父子ラグビー物語 番外編 

父子仕置き風景 その1 下田勇実の青春秘話 六尺褌とオヤジの竹刀 by 太朗

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※警告※ 

あなたがこれから読もうとする小説は、フィクションです。

また、これらの小説は、私、太朗が、成人向けの「大人の懐かしい思い出話」として書いたものであり、未成年者に対する体罰、暴力、虐待、性的ないたずら(大人が快楽を得る目的で未成年者の尻を叩く行為を含む)、そして、それらに関連するあらゆる行為を、支持・奨励・助長することを意図して書いたものではありません。

私、太朗は、合法・違法を問わず、かかる未成年者に対する行為のすべてに絶対的に反対します。



一、下田勇実の父親

 「スポーツ帝都」スポーツ第一部に所属する新聞記者・下田勇実・34歳は、東京下町・墨東地区の出身で、父親・下田勇雄は、町の剣道道場の師範である。

 東武伊勢崎線・東向島駅のホームには、

「いじめはしない!いじめに負けない!

心身ともに強い青少年を育む、あなたの町の剣道道場 

下田剣友会・武勇館道場 師範・下田勇雄 練習生(男子のみ)募集中!!」


の看板広告がデカデカとかかっていた。
 
 そんな広告にひかれてか、下田道場は、地元の青少年の入門者が多かった。地元で下田道場の名を知らない者はいなかった。小学生クラスから高校生クラスは、毎年盛況で、新学期には新入門者を断ることも多かった。

「剣道を通し、国の宝である子供らを、心身ともに健康でまっすぐな、真の日本男児を育てる!」

 それが、勇実の父・下田勇雄のモットーだった。

 そんな父の師範としてのやり方は、かなりユニークだった。

 まず、中学生以上のクラスでは、学生・成人クラスに至るまで、道着の袴の下は、日本男児の正統派下着とされる六尺褌の着用が強制された。もちろん、入門者は、男のみ、女性の入門者希望者は受け付けなかった。

 日本男児なら緊褌一番!キリッと気を引き締めて稽古に励めというわけである。

 そして、中・高校生クラスでは、稽古に遅刻したり、竹刀の手入れを怠っていたり、稽古中弛んでいると、練習生のケツに師範の竹刀がビシビシと飛んできた。これは、事故の予防という意味もあった。竹刀の手入れが悪かったり、稽古中に集中力が散漫だと、思わぬ大怪我をすることがあるからだ。



二、勇実の初稽古

 下田道場・中学生クラスの新学期の初稽古は、中一の練習生に、師範自ら六尺褌を締めこんでやることから始まる。フリチンになり師範から六尺をギュッと股間に締め込まれるのだ。
   
「恥ずかしくなぁぞ!お前たち、男だろ!さっさと脱げ!」

 師範・下田勇雄の怒鳴り声が、道場中に響く。

 先輩である中二・中三の練習生たちが正座をして待つなか、中一の練習生たち5人は、先輩たちの前に立ってモジモジしながら、道着を脱ぐに脱げないでいた。全員、地元の墨東区立・玉の井中学校の生徒たちだった。

「オラァ!いつまでもグズグズしていやがると、この竹刀でケツぶん殴るぞ!」

 小学生クラスの時の師範とは人が違ったような厳しい口調にとまどう中一の練習生たち。しかし、竹刀でケツを殴られてはたまらんと、しぶしぶ胴着と袴を脱ぎ始める中一・練習生たち。練習着とパンツを脱ぎ捨ると、恥ずかしそうに、チョロチョロとチン毛が生え始め、まだ生えそろっていない股間を隠しながら、中二・中三の先輩・練習生たちの方を向き、モジモジとしている5人。

 先輩たちからは、クスクス笑いが漏れてきた。その笑い声を打ち消すかのように、

「恥ずかしくない!前を隠すな!みんなついてるものは同じだ!隠そうとするから、余計に恥ずかしいんだ!両手を脇にピシッとつけて、気おつけィ!」

と、師範の指示が厳しく飛ぶ!師範の厳しい声に、思わず、ビクッとして、直立不動になる中一・練習生たちだった。

「よし!先輩に向かって、礼!」

「よろしくお願いします!」

と、中一練習生たちの声変わり途中のやや甲高い元気な声が道場に響いた。

 そして、

「ウィ〜〜〜ス!」

と、声変わりした男の声で、それに応える中二・中三の先輩練習生たち。

 練習生たちの元気な挨拶に満足げにうなづいた師範は、

「よし!先輩たちに自己紹介だ!元気に大声を振り絞ってやれよ!さあ、お前からはじめろ!」

と、フリチン全裸で先輩の方を向き、横一列に並ぶ、中一練習生たちに指示をだした。

 向かって左側一番端にいた練習生が、

「はい!」

と、元気よく返事をし、大声で自己紹介を始めた。

 両手は脇につけたまま、すこし上体をのけぞらして大声をあげ、自己紹介を始める中一練習生。頬は紅潮してた。そして、あきらめがついたのか、羞恥心が麻痺し始めたのか、もう前を隠そうとはしなかった。堂々と惜しげもなく、股間を先輩たちに晒していた。

「墨東区立玉の井中学校、一年C組・下田勇実です!よろしくお願いします!」

 中学生になった師範の三男、下田勇実だった。父・勇雄は、息子といえども、ひいきすることなく、中学生クラスの「儀式」に臨ませていた。

 もちろん、三男・勇実は、長男・次男同様、小学生の時から、父親から半ば強制的に下田道場に入門させられていたのだった。

 長男の勇一は高校三年で、小学生クラスでは、父のアシスタント・師範代として父親を助けていた。もちろん、高校では剣道部の主将として活躍している。そして、次男の勇武は、中三の練習生として、正座して、弟のフリチン自己紹介を眺めていた。正直言って、剣道にはもうウンザリ。高校に入ったら、絶対にテニス部に入って女の子にモテまくるんだと、密かに目ろんでいる。

 三男の勇実は、いよいよ中学生クラスに入門して、兄貴たちから噂には聞いていたが、小学生クラスの時の師範、そして、家庭での「厳しい」父親からは想像もできないほど、さらに超・厳しい勇雄に、内心ビビっていた。

