2010新春・新作短編 ケツ丸出しのヒーローたち 〜とある野球部の納会風景〜
この物語はフィクションです。この物語に、暴力、体罰、いじめ、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等の違法行為・不適切行為を称賛したり助長させたりする意図はありません。
五、ケツ丸出しのヒーローたち 〜式次第 反省文朗読に引き続き・・・〜
ホテル緑翠の宴会場。200人以上が出席する結婚式も余裕でできるほど広い、その古風な町で一番大きな宴会場だ。
緑翠舎高校・硬式野球部の納会。毎年、ホテル緑翠の宴会場で、新OB、現役部員、父兄、OBらを招いて盛大に執り行われる。卒業したばかりの三年生・新OBたちにとっては、卒部式であり、OB歓迎会でもあった。
その納会でたった今、舞台中央で一人一人順番に反省文を読まされているのは、緑翠舎高校・硬式野球部・新OBの鈴木康平、岡田大輔、山本将太の三人。会場の後輩たちの視線が痛かった・・・。
前年の秋、野球部引退直後に、飲酒した揚句、市民の憩いの場、城址公園で、深夜、真っ裸で大騒ぎして補導され、高校そして野球部関係者に多大な迷惑をかけた罰だった。
三人の反省文は、どれも似たり寄ったりの内容で、本当に反省しているのか疑わしいものだった。当然、OBたちからは、
「反省がまだまだ足りん!!」
「そうだ!!母校の名誉に泥を塗りやがって!!」
「オヤジさんの膝上でたっぷり反省しろ!!!」
と厳しいヤジが次々に飛んだ。
もちろん、OBたちは、罰が反省文朗読だけでは済まされないことを知っていた。反省文朗読の後、「あれ」が予定されているのだ。OBたちのそのヤジは、まるでそれを早くやってくれと催促するかのようにも聞こるのだった。
鈴木・岡田・山本の三人とも頭は反省のためのクリクリ五厘坊主。他の新OBが引退後すでに髪が長くなってきている中で、三人は、まるで新入部員の一年生のようだった。
そして、顔は耳まで真っ赤。三人とも、反省文朗読中、会場のOBたちのヤジが耳に入ってくると、ドギマギした様子で、反省文を読む声はどんどん小さくなり、最後は蚊のなくような声になる。
「オラァ!聞こえねぇぞ!」
とヤジが飛ぶと、その泣きべそ顔はますます紅潮し、まるでゆでダコのようになるのだった。
反省文朗読は、自分の番が終わっても、席には戻れない。三人は、それぞれ舞台に立ったまま、他の二人が反省文を読んでいる間、舞台中央に真っ赤な顔を下に向けて、立っているしかないのであった。
やがて、三人全員が反省文を読み終わると、会場から割れんばかりの拍手が起きる。しかし、その拍手が自分たちに向けられたものでないことを、鈴木・岡田・山本の三人はすぐに知るのだった!!
今度は、鈴木・岡田・山本のオヤジさんたち三人が舞台にあがってきて、三人の後ろにそれぞれ置かれていた椅子に座ろうとしていたのだった。右手には、あのホテルの部屋備え付けの重厚感ある木製ブラシが握られていた・・・。
会場にいたホテルの従業員は、野球部OBである副支配人の田所大助以外、いつしか全員退場させらていた。また、新OBと現役部員の父兄も、納会に参加しているのは、父親か兄弟など男ばかりで、宴会場は完全に男だけの世界になっていた。
宴会場はホテルの2・3階部分にある。
正面に舞台があり、納会では、向かって右側に、18人の新OBが座っている。三つの空席は、鈴木・岡田・山本らのものだ。全員、前年・夏の甲子園ではベンチ入りした、甲子園のヒーローたちだった。彼らは、会場内で唯一、同期の鈴木・岡田・山本に同情的な視線を向けている集団だった。いよいよ始まる三人のお仕置きを前に、三人同様、心臓はドキドキ高鳴っていた・・・。
そして、舞台向かって左側には、監督・コーチ陣が座っている。前年・秋の鈴木・岡田・山本らによるフリチン事件で、全国的に恥を掻かされた今泉監督は、終始、渋い顔で目をつむったままだった。コーチ陣も、全員、厳しい表情だった。
一方、客席に目を向けると、父兄を含めたOBたちは、これから始まる父子3組の「お仕置きショー」を前に、なにやら、いつもの納会よりもテンションが高めだった。
また、現役部員たちは、内心はどうであれ、意外なほどに、大人しく、目線下向き、神妙な面持ちでその時を待っていた・・・。
今泉監督の指示で、現役部員たちの席を一か所にまとめず、その席順を、現役部員と父兄と交互にしたのが効を奏している様だった。自分のオヤジさんたちに挟まれ、現役部員たちは、お互い、気軽に話したり騒ぐことができなかったのだ。
これから始まる父と息子の「お仕置きショー」にシナリオはなかった。司会者もいない。今泉監督は、三人の父親たちに、「いつもご家庭でやっているように『あれ』をやってください。」と言っていたのだった。
「オラァ!大輔!!こっちへ来い!!」
と口火を切ったのは、三脚の椅子の中央に座った岡田大輔の父、岡田喬雄だった。言わずと知れたその町の警察署に勤務する現役警官だった。そのド迫力の声が納会会場に響き渡ると、いままでざわついていた会場が、水を打ったように、一瞬にしてシィ〜〜〜ンとなるのだった。
