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四、試練のコーナータイム 修正第一版 弱いものイジメはダメダメ!

 もちろん、ケツ叩きが済んでもお仕置きが終わったわけではない。芳之は、まだ、オヤジの芳蔵から、パンツとズボンを返してもらってなかった・・・。

 ケツ叩きの後は、いつも、寺田造園の母屋、すなわち、芳之たちの家に戻っての反省のコーナータイムが芳之を待っていたのだった。

 しかし、今回は、オヤジ・芳蔵には、考えるところがあった。

「そろそろ、コイツにも、あれを経験させた方がいいな・・・」

と芳蔵は考えていた。ここで「あれ」とは、寺田造園でヘマをやらかした時、その制裁のケツ叩きを受けた後に科される、反省のための恥辱のコーナータイムだった。若職人たちの休憩小屋の隅で、ケツ丸出しで反省のため正座させられるのだった。

 もちろん、そこでは、芳蔵の目は届かない。コーナータイムの監視役は、若職人仲間同士が行う、弟子たちだけによる自治制度が、成り立っていたのである。そして、そこで受けなければならないのは、反省のためのコーナータイムだけではなかったのだ。ケツ丸出しで正座しコーナータイムをしなければならない弟子には、若職人仲間たちからの制裁が待ちうけていたのだった。

 芳蔵は、息子に、弟子たちの間にあるその「しきたり」を教えるのに、今が絶好の機会だと考えたのである。

 芳蔵は、俊一からのケツ叩きを食らい終えた息子・芳之の腕をギュッと掴むと、

「さあ、こっちへ来い!!」

と言って、息子を引っ張るように、若職人たちの休憩小屋へと連れて行くのだった。

 その休憩小屋は、寺田造園の広い敷地の一番端っこ、母屋からは一番距離のあるところにあった・・・。自分の家ではなく、いつもとは違った方向に、ランニングシャツ一丁、下はフルチンのまま、オヤジに引っ張られていく芳之の顔には、ありありと不安の表情が浮かんでいた。

 そして、その休憩小屋につくと、その六畳ほどの和室の隅に、放り投げるようにして息子を座らせると、

「いいか!!オレがいいって言うまで、そこで、しっかり反省してろ!!」

「はい・・・」

と元気なく返事をして、正座の足の痺れを覚悟しつつ、いつもの通り、部屋の角の方を向き、真っ赤なケツを後ろに晒したまま、反省のための正座をする芳之だった。

 しかし、

「おめえら!コイツが、まじめに正座して反省してるかどうか、オレの代わりに、しっかり見張っておけ!!」

と弟子たちに命令すると、オヤジ・芳蔵は、その休憩小屋から出て行ってしまうのだった。

「えっ!」

と思わず、首を後ろに向ける芳之。

 すでに、オヤジは、部屋から出て行っていなかった。もちろん、やさしい俊一兄ちゃんもいない。

 自分の後ろで、自分のコーナータイムの監視役として残っていたのは、年の頃は16〜18歳くらいの、見習いの職人たち数人であった。彼らは、全員、ニヤニヤしながら、まるで、獲物を見つめる猛獣のように、芳之に視線を集中していたのだった。

 小6の男の子にとって、男子高校生くらいの年の職人たちは、とてつもなく怖い存在だった。芳之は、恐れおののくかのように、後ろに向けていた顔を、すぐに前に向け、ギュッと目をつむる。そして、無意識のうちに、なにか怖くて、膝がガタガタ震えてきてしまうのを、必死でおさえようとするのだった。

 芳之を、見習いの弟子たちに任せて、母屋へと戻ってきたオヤジ・芳蔵。心配でないわけはなかった。しかし、いつも大人の中でかわいがられ甘やかされている、一人息子の芳之に、将来、自分の弟子になった時に先輩になるであろう彼らの中で「もまれる」経験をさせたかったのである。

  少しのからかいと少しのいじめと少しの暴力・・・それらは、少年が一人前の野郎に成長するために、どうしても必要な「必須栄養素」のようなものかもしれない。

 芳蔵は、息子が泣いて逃げだしてくるのか、それとも、彼らから「いじられる」ことに耐えて、少しは成長して戻ってくるのか・・・母屋でジッと待つことに覚悟を決めていた。もちろん、息子が、まだ見習いの弟子たちから、どう「いじられる」のかは、己の経験から、芳蔵にも、想像することはできるのだった。