 先輩たちの拍手が起こり、師範の

「よし!次!」

の声。そして、下田勇実の隣りに並んでいた次の中一練習生が自己紹介を始める。

「墨東区立玉の井中学校、一年A組・松田一雄です!よろしくお願いします!」

・・・・そのようにして、5人の中一・練習生たちが自己紹介を終えた。

 自己紹介を終えると、師範は、巻かれた白の晒し木綿・五反を、道場の神棚から下ろしてくる。

「これが、今日、護国神社で、清めてもらってきた、お前らの六尺褌だ。今日からは、この道場で稽古するときは、必ず、袴の下に六尺を締めること!」

「はい!」

 そういいながら、師範は、中一練習生たちに一人一人に晒し木綿を渡していく。

「ありがとうございます!」

と、大きな声で、礼をいいながら、六尺を受け取る中一生たち。

 受け取った晒し木綿で思わず前を隠そうとする中一生には、再び、

「コラ!前を隠すなといったろ!締めるのはまだはやい!」

と、師範の怒鳴り声が飛ぶ。

「六尺ふんどしのことを、道場では、単に、『ろくしゃく』と呼ぶ。おまえらがしっかり六尺を締めて稽古に臨んでいるか、時々検査するからな!締めてなかったら、この竹刀が、お前らの尻に容赦なく飛ぶぞ!覚悟しとけ!」

「はい!」

「甘く見るなよ!俺は、手加減しないからな!高三生のケツ叩く時も、中一生のケツを叩く時も、強さは同じだ!」

「はい!」

「それでは、これから、お前ら一人一人に、六尺の締め方を教えてやる!一度しか手本を示さないからよく見て覚えるように!次回、しっかりと締めていなかったら、お前らのケツは、サルみたいに真っ赤になるから覚悟しとけよ!」

 そういうと、師範は、右手にもった竹刀を横に何回か振って、ケツを叩くマネをする。ブンブンと、竹刀が空を切る音が中一生たちの耳に入ってくる。あれがケツに飛んできてはたまらんと、思わずゾクッとする勇実たちだった。

 そして、

「はい!お願いします!」

と、口々に言う中一練習生たち。

「よし!では、勇実。みんなの前で、褌の締め方を見せてやりなさい!」 

「えぇ・・・・」

 返事もできず、困ったように、真っ赤な顔になる勇実だった。

「先週、勇武か勇一に聞いて、しっかり締められるようにしておけと言ったはずだ!」

「はい・・・い、いえ・・・忘れました・・・・」

 勇実は、真っ赤な顔でそう答えた。声は微かに震え、泣きそうだった。

・・・・・・・・・・・・・・

 聞いた相手が悪かったのだ。勇実は、先週、父親から言われた通り、次男の勇武に聞いていたのだ。しかし、兄は、

「そんなの中学クラスの初っ端にオヤジが教えるからその時覚えればいいんだよ!いま覚えたって、どうせ忘れるだろ!」

と言って締め方を教えてくれなかったのだ。

「でも、とうさんが兄ちゃんから習って、覚えとけって・・・」

と、勇実は食い下がったが、兄・勇武は、

「ああ、そんなの忘れてるよ!俺の時もそう言ってたけど、結局、最初のクラスでオヤジが初めから教えてくれたぜ!勇一兄ちゃんに聞いて損しちゃった。勇一兄ちゃん、俺のポコチン、ギュとかいって剥くんだぜ!あれは、痛かったな・・・」

「え!大きい兄ちゃん、そんなことすんの・・・」

 そんな次男の話を聞いて、結局、長男には聞かずじまい、六尺の締め方もわからないまま中学生としての初稽古を迎えた勇実だったのだ。

・・・・・・・・・・・・・・

 兄貴の仕返しが怖くて、本当のことはいえなかった。

「わ、忘れました・・・」

と、嘘を言うしかなかった。長々と言い訳しても聞いてくれる父親でないことも、勇実にはわかっていた。

「なに!忘れただと!」

 厳しかった勇雄の声が、さらに苛立ちの混じった厳しいものになってきた。

「は、はい・・・」

 勇実は、ただで済むはずはないと、内心覚悟していた。小学生の時から、父親からやれといわれたことをやっていなかった時のお仕置きは、拳骨かビンタだ。拳骨を食らえば、頭がクラクラするほど痛いし、父の右手でのビンタは、張り倒されること確実なくらい強力だった。父・勇実は、生まれも育ちも東京・下町の、バリバリの江戸っ子。もちろん、口よりも先に手が出るタイプだ。しかし、家庭では息子たちの尻を叩くことはなかった。というより、怒ると、「尻を出せ!」と言ってる暇がないほど、拳固や平手が真っ先に飛んでくるのだった。

「あぁ・・・大きい兄ちゃんに聞いておけばよかった・・・・」

と後悔しても、もう遅かった。 

 次男の勇武は、

「俺のときと同じ展開だ・・・」

と、薄ら笑みを浮かべていた・・・自分が中一の時は、長男・勇一に六尺の締め方を聞いておくのをうっかり忘れ、道場で大目玉を食らった勇武だったのだ。

 しかし、勇武の期待を裏切るかのように、父・勇雄の怒りの矛先は、まず、弟ではなく自分の方に向かってきた。

「コラァッ!勇武!なにニヤニヤ笑ってんだ!笑ってる暇があったら、前に出てきて、勇実の代わりに見本を示せ!」

  勇武は、

「はい!」

と、返事をしながらも、

「チェッ!面倒臭せぇ〜〜な、また六尺外して締めなおすのかよ・・・やっぱ、オヤジのヤツ、勇実には甘いよな・・・オレが忘れた時は、ビンタで、道場の端までブッ飛ばされたもんな・・・」

と思いながら、前に出てきた。弟と目があい、真っ赤な顔でフリチンで立っている勇実を睨みつける。そして、そこをどけとばかりに、勇実に肘鉄砲を食らわすのだった。

 そんな次男・勇武の態度に、父・勇雄は、

「なんだその態度は!さっさと六尺外して、手本を示せ!」

と、言ったかのが早いか、

パアァ〜〜〜〜〜〜〜ン!