警察官の制服姿で背筋をピンと伸ばし、父と子のスキンシップ用の椅子に座る岡田大輔のオヤジさんの威圧感は、他の二人の父親を、はるかに凌駕していた。
極悪人をもビビらせるであろう、そのドスが効いた低い声は、会場のオヤジOBたちをも、ビビらせていた・・・。
舞台上の岡田大輔の同期の新OBたちは、思わず、ケツが椅子から浮くほどにビクッとし、
「ひぇ〜〜〜、大輔のオヤジさん、超怖ぇじゃん!」
と思うのだった。
岡田大輔は、覚悟を決めたのか、蚊のなくような声で、
「はい・・・」
と返事をして、椅子に座っているオヤジのところへ行くのだった。
舞台に設えられたオヤジ用の椅子は、それぞれ、舞台正面に向かって横向きに置いてある。オヤジさんたちは、会場に対して横向きに椅子に座っている。すなわち、岡田大輔は、舞台正面に向かって、すなわち、会場にケツを向けて、立っているのだった。
いつもそうしろと言われているのか、オヤジさんの前に立つ岡田大輔は、両手は脇にピシッとつけたまま、微動だにしない直立不動の状態だった。
大輔のオヤジさんは、少し静かな穏やかな声になり、
「大輔!とうさんの目をしっかり見て、なぜ、罰を受けなければならないのか、男らしくはっきりと言いなさい!!」
と、息子に向かって命令するのだった。
大輔は、真っ赤な顔のまま、しかし、父親に命令された通りのはっきりとした口調で、
「はい・・・未成年なのに酒を飲み、城址公園で酔ってまっ裸で騒いだからです・・・」
と答えるのだった。
大輔のオヤジはうなずきながら、さらに、穏やかなやさしい口調で、
「そうだな。では、なぜ、みなさんの前で罰を受けなければならないのか、男らしくはっきりと言いなさい!!」
と、息子に問いかけるのだった。
大輔は、
「はい・・・迷惑をかけた皆さんに、ボクが十分に反省したところを見ていただくためです・・・」
と答える。さすが、警官の息子である。まるで、法廷想定問答集で練習してきたような模範的な受け答えだった。岡田大輔のその受け答えを聞いた客席のOBオヤジたちは、ちょっと酒が入った赤ら顔で、少しは満足したのか、何度も何度もうなづくのであった。
大輔のオヤジは、さきほどよりは、少し厳しい声になり、
「よし!いい覚悟だ!ならば、準備をしなさい!!」
と、息子・大輔に、罰を受ける準備をするように促すのだった。
「は、はい・・・グスン!!」
と、急に涙声になる大輔だった。涙が目からこぼれないよう、必死で、瞼をおさえるようなしぐさをする大輔だった。
恥ずかしい膝上ケツ叩きの罰を前にして、大輔は、こみ上げてくるものを抑えることができなかった。それは、18歳にもなって、衆目、ガキのようにオヤジの膝上でケツを叩かれる情けなさか、オヤジ、いや、己に対する悔しさか・・・。
大輔の涙声は、一種の呼び水になったのか、悪ガキトリオの他の二人、鈴木と山本も、オヤジからの膝上ケツ叩きのお仕置きを前に、涙を堪えられない様子で、瞼を必死でおさえるのだった。
大輔は、制服のブレザーを脱ぎ、制服のズボンのベルトを緩め、ズボンを膝のところまで下ろすのだった。大輔のオヤジさんは、すかさず、
「よし!シャツのすそをめくって、尻をしっかりと出しなさい!!」
と、息子・大輔に命令する。
一瞬、ためらう大輔。しかし、オヤジの厳しい視線が、「早くせい!」と言っているのが、大輔には痛いほどわかった。大輔は、うなだれるように、がっくりとして首を垂れ、シャツを上にめくって、パンツを丸出しにするのだった・・・。
一瞬、ざわめく会場。それはオヤジOBたちのざわめきではなく、現役部員たちのざわめきであることが、大輔にもすぐにわかった。
大輔が、三年間、ひた隠しにしてきた秘密・・・オヤジのお下がり白ブリーフが、後輩たちの目の前に晒された瞬間だった!
恥ずかしさで後頭部がカァ〜〜と熱くなる大輔だった。そして、あきらめたのか、大輔が、オヤジの膝の上に、己のケツをのせるべく、屈もうとしたその瞬間だった!
「オラァ!まだ足りんだろ!!このボケ!!パンツも下げんかい!!!」
と、再び、急に「鬼刑事」言葉になる大輔のオヤジさん。ざわめいていた会場が、再び、シィ〜〜ンと静まり返るのだった。
「ヒェ〜〜〜〜!いきなり生か・・・こりゃ、半端じゃなく、キツイぜ・・・」
と思わずうなる会場。それは、大輔の同期だけでなく、現役部員たちだけなく、オヤジOBたちをもそう唸らせる厳しい父子の様だった。
「いきなり生かよ・・・いくらなんでも、いきなり生はむかつくぜ!」
と、大輔の中に、オヤジさんに対する反抗心がもたげだしたのか、大輔は、オヤジにわざと聞こえるようにため息をつき立ち上がろうとする。
しかし、そんな大輔の反抗心の芽を、すぐさま叩きつぶすかのように、大輔のオヤジさんの右手に握られた木製ブラシが、
バチィ〜〜〜〜ン!!
と、大輔の白ブリーフのケツに容赦なく飛ぶのだった!