 案の定、親方が、その休憩小屋から出てしばらくすると、親方の前では自分にやさしい兄ちゃんたちの態度が、突然、意地悪いものになるのだった・・・。そして、それが、若者たちの間の「序列」のルールであることを、芳之は、身を以って知ることになるのだった。 

 芳之の監視役の若職人たちは、芳之の後ろから、芳之に向かって、丸めたティッシュを、ポンポンと投げつけてくるのだった。そして、

「コラァッ!芳之!!しっかり反省してるのか!!」

と、親方の声色を真似て、芳之に声をかけてくるのだった。

「絶対に後ろは振り向かない!」と無視を決め込む芳之に、若職人たちは、

「コイツ、俺たちのこと、無視してやがる!!」

「生意気じゃん!!」

と始まるのだった。

 そして、

「オイ!芳之!!こっち向けよ!!」

とか、明らかにからかって、

「芳之君!!こっち向いてくれないと、オイラ、さびしいよ〜〜!!ガハハハハ!!!」

と、声をかけてくる。

 それでも、それに無視し続ける芳之に、若職人たちは、口調を荒げ、

「芳之!こっち向けって言ってんのが聞こえねぇのかよ!!」

と言って、ついには、芳之の後ろに来て、芳之の両脇をかかえると、

「こっちへ来いよ!!」

と、芳之をズゥズゥーーっと、引っ張り出すのだった。

 仰向けになって、ケツを畳に擦られながら、ただただ引っ張られるしかない芳之。ケツと畳が擦れて、ケツに火を押し付けれたように熱かった。しかし、芳之は、

「あっ熱い・・・や、やめて・・・・」

と、声に出すのがやっと。怖くて、抵抗などできなかった・・・。抵抗したとしても、到底かなわない相手であることは、芳之にもわかっていた。

 情けなさがこみ上げてきて、鼻がツゥ〜〜ンとなり、目には涙が溢れてきて、わんわんと泣きたくなる。しかし、それを必死で堪える芳之。

「俊一兄ちゃん・・・助けて・・・」

と、必死で祈ってみる芳之。しかし、俊一は助けに来ることはなかった。俊一は、芳蔵から、別の仕事を言いつけられており、休憩小屋に様子を見に来ることはできなかったのだ。

 そして、ランニングシャツ一丁、おちんちん丸出しのまま、若職たちが胡坐をかいている円座のド真ん中へと、引き出されてしまう芳之だった。

 まずは、軽く歓迎のあいさつか・・・若職人たちは、胡坐をかいたまま、芳之を膝の上に乗せて、

「芳之!!オレたちからも、お尻ペンペンしてやっからな!!ありがたく思えよ!!」

と言うと平手で芳之のすでに真っ赤なケツを、

パチィ〜〜〜ン!!パチィ〜〜〜ン!!パチィ〜〜〜ン!!

と一人が叩いては、次のヤツの膝の上にまわし、

パチィ〜〜〜ン!!パチィ〜〜〜ン!!パチィ〜〜〜ン!!

とまた一人が叩いては、次のヤツの膝の上にまわす。まさに、「ケツ叩き・まわし」のいじりの試練を、芳之に与えるのだった。

 それが済むと、今度は、仰向け、

「あっ!コイツ、もうチン毛はえてきてるじゃん!!」

と、「おちんちん解剖!!」の試練が、芳之を待ちかまえている。

 チン毛が生えてきてると言っても、まだまだ小6だ。うぶ毛とは違う、縮れた剛毛が、ほんの2〜3本、芳之の「皮被り」やタマタマの周辺に、ニョロッと生えてきてるだけだった。

 しかし、それも十分にからかいの対象になるのだった。

「コイツのチン毛、切っちゃおうぜ!!」

と誰かが言えば、誰かが、なんと剪定鋏を持ってきて、芳之のチン毛を、切ってしまうのだった!!

 もちろん、仕事に使う「庭職にとって命の次に大切な」剪定で、チン毛を切ったことが親方にわかれば、彼らにもキツイお仕置きが待っていることは確かなのだが、そこはまだまだ見習いの甘さだった。

 「おちんちん解剖!!」の試練は、まだまだ続く、当然、チン毛の次は、竿である。

「コイツ、立つのかな・・・」

と、誰かが、意地悪く言ったかと思うと、また誰かが、

「実験してみようぜ!!」

と言う。

 そして、芳之の股間のイチモツが、若職人たちのあやしげな指によって、つままれ、もまれ、引っ張られ・・・そして、シコシコと、扱かれるのであった。

シコッシコッ!!