と、右手で握っていた竹刀で、兄・勇武の袴の左ケツを思い切り叩く。

「痛てぇ〜〜〜!」

と、勇武は思わず叫んだ。

 道場に響く竹刀がケツに着地する音。師範の竹刀が左ケツペタを強襲し、顔を歪め、本当に痛そうな顔で必死で左ケツをさする中三の先輩練習生・下田勇武の姿。

 中学生クラス新学期初っ端の稽古では、例年、いつも以上に厳しくして、中一練習生の気分を引き締める師範の勇雄だった。小学生の時のような「楽しいお稽古事」気分では困るからだった。そして、勇雄の狙い通り、小学生の時とは違う師範の態度と、袴の上からやられても超鬼痛そうな、はじめてみるケツ竹刀のド迫力に、フリチンで立たされていた中一・練習生たちは、アソコが完全に縮み上がるほど驚き、ビビッていた。

 オヤジにこれ以上殴られてはたまらんと、不満そうな顔をしたまま、稽古着を脱ぎ、股間に締めこんであった六尺を外して、中一・練習生たちに締め方を教え始める次男の勇武だった。



三、勇実の六尺デビュー

 いやいやながらも、六尺を締めながら、後輩たちに六尺褌の締め方の手本をみせる下田家の次男、中三の勇武。中一の連中は、毛が生えそろいつつある先輩の股間がやはり気になった。しかし、一回で覚えようと必死で勇武の締め方に集中する中一練習生たち。

 下田道場の稽古用六尺褌は、並幅(約35cm)に切った白の晒し木綿で、長さは、六尺、約180cmだ。中一生には、少し長いかもしれない。それを半幅に折り、前袋式に締めこむのが下田道場のやり方。縦廻しは二重で、股間に二回、晒し木綿を食い込ませていく。横廻しは、下腹のあたりに一回だ。

「よし!仕上げは、仲間に手伝ってもらってしっかりと締めこむこと!勇武!後ろを向け、俺が手伝ってやる!」

と、師範が言った。

「はい!」と言って再び後ろを向く勇武。剣道で鍛え、プリッと引き締まったケツの左側には、竹刀で殴られた時できたピンク色の筋が残っていた・・・。その痕を思わず凝視する中一生たち。

「よし!腰を下げろ!」

「はい!」

 師範は、六尺の一方の端を持ち引っ張り上げる、そして、勇武は、腰を下げていく!

「え!あんなに食い込ませるの・・・」

 中一の連中は、胸がドキドキした。

グイグイグイグイグイィ!!

 晒し木綿は、勇武のプリッと肉厚に盛り上がったケツの双丘の谷間へと深く深く食い込んでいく。

グイグイグイグイグイィ!!

「締まりました!」

という勇武。

「よし!」

といい手を緩める師範。

 勇武は腰を上げ、顔を紅潮させていた。久々に師範にしっかりと締めてもらい、晒し木綿の食い込みが予想以上にきつかったらしく、

「ヒィーー!いてぇーー!くいこむーー!」

と、さかんにケツの谷間に手をやって、少しでも晒し木綿を緩めようとする。同期の中三練習生たちからは笑いもれる。

 前袋に包まれた勇武の上向きの竿は、ビンビンに硬くなっているのが、誰の目にもわかった。しかし、「男はだれでもそうなる!」と師範から教えられている勇武は、恥ずかしがる風もなかった。

「後ろを向け!手をどかせろ!このくらいきつくない!」

と、次男を叱り付け、中一が見えるように、最後の仕上げをする師範だった。

パシィ〜〜〜〜ン!

と一発、勇武の右ケツを平手打ちしたかと思うと、

「よし!一丁あがり!」

と言った。

「ありがとうございました!」

というと、ケツと、ケツの谷間にモジモジと手をやりながら、中二・中三生の正座の列へと戻っていく勇武だった。
 
 師範は、中一生の方を向くと、 

「じゃあ、お前ら、一人ずつ、やってみろ!」

と言う。

「え・・・」

と、中一生たちの間から声が漏れる。フリチンのまま、どうしていいかわからないでいる中一生たち。再び、右手に持つ晒し木綿の反物で、前を隠そうとしている。

「覚えが遅い!こりゃ、竹刀で叩き込まんといかんかな??」

「えぇーーー!」

 師範のケツ竹刀の脅しに、さっきよりも少しは大きな声を上げて、一様に困ったような顔つきになる中一練習生たち。

 それをみて、ニヤッと笑う師範は、 

「心配するな!約束通り、今日だけは、俺がしっかりと締めこんでやる!今日、覚えられなかった者は、次回の稽古日までに家で練習してくること!いいな!」

「はい!」

 こうして、師範の指導の下、ひとりずつ、中一練習生たちの股間には六尺褌が締めこまれていった。

 締めこみが完了すると、練習生は、

「よし!」

と言われ、師範から生尻を一発、

パチィ〜〜〜ン!

と平手打ちされる。

 師範の平手打ちは強力だった。みんなすぐさまケツをさすった。そして、

「ヒィーー食い込むゥーー!!」

と声を上げ、ケツの谷間に深くグイっと食い込んだ晒し木綿を、手でどうにかして緩めようとするのだった。真っ赤な顔で、ケツの谷間に必死で手をやるその滑稽なしぐさは、中二・中三の先輩練習生たちの笑いをさそった。

 そんな同輩練習生たちのリアクションを眺めながら、六尺を締めてもらう順番が一番最後の勇実は、胸がドキドキしていた・・・。

「よし!」

パチィ〜〜〜ン

「ありがとうございました!」

「ヒィーー食い込むゥーー!!」

 勇実の隣の松田一雄の六尺締め込みが終わった。

 いよいよ勇実の六尺デビューの時がやってきた。なぜか胸がドキドキし、股間が半勃起状態の勇実は、手に持った晒し木綿で、前を隠すのに必死だった。しかし、もう半勃起ちの股間を隠すことはできなかった。師範のオヤジからは、

「おお!勇実が一番元気だな!」

とからかわれ、先輩練習生たちからは、再び笑いが漏れる。己の股間にぶら下がるまだまだちっちゃなイチモツの高まりを、同期の一年生たちからも、ジロジロとみられ、勇実は、もう耳まで真っ赤だった。