「い、痛てぇ〜〜〜〜!!」
と思わず叫び、体をのけ反らせると、白ブリーフのケツを両手で必死に押さえもみながら、大輔は、ピョンピョンと、その場で何回も飛び跳ねるのであった。
会場は、引き続き静まり返っていた。大輔のオヤジさんの木製ブラシが、大輔のケツを打ち据えた、その音が、舞台に配置されたマイクを通して宴会場全体に響き渡り、会場の納会参加者たちは、思わず条件反射的に、ケツをキュッと締めるほどビクッとするのだった。
「オラァ!早うパンツをおろさんかい!!」
と、大輔のオヤジさんのド迫力ぶりに、会場は呆気にとられるのだった。
大輔は、再び、オヤジさんのところに立って、パンツを膝上まで下ろすと、シャツの裾を上げてケツを丸出しにする。大輔は、上体を屈めようとする。しかし、大輔のオヤジは、
「まだだ!!」
と息子がすぐに屈むことを許さなかった。いやがうえにも、大輔の丸出しのケツは、会場全体に晒される。大輔は、先輩OBや後輩たちの視線を、ケツにチクチクと感じつつ、思わず、ケツ筋をピクピクと小刻みに震わせるのだった。
ケツ丸出しのまま、直立不動の姿勢でオヤジの前に立たされる大輔。罰を受ける前の、オヤジからの最後の質問だった。
「大輔!とうさんから何発、尻を叩かれれば、十分に反省できるか、言ってみろ!!」
「えっ・・・そんなの・・・・」
「わからないのか?さあ、早く答えるんだ!!」
「・・・・・・・」
「わからないのか?えっ?大輔!!ならば、男らしく、わかりませんと言いなさい!」
「は、はい・・・わ、わかりません・・・」
「よろしい!!わからないのであれば、とうさんが、おまえが反省したと認めるまで叩くことにする!!いいな!!」
「えっ・・・・グスン・・・」
再び、恥ずかしくて、情けなくて、悔しくて、涙がこみ上げてきてしまう大輔だった。
「バカもん!!泣いてどうする!!泣くくらい悔しいなら、もっと大人になれ!!酒に酔ってベロンベロンなり、人前で真っ裸になるなど、ガキのすることだ!!」
と、一喝するのだった。
大輔は、そのオヤジさんの説教に、ただうなだれるように首を垂れ、
「はい・・・」
と、蚊の鳴くような声で返事をすると、オヤジさんの膝上に屈むようにして上体を乗せ、少しずつ体重を前へ移動し、そしてついには、ぺロォ〜〜ンと白い、しかし、プリッと盛り上がった、野球で鍛えた肉厚のケツを、オヤジさんの膝上の乗せるのだった。
大輔のオヤジさんのド迫力に呆気にとられ、そして、岡田父子の「お仕置きショー」に思わず見入ってしまっている鈴木父子と山本父子。鈴木のオヤジさんも、山本のオヤジさんも、息子を自分のところへ呼び寄せることも忘れていた。
「さあ、鈴木さんも山本さんも、遠慮せずにどうぞ!」
と、さっきまで目をつむったままだった今泉監督が、二人の父親に促すのだった。
ハッとした二人のオヤジさんたちは、
「さあ、康平!!こっちへ来い!」
「さあ、将太!!こっちへ来なさい!!」
と、岡田のオヤジさんに負けじと、厳しい声で、息子たちを呼びつけるのだった。そして、息子たちは、岡田大輔と同じく、ズボンとパンツを膝上まで下げて、ケツ丸出しとなり、オヤジさんたちの膝上にプリッとケツを上向けにして乗り、罰を受けるのを待つのだった。
三人の悪ガキのケツが三人のオヤジさんたちの膝上に揃って乗ったことを確認すると、やはり、中央に座っている岡田のオヤジさんが、先導するかのように、息子の腰のあたりを左手でグッと押さえ、木製ブラシを持った右手を、頭の上まで高く振り上げると、それを思い切り息子のケツめがけて、
バチィ〜〜〜〜ン!!
と一気に打ちおろすのだった!!
「ギャァ!!!痛てぇ〜〜〜〜〜!!!」
と、オヤジさんの膝上で思わずのけ反り、頭を上げる大輔。
しかし、大輔のオヤジさんは、容赦なかった。
「オラァ!頭を上げてどうする!このボケ!!!上げるのはケツじゃ!!」
と、ド迫力の「鬼刑事」言葉で、息子を一喝したかと思うと、左手で、大輔のクリクリ坊主頭を、ギュッと押さえて、強引に押し下げるようにするのだった。その反動で、再び、プリッと宴会場の天井へ向けて大輔のケツが突き出される。さこへすかさず、
バチィ〜〜〜〜ン!!
と、二発目を見舞う、大輔のオヤジさん。
客席のOBや現役部員たち、そして、舞台の鈴木や山本のオヤジさんたちは、大輔のオヤジさんが、自分の膝上に乗った息子のケツを打ち据えるそのド迫力の様子を、圧倒された顔つきで、固唾を飲むようにジッと見守るのだった。
六、お仕置き暴露!!饒舌になる客席のオヤジたちと赤面沈黙する息子たち
〜「と、とうさん・・・そんなことまで、後輩の前で言わなくたって・・・」〜
バチィ〜〜〜〜ン!!
と、三本の木製ブラシが、18才の野球部野郎のプリッとした三つのケツの双丘に、遠慮会釈なく着地する。
バチィ〜〜〜〜ン!!
と、時には同時に。そして、
バチィ〜〜〜〜ン!!バチィ〜〜〜〜ン!!バチィ〜〜〜〜ン!!
と、特には時間差攻撃で。
そのたびに、舞台中央、椅子に座ったオヤジたちの膝上でむき出しの生ケツを晒している息子たちの低い呻き声が漏れてくる。
鈴木康平と山本将太は、首を垂れたまま、目はギュッと瞑り、焼けるようなケツの痛みと、オヤジにケツを叩かれていることを後輩たちに見られている恥ずかしさにジッと耐えていた。
叩きの回数は、もう軽く50回は超えていただろうか・・・。父子のお仕置きケツ叩きは、ケツが麻痺するほど強いものではない。だからこそ、息子たちは、一発、一発、オヤジの愛情をケツにしっかりと感じ、時には後悔、時には反省できるのだ。
時折、オヤジの右手に握られた木製ブラシが、自分たちのケツを強襲するたびに、思わず右手を上げて背中そしてケツの方へ伸ばそうとするが、
「手が邪魔だ!両手はしっかり下についとれ!!」
と、あっけなくオヤジに振り払われてしまう。
一方、3組の父子の中央で、オヤジの膝上ケツ叩きを受けている岡田大輔は、いつも家庭で指導されているのか、首を上げて、目はカッと見開き、前をジッと見つめたままであった。もちろん、オヤジの木製ブラシが、大輔のケツに、ハードランディングする度に、目の奥では火花が散り思わず目をつむってしまう。しかし、オヤジに負けじとすぐに目を見開いて、プリッとしたむき出しのケツの双丘に感じる焼けるような痛みを、一発一発味わうかのように、奥歯をグッと喰いしばって耐えていた。
康平、将太、そして、大輔。ケツ丸出しの甲子園のヒーローたちは、自分たちの反省が、オヤジたちにいつ認められるのか・・・そんなことを考える暇さえ与えられれないほど、オヤジたちの怒りの炎に燃えた木製ブラシは、大輔たちの肉厚のケツを続けざまに打ち据えていた。そして、大輔たちは、ただただジッと歯を喰いしばってそれに耐えるしかなかった。
オヤジの膝の上は、生ケツ丸出しのわんぱく息子たちにとって、決して居心地のいい場所ではない!!