シコッシコッ!!

と、若職人たちの指が、遠慮なく、芳之の股間に伸び、芳之の「皮被り」を扱きたおしていくのだった。

 芳之も、健康な男の子。いや、もう男になりつつある、男の子であった。股間がだんだん気持ちよく、重くなってくる・・・

「や、やめて・・・お、おしっこが、で、でちゃうよ・・・」

と、若職人の兄貴たちに、指の動きを止めるように、必死で懇願する芳之。すでに精通現象は、夢精により果たしていたが、はっきりと意識があるときに、その股間のむず痒い重さを体験するのは、生まれて初めて。その生理現象の本当の意味を知らないでいた。

 もちろん、「解剖」中は、若職人の兄貴たちによって、しっかり畳の上に押さえつけれられ、抵抗することはできない・・・

シコッシコッ!!

シコッシコッ!!

シコッシコッ!!

シコッシコッ!!

と、その容赦なき扱きに、ついに、芳之の股間のイチモツの高まりは、最高潮に達し、ついには、

「あっあぁぁぁ・・・・・出ちゃうよ・・・・」

と悩ましげな声を上げる芳之。

ドピュ!!ドピュ!!

と、まるで、その若職人の兄貴たちの顔に、己の精液をぶっかけるような勢いで潮を吹く、芳之のイチモツ・・・。

 若職人の見習い兄貴たちは、それを見て、

「あ〜〜あ!!コイツ、出しちゃったよ・・・・ったく、早漏だな!!ガハハハ!!」

と大笑いするのだった。

 芳之は、股間に気持ちよさを感じつつも、自分が、なにかとてつもなく悪いことをしたのではと不安になり、シクシクとべそをかき始めるのだった。

 そんな芳之に、最後の試練が襲いかかる。

「うわぁ!!コイツのチンチン、ネチョネチョだ!!汚ったねぇ〜〜〜!!」

「かわいそうだろ!!誰か、ティッシュで拭いてやれよ!!」

「やだよ!!マジ汚ねぇ!!」

と、若職人の兄貴たちは、「解剖結果」の報告会を意地悪くする。そして、ついには、

「あっ!!そうだ!!コイツのこと、布団でグルグル巻きにしちゃおうぜ!!」

と言ったかと思うと、休憩小屋に備え付けの昼寝用のせんべい布団を拡げ、芳之の両腕と両足を持って、芳之を持ちあげると、その布団の上に寝かせるのだった。そして、芳之は、あれよあれよいう間に、その布団でグルグル巻きに「簀巻き」にされてしまうのだった。

「サッカーしようぜ!!」

と、若職人の兄貴たちは、「芳之いじり」の仕上げをしようとする。

 もちろん、彼らは、芳之に怪我をさせるような蹴り方はしなかったが、布団でグルグル巻きにされた芳之は、休憩小屋の六畳の畳の上を端からは端まで、足蹴にされてはゴロゴロ、また足蹴にされてはゴロゴロと、何往復も転がされるのであった・・・。

 ついに、芳之は、情けなくて、悔しくて、

「ごめんなさい・・・許して下さい・・・わぁ〜〜〜〜〜ん!!!」

と、大声を出して、泣き始めてしまうのだった。

 その時だった。休憩小屋の扉をガランと開けて、親方から命じられた仕事をようやく終えた若副の俊一が様子を見るため入ってきたのだった!!

「コラァ!!おめえら!!なにやってんだ!!」

と、若副・俊一兄貴(27)の怒鳴り声が休憩小屋に響き渡る。

 驚いてすくみあがる見習いの三人。そのすきに、芳之は布団から抜け出し、フリチンのまま、俊一兄ちゃんの後ろへとまわり、己の身を三人の見習いから隠すようにすると、兄ちゃんの右足にギュッとしがみつくのだった。

 俊一は、見習い三人に、 

「翔!!豪太!!健一!!こっちへ来い!!」

と厳しく命令する。

「は、はい・・・」

と、蚊の鳴くような声で返事をし、両腕を胸のところで組み自分たちのことを睨みつけている俊一兄貴の前に並ぶのだった。

 見習い三人とも、真っ赤になり、「やっべぇ、見つかっちまったよ・・・」といった顔をしている。そして、三人は、俊一兄貴に叱り飛ばされることを覚悟してか、かすかに震えているのだった。