 まずは、師範に手伝ってもらい、晒し木綿を半幅に折る。そして、一方の端を肩に掛け、それを股間にくぐらせて、後ろへもってくる(縦廻し一回目)。

 六尺で股間を覆う際、

「チンチンは、上向きだ!いや、もうお前のは上を向いとるな!元気でよろしい!!」

と、父親の指導。師範の勇実をからかうような物言いに、先輩も同期も、練習生から爆笑がわき起こる。

 晒し木綿を股間にくぐらせるとき、ケツの谷間のもっとも敏感なところをその木綿生地がケツの谷間に触れて刺激され、その感触に、思わずムッフン!勇実のまだまだ剥けてないかわいい竿はもうビンビンに上向き状態だったのだ。胸はドキドキし、アソコはビンビン。もう締め方を覚えるところではなくなってきた。ただただ、師範から言われた通りに動くしかなかった。

 後ろにもってきた晒し木綿を下腹のところで一回巻く(横廻し)。そして、股間に通した布に挟み込み、しっかりと引っ張る!ケツにグイっと、晒し木綿が食い込んでくる瞬間だ!そして、端を横廻しした褌に何度も挟み込んで留める。

「え!すげー食い込み・・・やばい・・・」

 ケツの谷間の一番奥に隠れたもっとも敏感な場所をさらに刺激され、勇実の男根は、もう怒張の頂点に達していた。しかし、このくらいで頂点に達してもらっては困るのだ。締め込みの本番はこれからだ。

 次に、肩に掛けてあった布のもう一方の端を下ろし、股間を包む前袋の形をかっこよく整える。

「チンチンは、しっかり上向いとるな!」

と、またまた恥ずかしいことを確認してくるオヤジ師範。

「は、はい・・・」

と、どうにか返事をする勇実。もう勇実の男根は、完全に上を向いて、ピタッと下腹に張り付いてしまっている。

 いよいよ、肩に掛けてあった部分を股間に通して、後ろに回す時だ(縦廻し二回目)。股間を覆う前袋は、二重になる。股間を通すときに、師範は、すでに締めこんであった縦褌(たてみつ)にギュギュと、あらたに股間に通すその晒し木綿ねじり込むようにして、二回目の縦回しを締めていく。この締め方が、一番しっかりと締まる、締まり具合のよい締め方であり、六尺は、稽古中に緩むことがないのだ。

グイグイ!ギュギュ!

グイグイ!ギュギュ!

 勇実のケツの谷間にまさにねじり込まれるようにして、締めこまれていく六尺。それは、勇実のケツの両たぶの間に隠れこむように、食い込んでいく。ケツの谷間のあのもっとも敏感な部分への圧迫も半端ではない。勇実の男性自身は、もう堪らんと言わんばかりに、先から透明の先走りを迸らせている。本人はまだ気がついていなかったが、もう勇実も、一人前の男に成長していたのだった。

「ヒィーーー食い込むぅーーーー!」

 やっと二回目の締め込みが終わると、いよいよ後ろの仕上げの締め込みである。締めこんできた、そのもう一方の端をつかむと、師範は、

「腰を下げろ!これでいいと思ったら教えるんだ!あまり緩いと稽古中解けるからな!油断はするなよ!」

と言った。

 よくわからなかったが、勇実は、とりあえず、

「はい!」

と返事をして、腰を下げていく。師範は、その端をグイッと引っ張り上げ、勇実は、腰を下げる。いやでも、六尺は、勇実の股間に容赦なく食い込んでくるのだ。

グイグイグイグイグイグイグイ・・・・・

「うぅ・・・すげぇ食い込んでくる・・・」

 勇実は、頬をプッとふくらませ、真っ赤な顔をして、晒し木綿が股間にグイグイと食い込んでくる、そのなんともいえない刺激を我慢していた。

 後ろから師範が、

「いいのか?はっきり言わんと、いつまでも終わらんぞ!」

「は、はい!締まりました!」

と、あわてて返事をする勇実。

「よし!腰を上げろ!」

 腰を上げると、六尺は、勇実の股間にさっきよりも一段と晒し木綿が食い込んでくる。思わず、ケツの谷間の六尺が食い込んだ部分に手をやる勇実。ケツの谷間に深く固くねじ込まれた晒し木綿の感触を手に感じ、思わずゾクッとする勇実。

「え、あの布がこんなに堅く、しめ縄みたいになって、オレのケツに食い込んでいる・・・これじゃ、どうやっても緩められそうにねぇや・・・」

と思うのだった。

 師範は、握っていたそのもう一方の端を、横に巻いてある褌(横褌、よこみつ)の後ろの部分にねじり込ませながら、最後の仕上げをする。

「よし!一丁あがり!」

 そういうと、平手で、勇実の右ケツを

パァチィ〜〜〜〜〜〜〜〜ン

とひっぱたく。

「ありがとうございました!」

と大声で挨拶する勇実。

 下腹、ちょうど臍下のところに、キリッと粋に六尺を締めこんだ、若き青年剣士・下田勇実の誕生だった。

「こいつはなかなか六尺が似合う!」

と、父親である師範はそう思っていた。まだ痩せてはいるが、胴長で少し足の短い、典型的な日本男児の体型の勇実には、六尺がピッタリ似合っていたのだ。

 他の中一練習生同様、やはり、

「ヒィーースゲェーーケツに食い込むぅーーーー!」

と言って、ケツの谷間に手をやり、自分の股間に食い込んでいる晒し木綿を、どうにかして、緩めようとする勇実。しかし、師範のオヤジによって締めこまれた六尺は、しめ縄のように固くねじれて、股間にグッと締め込まれており、緩めることなどできなかった。そして、動くと、すれて、ケツの谷間の一番・敏感なところが遠慮なく六尺で刺激される。前垂れはないので、その刺激に反応し、前袋のなかで石のように硬くなっている竿を隠すことはできなかった。