固唾をのんで舞台をジッとみつめる客席のOBオヤジや現役部員たちは皆そのことを知っていた。
また、舞台の後方に座っている指導陣、特に若手コーチ、そして、大輔たちと同期の新OBたちも、その三組の親子のスキンシップの様子を間近に眺め、
「ひぇ〜〜厳しいィ〜〜〜〜!!」
と、時には思わずゴクリと生唾をのみこみ、オヤジたちの木製ブラシが、息子たちのケツをクリティカル・ヒットした時は、
「ぎゃぁ〜〜〜痛てぇ〜〜〜!!」
の息子たちの悲鳴とともに、
「今のは入ったぁ!!!」
と、思わずケツ筋をキュッキュッと締めざるを得ないのであった・・・。
特に、警察官のユニフォームを来て背筋をピンと伸ばし、三つのイスの真ん中に座り、息子のケツをビシビシ厳しく叩いている岡田大輔のオヤジの迫力は、その左右で、やはり膝上の乗せた息子の生ケツを厳しく仕置きする鈴木康平、山本将太のオヤジさんたちの厳しさを圧倒していた。
岡田大輔のオヤジは、ただ息子のケツを叩くだけではなかった。
バチィ〜〜〜〜ン!!
と、大輔の上向きのケツに、木製ブラシを一発入れる度に、
「オラァ!!しっかりケツをあげんかい!!」
バチィ〜〜〜〜ン!!
「オラァ!!まだまだ!!」
ベッチィ〜〜〜ン!!
「オラァ!!反省が足りん!!」
ベッチィ〜〜〜ン!!
「オラァ!!もう一丁!!」
そして、大輔が、「痛てぇ!」と思わず声を上げようものなら、
「オラァ!!男ならこのくらい痛くない!!」
と、低いド迫力の声色で、まるで独りごとでもつぶやくかのように、息子に声をかけるが早いか、
バチィ〜〜〜〜ン!!ベッチィ〜〜〜ン!!バチィ〜〜〜〜ン!!
と、息子のケツに木製ブラシの連打の雨を見舞うのだった。
しかし、それは、感情にまかせて怒鳴っているのとは違い、十分に声量をコントロールしたもので、大輔と、そのまわりの人間にしか聞こえないような小声であった。しかし、それだけに、なんとも威圧感のある叱咤激励なのであった。
大輔のオヤジさんのその声に影響されたのは、両脇で息子のケツを叩いている鈴木康平と山本将太のオヤジさんたち。
「大輔君のオヤジさんには負けられない!」
と、そろそろ疲れてきた(爆)右腕などなんのその、渾身の力を込めて、岡田大輔のオヤジのケツ叩きのリズムに合わせるように、息子たちのためになるようにと、その生ケツに、ビシッ!ビシッ!と「愛のムチ」を入れていくのだった。
客席にいると、岡田大輔のオヤジのその呟きのような叱咤激励は聞こえなかったが、大輔のオヤジのケツ叩きの厳しさと迫力は、十分に伝わってくるのだった。そして、大輔のケツの色が、ピンク色から、早々、深紅に染まっていったことからも、その厳しさが十分にみてとれたのであった。
大輔のオヤジは、全く乱れることなく、規則的に、右手を高く上げては、それをビュッと空を切るように思い切り振りおろし、握った木製ブラシを、
バチィ〜〜〜〜ン!!
ベッチィ〜〜〜ン!!
と、息子のケツのど真ん中に打ちおろしていく。それはまるで、ケツ叩き刑執行ロボットのようだった。
ある世代以上のOBオヤジたちからは、思わず、
「昔のオヤジはあのくらいが普通だったよなぁ・・・・」
と、思わず感嘆の声が漏れるのだった。
そして、本来なら、先輩たちのおケツ丸出しの超恥ずかしいお仕置きシーンを目撃して、「これは一生もの!」とニンマリ顔なはずの現役部員たち・・・。
しかし、彼らの顔は、一様に浮かない顔だった。彼らのオヤジたちが、岡田大輔先輩のオヤジさんの一挙手一投足に、いちいち頷き、異様に高揚し興奮した目つきになってきたためだった。
さらに悪いことに、酒が一杯入り、いつもは無口なオヤジさんたちが、宴会場のあちこちで、いつにはなく饒舌になってきていることだった。
2年A組の硬式野球部・悪ガキトリオの近藤隆志、誉田泰博、宮本健太の3人も気が気ではなかった。彼ら3人は、後輩の1年生たちの席に一番近いところにいた。オヤジたちが、いまにも、自分たちが家で「あれ」食らっていることを話し始めるのではないかとハラハラ・ドキドキであった。
しかも悪いことに、宴会の席次は、父、息子、父、息子の互い違い。いつもなら悪ガキトリオが相談し一致協力して、うまくオヤジたちの話を逸らすこともできるのだが、今回は、それもかなわなかった。
三人は願っていた。オヤジたちには、ゴルフのスコアの自慢でもしていてほしいと。しかし、ついに近藤隆志のオヤジさんが口火を切ってしまった!!
酒が入って赤ら顔の近藤のオヤジさんは、舞台から聞こえる、息子の先輩たちの「ケツ太鼓」の
バチィ〜〜〜〜ン!!
という音に負けないくらいのデカイ声で、
「今度からうちもあれでいくか!?なぁ、隆志?」
と、隣に座っている息子の肩に手をおいて言ったのだった!!
サッと顔を赤らめ下を向く近藤隆志。
「あれってなによ?オヤジ・・・」
と、言い返したくても言い返せなかった。ただただ、下を向いて、オヤジのしゃべりが止まるのを待つしかなかった。
まわりの息子たち、そして、後輩たちが、近藤父子の方に目を向けているのが、下を向いている隆志にも痛いほどにわかった。もう顔からは火が噴き出しそうなほど、恥ずかしかった。
「今度から、あの木製ブラシでビシッとやってやるよ・・・なぁ隆志!!ガハハハハ!!」
と、近藤のオヤジさんは、息子が隣で恥ずかしがっていることなどおかまいなしだ。
バチィ〜〜〜〜ン!!
ベッチィ〜〜〜ン!!
その間にも舞台の上では、近藤の先輩たちが、オヤジさんたちから、木製ブラシの連打をタップリ生ケツに食らっている。しかし、近藤父子の周りでは、もう舞台を気にするものはいなかった。先輩たちのケツ太鼓の音は、BGMへとなりつつあった。
近藤のオヤジのすぐ隣に座っていた、近藤隆志の後輩・岡部亮太が、思わずニヤリとするのだった。
「あっ、近藤先輩・・・つい最近、オヤジさんから『あれ』食らったばかりなんだ・・・」
と思うのだった。
近藤隆志の恥ずかしがり方とその表情で、まわりにいるオヤジさんたちも、後輩たちも、近藤家においてオヤジさんの平手が息子のケツにうなりを上げたのが、そう遠い昔ではないことがすぐにわかったのだった!!