 若副・俊一は、 ちょっとだけやさしい声になって、

「さあ、芳之!おめえは、あっちへ行って正座してろ!!しっかり反省しなきゃダメだろ!」

と、いつまでも甘えていて自分の足から離れようとしない芳之に、元の位置である部屋の隅で正座して反省するように促すのだった。

 コーナータイムはもう終わりと思っていた芳之は、ちょっとガッカリしたような顔をしつつも、大好きな俊一兄ちゃんの命令に、

「はぁ〜〜い・・・」

と素直に従うのだった。

 再び、壁の方を向いて、部屋の隅に正座し、反省のコーナータイムに入る芳之。芳之には見えなかったが、芳之の後ろでは、俊一兄ちゃんが、芳之にとってはちょっと怖い見習いの兄ちゃんたちを叱り飛ばしている。気になって仕方がない芳之は、時々、首をまわして、後ろをチラリチラリと見るのだった・・・。

「そいういのは、教育じゃねぇ!!いじめって言うんだ!!」

「はい・・・」

「よし!これ以上、ごちゃごちゃいわねぇ!!しかし、これから、おめえらの根性叩きなおしてやるから!覚悟しろ!!」

「は、はい・・・」

 「根性叩きなおし」と聞いて、「やっぱり・・・あれかぁ・・・」とがっくりとした表情をみせる三人の見習いたち。一方、コーナータイムを科されている芳之は、後ろを振り向き、思わずニヤリとするのだった。

「畜生・・・あいつ・・・俺たちのこと笑ってやがる・・・」

と、悔しそうな表情を見せる見習いたち。しかし、俊一兄貴がいるところでは、どうすることもできなった。

 俊一兄貴は、なんとも言えない表情で自分の前に立っている見習い三人に、「根性叩きなおし」の準備をするよう命じる。 

「よし!回れ右!!股引とパンツを脱いでケツを後ろへ突き出せ!!」

「はい・・・兄貴・・・」

と、ガックリと肩を落とし、元気のない返事をする見習い三人。

 股引とパンツを下ろすと、見習い三人組は、鯉口シャツ一丁のおケツは生のむき出しだった・・・。

 そして、見習いたちは、いつも兄貴たちからそうしろと指導されているのか、足を踏ん張るように開いて腰を少し落として屈み、己の両膝に両手をつくようにして、ケツをプリッと後ろに突き出すのだった。

 ことの成り行きに、

「あ!!兄ちゃんたちもお尻丸出しだ!!」

と、我慢できず、再び後ろを振りむき見てしまう芳之。もう反省のコーナータイムどころではなかった・・・。

 見習いたち三人は、普段からしばしば、仕事場でヘマをしでかしては、若副の兄貴たちから「根性叩きなおし」のお仕置きを食らってきた。いま、鯉口シャツ一丁で、生ケツを後ろへ突き出している見習いたち三人は、「俊一兄貴のは痛てぇからな・・・」と思い、ゴクリと生唾を呑み込みつつ、覚悟を決めて奥歯をグッと喰いしばるのだった。

 見習いたち三人のケツの準備が完了したことを見届けると、俊一兄貴は、

「一人、三発ずつだ!!覚悟しろ!!」

と言って、一番左でケツを出している翔の後ろへ行くのだった。

 その時、チラリと横目で、俊一兄貴は、コーナータイム中の芳之が、顔はこっちを向けて、ニヤニヤ笑っているのに気がつくのだった。

「チッ!あいつ・・・調子にのりやがって・・・反省してねぇな・・・よし!あとでタップリ・・・」

と思いながらも、今は、そのままにして、ケツを出している見習いの一人、翔の左斜め横後ろに立つのだった。

 翔は、高校を半年で中退して、寺田造園に入門してきた16歳。見習いの中では一番の年下だったが、負けん気は人一倍。よく見習い仲間で喧嘩をしては、親方や兄貴たちから、仕置きを受けていた。しかし、根はまじめで、庭仕事には真摯に取り組んでいた。

