞いて、満足そうな顔をすると、大川先輩は、鈴木の方をみて、少し真剣な顔つきになると、

「いいか、真の男になった以上は、教会の福音教室で、オヤジさんからケツ叩き食らうのはナシだからな!!」

と言うのだった。

 戻ってきた福本も、

「そうだ!!今後、もし福音教室でケツ叩きを食らったら、サッカー部の名誉を汚したのと同じだからな!!ヤキ入れだから覚悟しとけ!!」

と、孝一のことを脅かすのだった。

 ちょっと不安そうな顔になって、「は、はい・・・」と返事をする孝一。

 しかし、そんな不安顔の孝一をスルーするかのように、大川が福本に声をかける。

「福本、もうオレたちは戻ろうぜ!!」

「ああ、オレたちは、先にいくから・・・あとは、おまえらで、適当にやっとけよ!!」

と言うと、信二と孝一の

「ありがとうございました!!失礼します!!」

の挨拶に振り向くこともなく、さっき下りてきた坂道をどんどんと上がって行ってしまうのだった。

 信二は、孝一と二人きりになると、孝一の顔をニヤニヤ見ながら、

「中に、先輩たちが持ち込んだ、いやらしい本いっぱいあるんだぜ!中に入ってやっちゃおうぜ!!孝一も、もう一発、抜きたいだろ?」

と言う。そして、信二は、孝一をその洞窟の中に誘い込むように、孝一の右手をグッとつかみ、孝一を引きずるかのようにグイグイと引っ張るのだった。

「あ、ああ・・・」

と返事をして、信二に引っ張られるままに、洞窟の中に入っていく孝一。

 その中は、それほど広くはなかったが、中学生くらいの男子が「秘密基地」として喜びそうな「こじんまり感」があった。そして、誰が持ち込んだのか、薄汚れた本棚には、女性の豊満な裸体の写真が満載のエロ本が何冊も置かれていた。

「おい、孝一、これ見ろよ!!やべぇーー」

と興奮しながら、それを孝一に見せてくる信二。

 しかし、孝一は、それらの本に興味を示すことができなった・・・。その時の孝一の頭の中を占領していたのは、大川先輩のあのたくましくて硬い体躯と、サカパンの中で石のように硬くなっていた、先輩の男性自身のことだったのである・・・。

 親友・信二の興奮をよそに、

「もっと、じっくり観察してみたいな・・・大川先輩のおチンチン・・・それで、今度は・・・大川先輩に、ゴシゴシやってもらいたいな・・・フフフ。」

と、思わずつぶやきそうになる。ある一線を越えれば、結構大胆になってしまう、中学生になった鈴木孝一だったのである。

おわり

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