近藤のオヤジさんのしゃべりは、止まるところを知らなかった・・・
「つい先週も、コイツ、部屋でタバコ吸いやがったんですよ・・・だから、約束通り、オレの膝の上で、生ケツ丸出しだよな!!隆志!!」
「・・・・・」
「返事はどうした!?隆志?」
と、ちょっと怒ったように声を荒げる近藤のオヤジさん。
隆志はあわてて、
「は、はい・・・」
と、下を向いたままで蚊のなくような声で返事をする。近くにいる後輩たちから、
「先輩、オヤジさんにタバコみつかって、ケツ叩き食らったんスかぁ?ダッセェ〜〜〜!!」
と思われていると思うと、近藤隆志の羞恥心は、もう頂点に達してしまうのだった。
前に座っていた近藤の悪友、宮本健太のオヤジが、
「先輩のところは、生尻折檻ですか?厳しいッスねぇ・・・」
と、今更のように聞いてくるのだった。宮本健太のオヤジさんは、野球部時代、近藤のオヤジさんの一年下の後輩だった。
近藤のオヤジさんは、ちょっと自慢げに、
「あたりまえだ!!おまえのところは違うのか?宮本!おまえちょっと息子に甘いんじゃねぇか?」
と、宮本のオヤジさんに意見するように聞いてくるのだった。
今度、顔を赤らめるのは、宮本健太の番だった。
健太のオヤジさんは、先輩から「息子に甘い!」と言われたのが悔しかったのか、ちょっと口をとがらせて、
「うちは、たいていパンツの上からですよ。コイツ、ガキの頃からトイレでクソした後もろくにケツ拭かないんですからね。ウンコがいつもケツ穴のまわりにくっついてて、生ケツなんて、汚くて叩けたもんじゃないですよ!!ガハハハハ!!」
と、いいわけにもならないことを言い放つのだった!!
後輩たちの視線を一斉に浴びる、宮本健太。もう顔はゆでダコのように真っ赤になって下を向いたまま、顔を上げることなどできなかった。
そして、健太のオヤジさんは、少しまじめになって、
「でも、うちは、健太が泣くまで、ケツをタップリ叩きますからね!厳しさは先輩のところと同じですよ!なあ、健太!オレにケツ叩かれた晩は、いつも泣きながら布団にもぐって寝るんだよな!!」
と、負けてはいないのであった。
後輩たちが、
「えっ!先輩、オヤジさんの膝上で泣くんですか!!ダッセェ〜〜!!」
と思っているに違いないと想像し、健太は悔しさと恥ずかしさで両手のひらをグッと握りしめるのだった・・・。
「それにしても、あの木製ブラシは、ケツに効きそうですね〜〜!!お仕置き効果満点ですよね〜〜!!」
と、今度は、誉田のオヤジさんが、しみじみと言うのだった。
「あぁ・・・オヤジ・・・もうこれ以上、言わないで・・・」
とでも言いたげに、オヤジの方をさかんに見る息子の泰博。しかし、その願いは、オヤジには届かなかった・・・。
誉田のオヤジさんの言葉に、近くにいたオヤジさんたちは、さかんに頷くのだった。それに我が意を得たりと、誉田のオヤジさんは、さらに得意げに続ける。
「今泉先生の御蔭で、コイツらも年々ケツをしっかり鍛えられてますからね・・・コイツらの生ケツ、平手でどんなに強くぶん殴っても、最近は、なかなか効きませんよ・・・ガハハハハ!」
と言うのだった。
それを受けて、近藤のオヤジさんが、
「ほお、誉田君のところも、生でやるのか?」
と、誉田に聞き返す。息子・泰博にとって、それがビールの話題であったらどんなに気が楽なことだったか・・・しかし、それは、生はナマでも、おケツの話題。思春期の息子たちにとっては、超恥ずかしい、羞恥心直撃の、オヤジの膝上でのケツ叩きの話だった。
「オヤジ・・・答えないでくれ・・・・」
との、泰博の願いも虚しく、誉田のオヤジさんは、得意げに、
「ええ、うちは、中学生の時はパンツ一丁で膝上でした。けど、高校生になってからは、中学卒業の時にした約束通り、弟たちの前でも、真っ裸にして、自分の膝上に乗せて、ビシッと躾けてやります!!なあ、泰博!!」
と言い、息子の肩に手をかけてニヤリとするのだった。
「オ、オレにふらなくても・・・」
と、真っ赤な顔で下をむいたままの誉田泰博だった。
「ほお、真っ裸か・・・それもいいなぁ・・・」
とつぶやくように言う近藤のオヤジさん。
「えっ・・・そういうことは、ま、まねしなくても・・・」
と思いつつ、恥ずかしさで顔を上げることなどできない近藤隆志だった。
「けど、平手ですからね・・・どこまでコイツは反省しているのだか・・・こっちの手が痛くなるわりには、懲罰効果がイマイチのような気がしますね・・・」
と、誉田のオヤジさんは、しみじみと言うのだった。
そして、宮本健太のオヤジさんが、
「どうでしょう。田所に言って、あの木製ブラシを何本かわけてもらうというのは!」
と、提案するのだった。
息子の健太は、下を向きつつ、「チェッ!オヤジのヤツ・・・余計なことを・・・」と思うのだった。
しかし、
「おお、それはいい考えだ!」
「さっそく、納会が終わったら、田所のところへ行きましょう!」
と、近藤と誉田のオヤジさんたちは、大いに乗り気だった。
饒舌になるオヤジたちと赤面うつむきがちの息子たち・・・そんな光景が、宴会場のあちこちで繰り広げられていた。そして、舞台の上での、三人の甲子園ヒーローたちのケツ叩きの、
バチィ〜〜〜〜ン!!
ベッチィ〜〜〜ン!!
という音が、完全にBGM化したその時だった!!
ベキィ!!!