 翔の鯉口シャツは、少し大きめなのか、裾が翔のケツを隠していた。俊一兄貴が、その裾をぺロリとめくり上げると、翔のかわいいプリッとしたケツが顔を出すのだった。

「うわぁ・・・いよいよだ・・・一番痛いヤツが来るぅ・・・」

と、翔はケツをモジモジと動かしながら、俊一兄貴にブッ飛ばされないように、今一度、グッと踏ん張りなおすのだった。 

 空手部出身の俊一兄貴の「根性叩きなおし」のケツ叩きは、見習いたちの間では、一番痛いケツ叩きとして恐れられていた。俊一兄貴は、他の若副たちが使う木槌の柄でつくった「ケツ叩き棒」は使わなかった。そもそも使う必要がないからだ。なぜなら、空手部で鍛えた腕で、バチンと後輩たちのケツを平手打ちすれば、それで十分、後輩たちの根性が叩き直されるからだった。 

 俊一は、まるでバッターボックスに立つバッターのように両足を少し開くと、腰をやや落とし、左手は翔の腰の当たりに軽く置き、右腕を後方高く上げるのだった。そして、その右腕に全体重をかけるかのように、腰をまわしつつ反動をつけて、右腕をブンと思い切り振り下ろすのだった。その右腕の先にある右手のひらは、思い切り「パー」の状態で、いっぱいに拡げてあり、翔のかわいいプリッとしたケツのド真ん中に、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と炸裂する!!

「痛てぇ!!」

と思わず、まるで腰を浮かすかのように、上体を起こしてしまう見習いの翔。

 俊一兄貴は、厳しく、

「痛いじゃねぇ!!やり直し!!」

と、翔に宣言する。そう、「痛い」と叫べば、お仕置きはカウントされず、やり直しなのだ!!

「えっ・・・」

と思わず声を上げ、「勘弁してください・・・」と、懇願するような目を俊一兄貴に向ける見習いの翔。痛そうに、両手でケツをもむようにさすっていた。

 しかし、俊一兄貴は、心を鬼にして、

「ダメだ!!ケツをさすっている暇があったら、速く、ケツを出せ!!」

と、翔に命令する。

「は、はい・・・」

と、あきらめたように、元の位置に戻ると、再び屈んでケツを出す。

「よし!!行くぞ!!」

と、俊一兄貴。

 今度は、

「はい!!お願いします!!」

と、元気を振り絞って、それに応える翔だった。「根性叩きなおし」の「やり直し」はもうまっぴら御免だった。

 再び、俊一兄貴の右腕がブンと振り下ろされ、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、右手のひらが、情け容赦なく、翔の16歳のケツに炸裂する!!

「いち!!ありがとうございました!!」

と、今度は、兄貴たちに教えられた通りに、応答できた。

 ホッとする間もなく、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、俊一兄貴の右手のひらが、再び、翔のケツに炸裂する。

「あ〜〜〜、今度は右ケツだ・・・・」

と思い、ギュッと目をつむり、ケツから背中を突き抜け脳天にガツゥ〜〜〜と響く痛みに耐える翔。つむった目の奥に火花が散っていた。

 しかし、どうにか、

「に!!ありがとうございました!!」

と、兄貴に感謝の挨拶をする。

 翔のケツに休む暇は与えられなかった。翔のその挨拶を待ってましたとばかりに、「ありがとうございました!!」の「た」を言い終わるか終わらないかのうちに、最後の一発が、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、翔の左ケツに炸裂したのだった。

 思わず前につんのめりそうになるのを必死で耐えて、

「さん!!ありがとうございました!!」

と、兄貴に挨拶する。

「よし!!おめえは、向こうの隅で、正座してろ!!」

と、俊一兄貴は、早速、翔に、反省のコーナータイムを命じるのだった。

 俊一兄貴の真っ赤な手のひらの痕がベッタリとついたケツを、ちょっと恥ずかしそうに、両手でもみつつ隠しながら、翔は、休憩小屋の畳の部屋の一隅へ行き、そこに正座して、反省を始めるのだった。

 翔がケツを叩かれる音を聞きながら、豪太と健一は、「やべぇ・・・今日の兄貴、全然、手加減なしだ・・・」と思うのだった。そして、翔の仕置きが一発一発すんで、だんだん自分の番が近づいてくるにつれて、心臓がドクンドクンと大きく鼓動し、後頭部がカァ〜〜と熱くなるのだった。

「次!豪太!!覚悟はいいな!」

と、俊一兄貴が自分の左斜め横後ろに立ったのがわかる。兄貴の男くさい汗の臭いが、豪太の鼻をつく。豪太にとっては、根性を叩き直される前にいつも嗅ぐ、あまりうれしくない臭いだった。