 それでも、勇実は、六尺の締め心地が好きになった。ケツにグイっと食い込み、さらに下腹をグッと押さえられるているような感覚に、

「俺も、日本男児なんだ!」

と、オヤジがよく口にする「日本男児」という言葉をつぶやいていた。自然と日本男児としての気が引き締まってくるようだった。

 キリリと六尺を締め込み、横一列に並んで立っている一年生たちの股間の盛り上がりを見て、師範は、からかうように、その盛り上がりを竹刀でツンツン軽くつつきながら、

「お前ら全員!元気でよろしい!六尺締めこんだときは、男なら初めは誰でもオっ勃起つんだ!恥ずかしがることはない!お前らももう立派な男に成長した証拠だ!今日、家に帰ったら、赤飯で祝ってもらえ!」

と、豪快に笑いとばす。

「はい!ありがとうございました!」

と、真っ赤な顔で恥ずかしそうに返事をする一年生たち。

「それから、どこにでもよいから名前を必ず書き込んでおくこと!名前を書き込んでいない六尺が道場でみつかったら、全体の連帯責任で竹刀でケツをぶん殴るからな!みんなに迷惑かけたくなければ、今日稽古が終わったら、チンチンの上のところにでもデッカク名前を書いておけ!」

「は、はい・・・・」

 師範の注意と警告に戸惑ったような練習生だった。そして、中二・中三生は、毎年の師範の冗談に大爆笑だった。



四、オヤジの竹刀
 
 これで終わり、やっと、道着を着れると思った練習生たち。しかし、それは甘かった。特に、勇実にとっては・・・。

「いいか!お前らは、もう小学生の子供じゃない!チンチンにも毛が生えてきたんだ!もう一人前の男だ!中学生クラスで俺が一度教えたことを忘れたらどうなるか、これから教えてやる!一人前の男の責任の取り方をだ!さあ、勇実!こっちへ出て来い!」

と、師範は勇実に命令した。今日までに兄貴に聞いて六尺の締め方を覚えておかなかった勇実に対する仕置きがまだ終わってはいなかったのだ。

「あぁ・・・やっぱり・・・」

 勇実は覚悟していた。竹刀で叩かれることを。ほかの一年生たちも、同期の勇実が竹刀で殴られることを予想ていた。胸はドキドキ・バクバクだった。
 
 二・三年生も、新学期初っ端からケツ竹刀が見れるなんて、少し興奮気味。あの痛みを思い出して、ケツがムズムズっとしてくる。

 特に、勇実は、股間が異常に熱くなるのを感じていた。股間がムズムズ、なにか突き上げられてフワッと浮くような気持ちのよさを感じていた。その意味を自分でもまだ理解できないでいた勇実だった。

 そして、勇実の六尺・前袋の異常な膨らみは、いやでも目立っていた。「隠さなくていいぞ!はじめは誰でもチンチンがオッ勃つんだ!」と師範から言われたものの、その大きな石でも入れたような異常な股間の盛り上がりに、中三の先輩からは、キツイ野次が飛んだ。

「下田、チンチン勃起しすぎだよ!」

 中三の先輩練習生は、保健体育で習った「勃起」という言葉を得意げに使っていた。先輩練習生たちからは、大爆笑が起こる。

「ちゃんとシコれよ・・・」

と、さらなる野次に、意味はまだよくわからなかったが、とてつもなく恥ずかしいことを言われたようで、勇実は、頭のてっぺんから足のつま先まで茹で上がったタコのように真っ赤になってしまった。

「あいつまだ知らないんだよ・・・」

「ちゃんと教えてやれよ!兄貴だろ!」

「やだよ・・・あいつまだ、包茎なんだぜ・・・」

と、中三の兄貴・勇武が、勇実にも聞こえるように、隣の練習生と「ヒソヒソ」話をしてる。

「小さい兄ちゃん・・・またボクのこと馬鹿にしている・・・僕だって知ってるもん!知ってるよ!」

と、本当は「シコリ方」など知らなかった晩生の勇実だったが、心の中では、必死でそう叫んでいた。

「コラァッ!うるさい!静かにせい!」

と、師範の一喝で、先輩練習生たちは、シィ〜ンと静まり返った。

「さあ、勇実!ここに来て、みんなの方を向いて立つんだ!」

 やさしく諭すような口調だったが、絶対妥協は許さない厳しい雰囲気があった。ケツ竹刀をするときの師範のいつもの口調だった。

 今にも泣きそうな弱々しい声で、

「は、はい・・・」

と返事をする勇実。

 その時、大好きでやさしい長男の勇一が、入り口のところで一礼すると、道場に入ってきた。高校から帰ってくると、真っ先に道場に向かい、小学生クラスであれ、中学生クラスであれ、稽古に参加する兄貴だった。

「あ!大きい兄ちゃん!」

と、思わず叫んでしまいそうになる勇実。

「助けて!兄ちゃん!」

と、甘えたくて、思わず涙ぐむ勇実。

「さあ、なにをボケッと突っ立ているんだ!はやくそこにみんなの方を向いて立ちなさい!」

 師範に促され、師範の前にケツを差し出すように、先輩練習生たちが正座している方を向いて立つ勇実。 

 いつも勇実のピンチを救ってくれる「大きい兄ちゃん」も、見てみぬ素振りで、道着と六尺のつるしてあるロッカー更衣室へと向かっていく。

 もちろん、道場の雰囲気、そして、師範の声から、カワイイ末っ子の弟・勇実がオヤジから竹刀で殴られようとしていることは、勇一にもわかっていた。しかし、ここはオヤジが師範の稽古道場だ。自分が口をだす立場にないことは、十分承知していた。

 六尺一丁でケツを殴られているところを勇実も自分に観られたくはないだろうと、長男・勇一は、知らん振りで横を通り過ぎ、剣道着へ着替えるため、更衣室へ向かったのだった。オヤジの竹刀でケツをぶん殴られる痛さは、勇一だって体験済みだ。初めての竹刀となれば、痛みもひとしおであろう。

「初めてのケツ竹刀か・・・絶対に泣くなよ・・・がんばれ、勇実・・・」

と、そっと心の中で応援していたやさしい長男・勇一だった。

 後ろを向いて、師範にケツを差し出し、覚悟を決める勇実。

「足を肩幅より少し広く開いてしっかりと立て!」

「はい!」

「両手を肩のところまで上げろ!」

「はい!」

「ケツを後ろに突き出せ!」

「はい!」

「いいか!これが俺の竹刀をケツに受ける時の構えだ!もう二度と説明せんからよく覚えとけ!『ケツだ!位置につけ!』と言われたら、ぐずぐずしとらんで、潔く、六尺一丁になってケツを後ろへクッと突き出す!わかったな!」