という音とともに、岡田大輔が、オヤジさんの膝上で、のけ反るようにして、
「ぎゃぁ!!痛てぇ〜〜!!」
と叫び声を上げるのだった。
そして、客席から
「あっ!危ない!」
という声が上がる。
岡田のオヤジさんの右手に握られていた木製ブラシのヘッドの部分が、宴会場の天井に高く舞い上がるようにして、客席の方へ飛んでくるのだった!!岡田のオヤジさんの右手に握られた木製ブラシが真二つに折れたのだった。
再び、客席のOBオヤジや現役部員たちは、岡田父子たちのケツ叩きの方へ目を向けるのだった。
岡田のオヤジさんは、いまいましそうに、自分の右手に残った木製ブラシの柄を見て、
「チッ!使えねぇブラシだ!!」
とでも言いたげな表情で、そのブラシを舞台の上に放り投げるのだった。
そして、今度は、右手のひらを広げて、それを高く挙げると、ブン!と、右手全体を息子のケツに思い切り打ちつけるように振り下ろし、
ベチィ〜〜〜ン!!
と、息子のケツを平手打ちにするのだった。
「ぎゃぁ!!痛てぇ〜〜!!」
と、再び、オヤジさんの膝上でのけ反り、叫び声を上げる大輔。
機動隊出身のオヤジの鋼鉄のごとく堅い鍛えられた上腕は、木製ブラシをもしのぐ、強烈なケツ叩き道具だった。
ベチィ〜〜〜ン!!
バッチィ〜〜ン!!
と、岡田のオヤジさんの平手が、大輔のケツを打ち据える度に、息子・大輔は、絞り出すような声で、
ベチィ〜〜〜ン!!
「ごめんなさい!!」
バッチィ〜〜ン!!
「反省しました!!」
ベチィ〜〜〜ン!!
「もうあんなバカなことはしません!!」
バッチィ〜〜ン!!
「一生!!酒は飲みません!!」
と、オヤジに許しを乞い始めるのだった。
しかし、大輔のオヤジさんの右手の動きは、一向に止まらなかった。息子のその懇願を無視するかのように、
ベチィ〜〜〜ン!!
バッチィ〜〜ン!!
と、ケツ叩きは続行されるのだった。
大輔たちへのケツ叩きは、もう百発を軽く超えていた・・・ケツ叩きはいったいいつまで続くのか・・・いつになったら、反省していると認めてもらえるのか・・・大輔は急に不安になってくる自分の気持ちを抑えることができなかった。一時は落ち着いていた目がしらが、再びまた、急にカァ〜〜と熱くなってきて涙をこらえられなくなってくる。
大輔だけではなかった。鈴木康平も山本将太も、隣でケツを叩かれている大輔のケツがギブアップに近いことを、その叫び声から知るのだった。そして、累積してくる焼けるような熱い痛みを、ケツにひしひしと感じながら、もうそろそろ我慢ができなくなってきていた・・・。
三人は、オヤジからケツ叩きを一発、一発食らう毎に、オヤジの膝上でケツをさかんにモジモジと動かしながら、これから急にキツくなってくるお仕置きの試練に、最後まで男らしく我慢できるのか、不安な気持ちがだんだんと高まってくるのだった。
七、鬼の反省タイム 〜恥辱の「さらしケツ」〜
宴会場の舞台の上で、三人の甲子園のヒーローたちが、それぞれのオヤジさんの膝上で、生ケツ丸出しで、ケツ叩きのお仕置きを受けている。すでにケツ叩きは200回近くになり、三人のケツの赤み、オヤジさんの膝の上でのモジモジした動き、そして、
ベチィ〜〜〜ン!!
バッチィ〜〜ン!!
と、叩かれる度に客席に聞こえてくるつらそうな呻き声・・・。誰が見ても聞いても、舞台の上で丸出しのヒーローたちのケツが、そろそろ限界に近づいていることは明らかだった。
舞台の様子、そして、気まずく居心地が悪そうな現役部員、そして、三人の「ヒーローたち」と同期の新OBたち・・・。それをながめながら、一人、口元に笑みを浮かべている田所新之助39歳。その股間は、ビンビンに怒張していて、それを鎮めるのに一苦労だった。
田所は、ホテルの副支配人であり、緑翠舎高校・硬式野球部のOBでもある。納会を滞りなく進めるため、宴会の裏方としての役目もそつなくこなしていた。田所は、木製ブラシを折ってしまった岡田のオヤジさんのところへ新しいブラシを届けるために、早速、舞台に上がり、岡田のオヤジさんにブラシを渡すのだった。
客席、宴会場後方からではやや見づらいおケツ丸出しの三人ヒーローたちの表情は、もう本当に苦しそうだった。岡田大輔のみ顔を上げていて、本当に苦しそうに、しかし、凛々しく、男のプライドを保つかのように、グッと歯を喰いしばり、ケツの焼けるような痛みに耐えていることが、その表情からみてとれた。顔を下げ、目をつむっている鈴木も山本も、顔は耳まで真っ赤で、汗なのか涙なのか・・・舞台に、ポタポタと透明の滴を垂らしていた。
田所から新しい木製ブラシを左手で受け取る大輔のオヤジさん。
「ありがとうございます・・・」
と言いながらも、右手は、休むことなく、リズミカルに、
ベチィ〜〜〜ン!!
バッチィ〜〜ン!!
と、息子のケツのド真ん中に着地しては離れ、また着地しては離れていた。
そして、大輔のオヤジさんが、再び、右手にホテルの木製ブラシを持ち、右手を高らかに挙げ、その木製ブラシのヘラの部分を、思い切り遠慮なく、
ベチィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!
と、息子のケツに着地させる!!