「はい!!お願いします!!」

と元気に返事をしてみたものの、やはりちょっと長めの鯉口シャツの裾を、俊一兄貴にペロリとめくりあげられ、ケツがスゥ〜〜〜と冷たくなると、「あ〜〜〜、いよいよだ・・・神様・・・あまり痛くありませんように・・・」と、ちょっと気持ちがくじけそうになってしまうのだった。

 豪太は、高校一年生の春休み、高校で所属していた硬式野球部の先輩と殴り合いのケンカをし、先輩に大けがを負わせ、高校を退学処分になって、寺田造園に入門してきた17歳だ。最初にケツを叩かれた翔とは、いい喧嘩仲間だ。見習いの中で、仕事をおぼえる器用さは一番。ただ、器用であることにあぐらかき、しばしば、仕事で手抜きをする。もちろん、いつもその手抜きがバレては、親方や兄貴たちから、仕置きを受けていた。

 豪太のケツは、野球部出身らしく、ムッチリしたデカいケツだった。しかし、空手部出身の俊一兄貴の右手のひらの強打を跳ね返すほどの強ケツではなかった。

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と炸裂する、兄貴からの一発目。

「い〜〜ち!!ありがとうございました!!」

と、デカイ声で回数を数え、兄貴に感謝の挨拶をする豪太。ズゥ〜〜〜ンとケツが痺れるほどの強打だったが、さすが翔よりは一年先輩の豪太。思わず「痛い」と叫ばずにすんだ。もちろん、豪太も、少し前までは、親方や兄貴たちからケツを叩かれる度に、思わず「痛てぇ!!」と叫んでしまい、その度に、痛恨の「やり直し!!」を宣言されていた。

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

「にぃ!!ありがとうございました!!」

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

「さぁ〜ん!!ありがとうございました!!」

と、俊一兄貴の連打を、どうにか乗り切る豪太。

 しかし、終わるとすぐに、豪太は、両手で兄貴の手の痕が真っ赤についたケツをさすりながら、痛そうに、ピョンピョンとその場で飛び跳ねているのだった。

 俊一兄貴は、その姿に苦笑いしながら、「よし!よく我慢した!!」と言わんばかりに、豪太の頭をギュギュと押さえるように撫でてやるのだった。

 もちろん、

「豪太!!おめえは、あっちの隅で正座!!」

と、俊一兄貴は、豪太にも反省のコーナータイムの指示を出すのだった。

 豪太の「根性叩きなおし」が終わり、最後に残された健一。翔と豪太のケツを叩かれる音を聞きながら、自分の番が来るまで、ケツ丸出しで仕置きを待つ。

 健一にとって、それは、異様に長く感じる、キツイ待ち時間だった。その間、小6の芳之をいじめてしまったことを後悔する。いま、兄貴の命令で、生ケツを後ろに突き出さされて、自分自身がまだまだどうしようもないガキだったことを後悔するのだった・・・。しかし、後悔先に立たず。いよいよ、自分が、俊一兄貴から根性を叩き直される番だった。

 兄貴が自分の左斜め横後ろに立つと、やはり、兄貴の男くさい汗の臭いが、健一の鼻をつく。「いよいよだ・・・」と思わず目をギュッとつむってしまう。

 そして、やはりちょっと長めの鯉口シャツの裾を、兄貴がペロンとめくり上げ、自分のケツが後ろに丸出しにされると、健一は、思わずブルッと身震いしてしまうのだった。それは、「よっしゃ!!いよいよオレの番だ!」という武者震いのようでもあった。

「次!健一!!覚悟はいいな!」

と言いながら、俊一兄貴は、早くも、右腕を後ろに高く上げ、健一のケツに狙いを定めるのだった。

 健一は、自分の全神経が、後ろに丸出しのケツに集中したかのような感覚に襲われ、再び、思わずブルッと身震いする。ケツ全体に鳥肌が立つような感じだった。

 それでも、勇気を振り絞り、

「はい!!お願いします!!」

と、元気よく返事をする。

 健一は、高校を卒業して、寺田造園に入門してきた18歳。高校時代は、水泳部所属。豪太に較べれば、ケツはカモシカのようにプルンと小ぶりだったが、弾力性に富む、なかなかの美尻だった。ブーメラン水着の日焼け痕がまだケツにクッキリと残っており、他の浅黒い部分とのコントラストが鮮やかだった。

 健一の水泳部ケツにも、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、俊一兄貴は容赦なかった。

「いち!!ありがとうございました!!」

と、脳天まで響く、ケツのジリジリとした痛みに耐えながら、できる限りの声で、兄貴に一発目の感謝の挨拶する健一。

「よし!行くぞ!!」

と、後ろから、兄貴の声が耳に飛びんでくるのとほぼ同時に、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、自分のケツに、兄貴からの二発目が炸裂する音が飛びこんでくる!!