 師範は、中一練習生たちに向かって、厳しく言う。

「は、はい!」

 中一練習生たちは、大声で返事をした。絶対に忘れられない、同期の勇実がとっている「男らしく師範からケツに気合を入れていただくための構え」を、他の中一練習生たちも我が事として脳裏に刻むのだった。

 今度は、師範の最後の指示が勇実に飛ぶ。

「ぶっ飛ばされんよう、しっかり足をふんばるんだ、勇実!拳をしっかり握って、歯を食いしばってろ !痛てぇ〜ぞ!」

「は、はい・・・」

 少し不安になったような最後の返事をすると、

「もう甘えちゃだめなんだ!しっかり、竹刀をケツで受け止めないと!」

と決意を決める、末っ子で、人一倍甘えん坊の勇実。自分のくじけそうになる気持ちを必死で奮い立たせた。

 あの竹刀が、ケツに、しかも、むき出しのケツに飛んでくると思うと、やはり怖かった。しかし、子供じゃない、男として、ケツにビシッと気合を入れていただくと思うと、六尺のなかで怒張していた勇実の竿は、ますますビンビンになってくる。

「よし!来い!オヤジ!俺に手加減なしの気合を入れてください!」

と言わんばかりに、勇実はケツをさらにグイッと後ろへ突き出し、男にとって人生最大の先輩であるオヤジの竹刀が振り下ろされるその先へ、潔くケツを突き出すのだった。

「いくぞ!」

と、竹刀を両手で持ち構え、勇実の六尺を締めてプリッと突き出たケツに狙いを定める勇実のオヤジ、勇雄だった。

 勇雄は、父親の気持ちを、必死で捨てようとしてしていた。カワイイ末っ子の尻を、新学期初っ端から竹刀でぶん殴らなければならないなんて、いくら厳しい父親とはいえ、ツライものがあった。

 しかし、勇雄は、心を鬼にした。人生の先輩として、そして、男の先輩として、男の世界の厳しさを叩き込んでやる決意を固めようとしていた。 

「お願いします!」

という、まだ少年の高い声色が残る三男・勇実の、「もう甘えん坊なんていわせない!」との決意が伝わってくる「お願い」に、ポンと肩を押されるように、勇雄の父親としての迷いは吹っ切れた。

 勇実のケツに眼光するどく狙いを定め、竹刀を振り下ろす勇雄。手加減はしなかった。手加減すれば、息子の男としてのプライドを傷つけると思ったからだ。

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

 あの甲高い竹刀の音が道場に響いた!男らしく後ろへプリッと突き出された勇実のケツの中央からやや下あたり、一番肉厚の部分に、オヤジの竹刀は、食い込むようにして着地する。

「あっ、あーーーー」

 後ろから来た予想以上の重い衝撃に、声もなく、前に吹っ飛ばされる勇実。オヤジの竹刀が己の剥き出しケツを強襲した、その衝撃は、ガァ〜〜〜〜ンと、勇実の脳天まで響いていた。容赦なしに振り下ろされた勇雄の竹刀をケツで受け止める力は、中一の勇実にはまだなかったのだ。中二の練習生の中に、飛び込んでいった勇実。倒れてうつ伏せになりながらも、ケツのカァ〜〜〜とする熱さに、ケツを思わず両手で押さえる勇実。

「だいじょうぶか?」

と、さっきまでは勇実の股間の怒張をからかっていた先輩たちも、中一生のケツに容赦なく振り下ろされた竹刀のド迫力に肝をつぶし、勇実の顔を覗き込んで、勇実に手をかけて起こしてやろうとしていた。

 先輩練習生たちは、みんな師範のケツ竹刀の迫力を知っているのだった。勇実には同情的だった。そして、息子でも手加減・贔屓しない師範を、畏敬の念をもって見上げるのであった。

「自分たちの師範は、ただ厳しいだけではない!剣の道の先輩、そして、男の先輩として、すごい人だ!」

と・・・・。

「は、はい・・・だ、だいじょうぶです・・・」

 勇実は小声で先輩たちにそう答えると、立ち上がろうとした。後ろから、父親の厳しい激励が飛んだ。

「このくらいで吹っ飛ばされるとは修行がたりん!恥ずかしいぞ!勇実!もっと稽古に励んで、強くなるんだ!」

 勇実の目からは、悔し涙が溢れそうになっていた。さらに、ケツが痛くて、起き上がっても、ケツを押さえてしゃがみ込み、なかなか立ち上がれない。

「なにやってる!このくらいで、立ち上がれなくなるようじゃ!だらしないぞ!勇実!」

 その師範の言葉に押されるように、涙をこらえ、やっとのことで立ち上がり、

「はい!ありがとうございました!」

と、オヤジ師範に礼を言う勇実だった。

「よし!中一は、剣道着を着ること!すぐに稽古を始める!」

「はい!」

と元気よく答える中一生だった。

 勇実のケツには、ピンク色の横一文字の筋がついていた。まだ、ケツがジンジン痛かった。そして、ケツ竹刀のあまりの痛さに一時は萎えた前袋のなかの勇実の男性自身は、また再びこわばってきていた・・・。