もう堪えられんと思ったのか、大輔は、
「ご、ごめんなさい!!!もう、しません!!酒を飲んで裸になったりしません!!!だ、だから、許して、とうさん!!」
と、デカイ声で叫んだのだった。
それに続いて、大輔の両脇で、やはりケツを叩かれている鈴木と山本も、
「ごめんなさい!!もうしません!!グスン!!」
「ごめんなさい!!もうしません!!グスン!!」
と、泣きべそをかきながら、詫びを入れてくるのだった。
休むことなく続いていた、大輔たちの「生ケツ太鼓」の打音がピタリと止む。そして、納会の宴会場はシィ〜〜ンと静まり返る。
ケツ叩きの途中から、ずっと目をつむったままだった監督の今泉が、やっと目を開き、おもむろに、舞台の上の椅子から立ち上がると、マイクのところまで来て、
「どうでしょうか?OBそして父兄の皆さん・・・そろそろ、彼らを許してやってはと思いますが?」
と、会場のOBや父兄たちに、尋ねてくるのだった。
オヤジのケツ叩きがやっと止まり、ほっと一安心の、大輔たち三人。しかし、監督のその問いかけに、再び、不安な気持ちになるのだった。
しばらくは、シ〜〜ンと静まりかえっている会場。大輔たちは、まだオヤジの膝の上でホカホカする生ケツをモジモジ動かしながら、「許すといってくれ・・・」と必死で心の中で念じているのだった。
しかし、一部のOBたちは、そう甘くはなかった。それは、今泉監督が「鬼」の絶頂期に、野球部に在籍し、今泉監督を初めて甲子園へ連れて行った期のOB数人だった。彼らは、三年間、今泉監督の「ケツバット」の薫陶をたっぷりと受けて彼らの青春を野球にささげてきた連中だった。愛校・愛部精神は並大抵ではない。今泉監督の問いかけに、彼らは、
「まだまだ甘い!!!さらしケツにしろ!!」
「そうだ!部の名誉を汚した野郎たちに、ケツ叩きだけじゃ甘すぎるぞ!!」
「そうだ!そいつらには、もっと反省が必要だ!!」
と、一斉に声を上げ始めたのであった。
オヤジたちの膝上で、その声を聞いた大輔たちは、「ヤバァッ・・・まだ罰は終わってねぇ〜〜んだ・・・」と思いつつも、「さらしケツ」がなんのことかはわからずにいた。
「さらしケツ」とは、昔、緑翠舎高校・硬式野球部において、ケツバットのあとに部員たちに課されていた「反省タイム」のことであった。
野球部における反省タイムは、通常、ケツバットの後、グランドの隅での正座を以って行われる。もちろん、スパイクを履いたままだ。ケツバットで気合いを充填されたおケツが靴底の金具によってさらにチクチクと刺激され、なかなか辛い反省タイムとなる。ノック用のケツバットを足に挟んで正座させられる場合もあり、こうなると反省タイムは、もう拷問のような辛さとなる。
しかし、今泉監督の全盛期は、それではすまなかった。グランドの隅での正座など、慣れてしまえば、部員たちにとって、格好の安息タイムとなることを監督は十分に承知していたのである。
そこで、監督は、一塁線に沿って、一塁線に背を向けて椅子を並べさせ、ケツバットを受けた部員たちを、その椅子の背に屈ませたのである。もちろん、そこに屈む部員たちは、ユニフォームのパンツだけではなく、スラパンも下ろし、ケツバットを受けたばかりのケツを丸出しにして屈まされたのである。そして、監督がよしというまで、グランドに生ケツ丸出しのまま、自分たちはなぜケツバットを受けなければならなかったのか、そして、今後ケツバットを受けずに済むためにはどうすればいいのかを、たっぷりと反省させられたのである。
部員たちは、これを「さらし首」ならぬ「さらしケツ」と呼んで、ケツバット以上に恐れていた。特に、後輩が練習をしている前での、ケツバット痕鮮やかなおケツ丸出しでの「反省タイム」は、血気盛んな生意気ざかりの野球部員たちにとっては恥辱の極みであった。
一部のOBたちからの「さらしケツ」のリクエストに、納会会場のある世代以上の「おじさん」OBたちからは、ドッと拍手が起こるのだった。しかし、「さらしケツ」の恥ずかしさを思い出してか、おじさんOBたちは、一様に、頬をポッと赤らめているのだった。
教え子たちからのその要望に、マイクの前に立つ今泉監督は、さかんにうなづきながら、大輔たち三人のオヤジさんたちの方をみて、
「おとうさんたち、どうでしょう、あとは私に任せてくださいますか?」
と、伺いを立てるのだった。
もちろん、今泉監督のその問いかけに、三人のオヤジたちが、首を横にふるわけがなかった。 やはり、大輔のオヤジさんが、一番に息子に命令する。
「いつまで、膝の上に乗っているんだ!!さあ、立って気をつけして監督さんのおっしゃることをよく聞くんだ!!」
と、息子に厳しく命令するのだった。
それにつられるように、
「さあ!立て!」
「さあ!立つんだ!」
と、鈴木と山本のオヤジさんも、息子たちを立たせるのだった。
やっと、オヤジの膝上という、思春期の息子にとっては、超恥ずかしいポジションから解放された三人。
しかし、オヤジさんたちが睨みを利かせており、ケツをさすることも、パンツと制服のズボンを上げることもできなかった・・・すなわち、前にはチンチン、後ろには真っ赤なケツをさらしたまま、その場で直立不動で立ち、監督さんからの指示を一言も漏らさず聞く態勢をとらされていた。
三人が立って、今泉監督の方を向くと、マイクの前の今泉監督が、話し始めるのだった。
「おとうさんたち、御苦労さまでした。どうぞお席へお戻りください。それから、新OBの諸君!今回、この三人がおとうさんたちから厳しく指導を受けるところを間近に見て、君たちにも良い薬になったと思う。もう、席へ戻って食事をしてよろしい。さあ、戻りなさい。そして、コーチ陣のみなさんもおつかれ様でした。自分の席へ戻ってください。」
と言って、今泉監督は、舞台の上に、岡田大輔、鈴木康平、山本将太の三人だけを残したのである。
そして、舞台の上に残された三人に、今泉監督は、いままでにない厳しい口調で、
「さあ、君たち三人には、納会が終わるまで、その椅子に屈んでタップリと反省をしてもらう!!もちろん、食事は抜きだ!!いいな!!」
と言うのだった。
「・・・・・」
三人は、最初、ちょっと不満そうな顔をして、黙りこくっていた。しかし、ここでもやはり大輔のオヤジさんが、客席から、
「コラ!大輔!返事をせんか!!おまえ、あれだけケツ叩かれてまだ足りんのか!!もう一丁いくか!?」
と怒鳴り、立ちあがって木製ブラシを大輔に見せつけるようにするのだった。客席のOBたちからは、一斉に拍手が起こる。
大輔は、あわてて、
「た、足りてます・・・返事をします・・・は、はい、わかりました監督さん!!」
と、返事をするのだった。もちろん、康平も将太も、あわてて、
「はい!」
「はい!」
と返事をする。
監督は、それに満足気に頷くと、
「よろしい!では、おとうさんたちがいま座っていた椅子を、もっと舞台の前の方へもっていきなさい!」
と命令するのだった。
「はい!」「はい!」「はい!」
と、三人は返事をする。そして、パンツとズボンを上げてから椅子を運ぼうする。
しかし、その三人の行動を見た今泉監督は、すかさず厳しい口調で、
「パンツとズボンを上げる必要はない!おろしたままで運びなさい!!」
と、命令するのだった。
これには絶句して、ただただ、顔を赤らめるしかない三人だった。仕方なく、パンツとズボンは下ろしたまま、ヨチヨチ歩きで、椅子を舞台の一番前の方へ持っていくのだった。
そして、さらに今泉監督から、命令が下る。
「場所はそこでよろしい!椅子の背を客席の方へ向けて置き、そこに屈んで、よしと言われるまで反省しなさい!!」
と。
その命令に、やっと監督さんが自分たちにさせたいことを悟った大輔たち。「さらしケツ」の意味がやっとわかったのである。
大輔たち三人は、うなだれ、
「はい・・・」「はい・・・」「はい・・・」
と元気なく返事をし、監督さんの命令通りに椅子の向きを変え、客席の真っ赤なケツを丸出しにして屈むのであった。
客席のOBたちからは、ドッと拍手が起こる。そして、今泉監督は、大輔たちの後ろに来ると、なんと、大輔たちのすでに真っ赤なケツペタを、左右一発ずつ叩き始めたのであった。
「いいか、おまえら!」
康平の右ケツペタ ベチィ〜〜〜ン!!