 その衝撃に、思わず目をつむり、

「いっ・・・」

と声をもらし、「痛い」と叫びそうになる健一。俊一兄貴の右手は、健一のケツのド真ん中。健一のケツの穴あたりを直撃していた。

「どした?こんくらいで挨拶できねぇほど、痛てぇのか?」

と、後ろから、挨拶を催促するかのような兄貴の厳しい声だった。

 しかし、「痛い」と言ってしまっては自分の負け。

「いえ!!痛くないです!!さん!!ありがとうございました!!!」

と、怒鳴るように挨拶する健一だった。

 しかし!!俊一兄貴は、ニッと笑みを浮かべながら、

「バカ野郎!!『さん』じゃなくて、『に』だろが!!最初からやり直し!!」

と、無情のやり直し宣告だった。

 「痛い」と叫んで、回数を数え忘れると、その回だけやり直し。しかし、回数の数え間違いは、最初からやり直し!!兄貴との男同士の約束だった。

 それを聞いていた芳之は、再び、後ろを振り向いてニヤニヤしながら、「ざまあみろ!!俊一兄ちゃん!かっこいい!!もっときびしくしていいよ!!」と思うのだった。

 一方、翔と豪太は、前を向いて目をつむり、背筋はピンと伸ばして正座しつつも、「ひぇ〜〜〜、今日の兄貴は鬼だ・・・」と思うのだった。

 「根性叩きなおし」の最初からのやり直しを宣告され、健一は、「やり直しだなんて・・・そんな殺生な・・・」と泣きたい気持ちだった。しかし、見習い仲間の翔や豪太の前で弱音ははけなかった。そして、さっきまで威張っていた手前、ガキンチョの芳之もいる前では、なおさらだった。

 健一は、泣きたくなる気持ちをグッと堪えて、覚悟を決めて、男らしく、

「はい!!最初からやり直し、お願いします!!」

と、もうやけっぱちの大声で、俊一兄貴にやり直しの根性注入を願い出るのだった。

「よし!!いくぞ!!」

と、右腕を、今まで以上に高く上げ、健一のプリッとした小ぶりのケツに、狙いを定める俊一兄貴。

 しかし、ここが、親方・芳蔵もちょっと心配する、俊一のやさしいところか・・・すでに右ケツペタ、左ケツペタと、自分の手のひらの痕がベッタリとついた健一の尻を見て、仏心がムクムクと、俊一の心の中にもたげてきてしまうのだった。

 俊一兄貴は、健一のケツが少しでも楽なようにと、

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、痛みをあまり感じなくてすむ、「三連打」で、健一への「根性叩きなおし」の締めをくくるのだった。

 予想外の楽なやり直しに、

「あ、ありがとうございました・・・・」

と、ちょっと戸惑ったように挨拶する健一。

 俊一は、

「よし!今度から気をつけろ!!」

とだけ言うと、先ほどと同様に、健一にもコーナータイムを命じるのだった。

 健一も正座し、休憩小屋の部屋の四隅に、芳之と見習い三人が、反省のコーナータイムを過ごしている。その部屋の中央に立って、俊一兄貴は、仁王立ちになり、両腕を前で組んで、まだまだ厳しい顔だった・・・。