 ケツ竹刀の興奮冷めやらぬなか、道場の端に正座して、手ぬぐいを頭に巻き、面をつける中一生たち。

ドォ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

と稽古の始まりを告げる和太鼓が打ち鳴らされた。

「かかり稽古始め!ほら、中一は遅いぞ!急げ!」

と、師範の怒鳴り声が道場に響いていた。

「はい!」

と、元気に返事をして、稽古へと立ち上がる勇実たち。

 ちょうど、剣道着と面をつけて、道場に入ってきた、長男の勇一が、勇実に声を掛けてくれた。ケツを叩かれ、落ち込んでないか心配してのことだった。

 なにもなかったように、

「よし!勇実!俺が相手だ!かかり稽古だ!さあ、来い!」

と、勇実を稽古に誘う長男・勇一。

「はい!お願いします!」

と、いつものように大きな声で元気よく返事をすると、勇実は、

「やあぁーーー!面ぇーーーん!」

と気合を入れて、大好きな「大きい兄ちゃん」の胸へと飛び込んでいく。

 ケツ竹刀は、鬼のように痛かったけど、大好きな「大きい兄ちゃん」の胸をかりて稽古できるなんて、剣道、そして、父親の道場がまた好きなる勇実だったのである。



五、待っていた稽古後の試練

 その日の稽古も終わり、シ〜ン静まり返った道場。新学期の初稽古に汗を流した中学生クラスの練習生たちは、面をとって正座し、瞑想していた。

「瞑想やめ!礼!」

の勇武の号令で、床に両手をついて師範に挨拶をする。

「ありがとございました!」

 厳しい稽古も終わり、これで解散だ!ざわめく道場内。中一練習生たちも、道場脇にあるロッカーのある更衣室へと向かおうとしていた。剣道で一汗掻いた後は、どんなに暑くても寒くても、気持ちの良いものだった。

 しかし、中三で事実上のキャプテンである勇武が怒鳴った。

「コラァッ!中一!お前らはまだ終わってねぇ〜ぞ!六尺一丁ですぐに集合!」

 先輩のその怒号に、

「えぇ!」

と口々にいい、「マジか!?」といった顔をする中一練習生たち。小学生クラスと違い、稽古が終わったからといってすぐに解散とはならないのが、中学生クラスのツライところだった。

 道着を脱ぎ、六尺一丁で、勇実たち中一練習生が、勇武の前に集合し整列すると、勇武は威張った口調で言う。もう、師範も兄貴の勇一も道場にはいない。勇武が大将だった。

「これから高校生の先輩方が稽古を始めるまでの30分間、俺たちの汗で汚れた道場の床を、この雑巾で乾拭きして、ピカピカに磨き上げる!それが、一年坊主のお前たちの仕事だ!床拭きが終わったら、俺たちの六尺を水洗いして更衣室の道着と一緒に干しとくように!」

「・・・・・」

「返事はどうした!」

「は・・・はい・・・・!」

「元気がねぇ!もう一度!」

「はいッ!!」

「よし!それでは始めろ!」

 そういうと、勇武はバケツにはいっていた乾いた雑巾を、床にまいた。

「よし!道場の端から二列になって雑巾がけだ。チンタラやってんなよ!腕に力をいれて、ダッシュで道場の端から端まで雑巾がけだ!」

 勇武たち一年生5人は、六尺一丁で雑巾がけを始める。両手で雑巾を持って、床に磨きをかける。 中三の練習生たちは、ニヤニヤしながら、竹刀を片手に持ち、勇実たちがサボらないか監視している。

 六尺一丁、一年坊主は、道場の端で、床に置いた雑巾の上に両手をつき、短距離走の選手がスタートを待つような姿勢をとる。そして、ケツを後ろに挙げたら二人ずつ並んでスタートだ。

「やあぁーーー!」

と、雄たけびを上げながら、道場の端から端まで、一気に雑巾を掛けるのである。最初の二人がもう一方の壁にゴールすると、次の二人がスタート。最初の二人は少しずれて、また雑巾がけで戻ってくる。

 これを30分間休むことなく、道場の隅から隅まで、何十週と繰り返し、床をピカピカに磨き上げる!

「いいか!道場の床に顔が映るくらいピカピカに磨き上げろ!」

と、中三の先輩達の叱咤激励が飛ぶ。

 途中で止まったり、足が絡まって倒れたりすれば、六尺が締め込まれただけの剥き出しのプリケツに、容赦なく竹刀が飛んでくる。二列に並んでやるが、中一生は5人、勇実は、いつも最後に一人で雑巾がけだった。そして、雑巾がけの最中のそのキュッ、プリっと天井に向けて挙げられた勇実のケツは、先輩の竹刀の格好のターゲットだった。

 中三の先輩の力は、もう大人並み。しかし、師範と違い、手加減を知らないので、

「中三の先輩の竹刀は、師範より痛い!」

と、中一生からは恐れらることになる。特に、

「下田の兄貴のケツ竹刀は、超・痛てぇ〜よ。」

と、中一の同輩練習生から、今後、常に言われることになる、次男・勇武の竹刀が、勇実のケツを待ち構えていたのだ!

「やぁーーーー!」

「オラァ!もたもたすんじゃねぇ!」

パァ〜〜〜〜ン!

「はい!ありがとうごさいました!」

「やぁーーーー!」

「オラァ!おっせんだよ!そんなチンタラやってたんじゃ、30分でおわらねーんだよ!」

パァ〜〜〜〜ン!

「うぅ・・・・は、はい!ありがとうごさいました!」

 稽古後の道場に、勇実たちの雄たけびと、先輩たちの怒号、そして、先輩の竹刀がケツを打つ音が響いている。まさにケツ竹刀つき床磨き!男の雑巾がけだ!六尺一丁の中一生たちは、広い道場の隅から隅まで、一周しただけでもう汗だくだった。

 しかし、一周して終わりになるほど、甘くはない。

「よし!今度は、ここから、向こうまで、雑巾がけで戻るぞ!向こうまでいったら、また戻って来い!」

と、30分間休みなく床磨きをさせられる。

 30分間で何周できたかは、中三の先輩がきちんとチェックしていて、前回の稽古後雑巾がけより記録が落ちると、雑巾がけの後、一列に並んでのケツ竹刀が待っている。中三の先輩は、十人。一人一発ずつ計十本のケツ竹刀を食らう羽目になる。

 稽古の時、師範から気合を入れられた時などは、ダブルで食らうことになり、思わず涙がチョチョ切れる程ケツが痛くて辛いのだった。もちろん、帰りのチャリに座ることはできず、押して帰るしかなかった。

 そして、キンコンカコーン!!先輩の竹刀がたまたまタマタマに大当たりしてしまったヤツで、マジ泣きしているやつには、中一同士で、

「だいじょぶか・・・がんばろうぜ!」

と、やさしくお互いに声を掛け合う勇実たちなのであった。

 勇実たち中一練習生たちは、こんなに長い30分を経験したのは、生まれて初めてだったかもしれない。何周磨いても、中三の先輩の「よし!止め!」の言葉は聞かれなかった。もう床はピカピカのはずだ。それに、これ以上やっても、逆に、自分から流れ落ちる汗で、返って床が汚れてしまう。