康平の左ケツペタ バッチィ〜〜ン!!
「なんでこんなに恥ずかしい格好をさせられているのか?」
大輔の右ケツペタ ベチィ〜〜〜ン!!
大輔の左ケツペタ バッチィ〜〜ン!!
「どうしていれば、こんなに恥ずかしい格好をさせられずに済んだのか?」
将太の右ケツペタ ベチィ〜〜〜ン!!
将太の左ケツペタ バッチィ〜〜ン!!
「納会が終わるまでよぉ〜〜〜く考えて、反省するんだ!!いいな!!」
と、厳しく命令するのだった。
監督さんのとどめの平手打ちに顔をゆがめながらも、大輔たちは、またケツを叩かれてはかなわんと、できる限りの気合いの入った声で、
「はい!ありがとうございました!」
「はい!ありがとうございました!」
「はい!ありがとうございました!」
と、監督さんの、愛情こもった叱咤激励に応えるのであった。
客席のOBたちからは、
「やっぱ、今泉のオヤジさんは、ああでなきゃな!!」
と、監督の厳しさを称賛する声が聞こえてくる。
一方、自分たちの父親たちに挟まれて座っている現役部員たちは、先輩のケツ丸出しの恥辱の反省タイムを携帯カメラにおさめたい気持ちにウズウズしながらも、そうすることなどできもせず、時折、先輩たちの真っ赤なケツをチラリチラリと見ながら食事をする。
そして、隣に座るオヤジさんからは、
「亮太!先輩のケツをよくみとけよ!今度、悪さしたら、おまえのケツもああなるんだからな!!」
と言われ、納会で出された食事を頬張りながらも、頬をポッと赤らめる光景が、会場のあちらこちらで見られたのであった。
もちろん、大輔たち三人は、食事抜きで、納会が終わるまでのたっぷり一時間半、真っ赤なケツ丸出しで、「さらしケツ」の反省タイムに耐えたのであった。
その納会での出来事は、大輔たちにとって、それ以降、酒を飲むたびに思い出され、酔う前からポッと頬を赤らめてしまうほど、三人のおケツに、いや、脳裏に強烈に焼き付けられたのであった。以後、三人は、決して酒の上での失敗をしでかさなかったという。
その年の3月31日。
進学先大学野球部の寮の入寮式を翌日に控えた岡田大輔は、高校時代につかっていた緑翠舎高校の名前が刺しゅうされた遠征バッグに荷造りをしていた。その遠征バッグは、大学に行けば公式にはつかえなくなると知ってはいたが、愛着があるバッグなので、東京には絶対に持っていこうと思っていたのだ。
もちろん、つめる下着は、トランクス。オヤジの白ブリーフからも今日で卒業だった。
そのオヤジとは、納会以来、ほとんど会話も交わさずにきてしまった。その日の朝も、大輔のオヤジは、警察署に出勤しておりいなかった。荷造りを終え、昼前には、玄関のドアにカギをかけ、独りぼっちの旅立ちだった。
最寄りのJRの駅まではバスで行く。そして、新幹線の駅がある県庁所在地までは、普通電車で40分ほどだった。
その古風な町には不似合いなほど現代的なJRの駅。でっかいバックを肩に担ぐようにして持ち、その駅のホームの上に立つ大輔。数年前に高架化されたばかりのその駅のホームは、ビルにすれば、地上4Fほどの高さにあった。
まもなく、その綺麗なホームに滑り込むように入ってくる電車に乗り込む大輔。そして、上の網だなに荷物を上げ、窓際の席に座る。
やがて走りだす電車。市街地を抜けるまで高架区間を走る電車の窓からは、大輔が住みなれた町がよく見渡せた。それをボォ〜〜と眺め始める大輔。町役場、城址公園、高台にある学校、そして、警察署の建物が大輔の目に入る。
その時だった。
「あっ!オヤジだ!!」
と思わず叫び、大輔は、電車が過ぎていく方向を振りかえるようにしてみつめるのだった。大輔のオヤジは、警察署の建物の屋上に立ち、まるでバンザイでもするかのように何度も両手を上げたり下げたりしているのだった。
思わず、携帯電話に手をかける大輔。オヤジに電話をかけようと思った。しかし、電話をすれば、「仕事中だ!」と怒鳴られるのがオチだろう。「見送ってくれてありがとう!」などと言おうものなら、「バカモン!あれは、昼の機動隊体操第二だ!!」とまたまた怒鳴られるに決まっている。
携帯電話に手をかけた自分に思わずに苦笑いする大輔。電車は市街地を抜け、少し長いトンネルに入る。少し暗くなった電車の中で、
「や、やばいよ・・・オヤジ・・・オ、オレ・・・」
とつぶやく大輔。目がしらが急に熱くなってくる。「ありがとう」とは言えなかった。しかし、納会以来、大輔の中にあったオヤジに対するわだかまりがスゥ〜〜とどこかへ昇華していったことは確かだった。
おわり