 そして、

「芳之!!ちょっとこっちへ来い!!」

と、今度は、芳之に命令するのだった。

 芳之は、もう反省の正座をしなくていいのかと思い、ちょっとうれしいそうな顔で、

「はい!!!」

と、元気よく返事をして、痺れる足はなんのその、俊一兄ちゃんのもとへ、かわいいオチンチンを丸出しで、走り寄ってくるのだった。

 しかし、俊一兄ちゃんの顔に、笑顔はなかった。俊一兄ちゃんの前に立って、ちょっと不安になる芳之。心配そうに、俊一兄ちゃんの顔を、見上げるのだった。

 そして、俊一は、芳之に聞くのだった。

「おまえ、こいつら三人が、オレからケツ叩かれているとき、どうしてた?」

「せ、正座して、反省してた・・・・」

「『反省してた』じゃねぇだろ!!『反省してました』だろ!!」

 だんだん俊一兄ちゃんの声が厳しくなってくるのだった。芳之は、あわてて、

「は、反省してました!!」

と、答えるのだった。

 しかし、俊一兄ちゃんは、許してはくれなかった。

「ウソつけ!!違うよな!!芳之!!」

とだけ言うと、俊一は、芳之の目をジッとみつめるのだった。

 芳之にとって、俊一兄ちゃんの視線は、つき刺さるように痛かった・・・。そして、芳之は、俊一兄ちゃんのその視線から目をそらしてしまうのだった。

 俊一兄ちゃんの声が一段と厳しくなる!!

「芳之!!オレの目をしっかり見ろ!!ウソをつくヤツは、大嫌いだぞ!!」

「えっ・・・」

 大好きな俊一兄ちゃんから嫌われること・・・それは、芳之にとって、見習いの兄ちゃんからいじめられる以上につらいことだった・・・。だんだん涙目になってくる芳之・・・。そんな芳之に、俊一は、

「ニヤニヤ笑って見てたよな・・・ときどき、後ろ向いてな・・・そうだろ、芳之?」

と、グッとやさしめの声で、聞いてくるのだった。

「・・・・・・」

 芳之は無言だったが、コクリとうなずくのだった。そして、今度は、大好きな俊一兄ちゃんの目を見て、

「ごめんなさぁ〜〜い・・・」

とあやまるのだった。

 そして、

「よし!それでこそ男だ!!けどな、しっかり反省もせずに、ほかのヤツがケツ叩かれているのをニヤニヤして見ていた罰は、受けないとダメだよな?」

と、俊一兄ちゃんは、真剣な顔で、芳之に聞いてくるのだった。

「えっ・・・」

と、俊一兄ちゃんの顔を、思わずジッと見てしまう芳之。

 俊一兄ちゃんの顔は、真剣そのもの。甘えることはできないと芳之は思うのだった。そして、

「はい・・・」

と答えるのだった。

 俊一兄ちゃんは、再び、

「よし!それでこそ男だ!」

と言うと、部屋の畳の上に胡坐をかいて、自分の股引の太腿を指さしながら、

「芳之!!ここへ来て、ケツを出せ!!お仕置きやり直しだ!!」

と、芳之にとっては、ショックがデカイ、「お仕置きやり直し」宣言をするのだった。

 芳之は、その場の空気から、観念したのか、両手でケツをさすりながら、俊一兄ちゃんのあぐらをかいた膝の上に屈んでのり、ケツをプリッと突き出すのだった。

 ほどなく、やり直し一発目が、芳之のケツに炸裂する!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

 さっき外で受けたケツ叩きとは、比べものにならないほど熱い激痛が、芳之のケツを強襲するのだった。

「痛たぁ〜〜〜〜い!!!ごめんなさぁ〜〜〜い!!」

と、叫んで、足をバタバタさせる芳之。

 しかし、

「このくらい男なら痛くない!!お仕置きが終わるまで我慢しろ!!」

と、俊一兄ちゃんは、芳之に、厳しく言うと、左手で、暴れる芳之の腰をグッと押さえつけ、

ベッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

ベッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

ベッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、容赦なく厳しく、芳之のかわいいケツを、連続して打ち据えていくのだった・・・。

 俊一たちは、気がつかなかったが、休憩小屋での一部始終を外からそっと覗き見ていた親方の芳蔵は、俊一が息子・芳之のケツを、膝上で厳しく叩く様子をながめながら、俊一もやっと後輩指導に目覚めてくれたと、満足げに、何度も何度もうなずくのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

ベッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

バッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

ベッチィ〜〜〜〜〜ン!!!

と、いまだ、田所家の母屋から響いてくるケツ叩きの音・・・。

 若頭の水島俊一(37)と、見習いの芳之(21)は、並んでタバコをふかしつつ、10年前の寺田造園でのちょっと恥ずかしい出来事を思いだしながら、お互い、無言のまま、その音を聞いていた。

「さあ、仕事に戻るか?もう、仕事に集中できるな!!芳之!!」

「はい!兄貴!!」

 そういうと、二人は立って、親方たちのいる庭園の方へと戻っていくのだった。

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