 しかし、これはシゴキだ。シゴキに理屈などない!後輩は、自分たちを鍛えてくれる先輩のありがたいシゴキを、ただただ素直に、そして、凛としてひるむことなく、受け止めるしかない。それが男というものだ。

「チンチンに毛が生え始めたら、もう一人前の男だ!」

の師範・勇雄の言葉通り、もう勇実たち中一生も、男として、先輩のシゴキを潔く受け止め、耐えなければならない年頃だったのだ。

「あぁ・・・いつまでやるんだ・・・足の筋肉がパンパンだ・・・」

「もう30分たってるよ・・・高校生の人たち、まだ来ないのかな・・・」

 そんな中一生たちの思いもむなしく、先輩たちの竹刀は、引き続き、くじけそうになる中一生のケツに、

パァ〜〜〜〜ン!

パァ〜〜〜〜ン!

パァ〜〜〜〜ン!

と、容赦なく飛んでくる。そのたびに、ハッとなり、自分の気を引き締める中一生たち。雑巾がけの途中、向かい合って目があうと、お互いに「がんばろうぜ!」と、目で合図をしてはげまし合う。しかし、そんな頑張りももう限界、「もう、ダメかも・・・」と、中一生たちが思ったその時だった。

「コラぁ!いつまで雑巾がけやってるんだ!俺たちの稽古がはじまるぞ!中学生はさっさと引き上げろ!」

との怒鳴り声が、道場の入り口から響いてくる。

 長男の勇一が、母屋から戻ってきたのだ。勇一の親友で、道場の高三練習生のひとり、上山先輩も一緒だった。

「あ!大きい兄ちゃんだ!」

 勇実を助けてくれるのは、いつも「大きい兄ちゃん」こと長男の勇一である。

 次男の勇武はあわてて、

「ほら、お前ら、いつまでもやってんじゃねぇ〜よ!次は、六尺の洗たくの仕方を教えるから洗い場の前に集合!」

と、中一たちを怒鳴りつける。

 勇実たち中一練習生は、少し不満げな顔で、

「は、はい・・・」

と返事をして、道場裏の洗い場へと向かう。

「勇武のやつ、調子に乗りやがって・・・もう40分も中一に雑巾がけさせてやがる・・・」

「俺たちもそうだったじゃんか!中三になった時はもう有頂天でさ、これで後輩をビシビシ、シゴけるって!」

「ま、まあな・・・」

「まあでも、高一になれば、また下働きに逆戻りだけどな!」

 そういいながらお互いに笑う勇一と上山だった。もちろん、高校生クラスの稽古が終わると、今度は、成人・大学生クラスの稽古が始まるまで、たっぷり1時間、雑巾がけのシゴキが、高校一年生の練習生を待っていたのだ。もちろん、高三練習生の六尺の洗濯も高一の仕事だったのである。

「上山!六尺締めなおすの手伝ってくれよ・・・なんか緩んで来たみたいだ・・・」

「おお!俺が締めるのも手伝ってくれ」

 そういって、道場脇の更衣室へ行く二人の高三生だった。



六、垣間見た高校生クラスの厳しいケツ竹刀

 雑巾掛けが終わり、勇武の指導で、中三生の六尺を洗う中一生たち。師範からは、六尺は清潔にしておくように言われているが、毎稽古後に六尺を洗うのは、中三生と高三生のみ。他は、一学期間、六尺を洗うことはほとんどなかった。稽古が終われば、やはり一学期間は洗濯をしない汗臭い剣道着とともに更衣室の剣道着置き場に吊るして六尺に染み込んだ男の汗を乾しておくだけだった。

 毎回、剣道具を家に持って帰る小学生クラスとは違い、中学生以上では、自分の剣道具を道場に置いておくスペースが与えられ、試合の前などや休暇の時以外は、道具を家に持って帰らず、更衣室に置きっぱなしである。道場にも、練習生用の洗濯機があったが、自分からは、自分の剣道着と六尺を洗うことはなかったのだ。まさに、汗臭いのなんてあたりまえ、下田道場の更衣室は、剣道着と面の独特な臭いと男臭さで、一年中プンプン臭っている。さらに下級生たちの、シミつき六尺の、イカくせぇー臭いも混じる。

 ただ、「シゴキ」の一環として、中一生は、中三生の、高一生は、高三生の六尺を、毎稽古の後、水で手洗いさせられるのが、下田道場の伝統だったのである。六尺を洗い終わり、先輩たちの六尺を先輩の剣道着と一緒に乾して、やっと中一生も解放される。稽古もツライが、道場の下積み修行もツライのだ。

 更衣室へ戻り、六尺をはずした勇実。はずしても、まだ股間になにか挟まっているような感覚だった。

 その時、

「高校生クラスでもケツ竹刀やってるぞ!」

と、勇実と同輩の松田が興奮したような顔つきで報告してきた。

「みんなで見に行こうぜ!」

「行こうぜ!」

と、家に立ち寄ることもなく学校帰りにそのまま下田道場へ来た四人は、急いで黒の学生服を着込み、勇実は、ジャージに白のTシャツ姿で、道場の開け放たれた窓からそっと高校生クラスをのぞきに行くのだった。

・・・・・・・・・ 

「よし!五人とも、横山剣友会に負けた責任を取りたいというのだな!」

「はい!俺たちの気合が足りず、勝てる試合を落としました!気合入れ、お願いします!」

 二十人ほどの高校生が前に面を置き、正座して待つ中、五人の高校三年生の練習生が、六尺一丁で、師範の勇雄の前にならび、直立不動の姿勢で立っていた。

「よし!わかった。そうまで言うなら望みどおりにしてやる!」

「ありがとうございます!」

と、口々に答える高校三年生たち。

「よし!ケツだ!位置につけィ!!」

と、オヤジ師範の指示が飛ぶ。

「はい!お願いしますッ!」

と、回れ右をし、足を肩幅よりやや広く開き、両手を肩の所まで上げ、拳をグッと握り、ケツを後ろにグィッ!プリッ!突き出す高校三年生。さすが、キビキビとして、その動きには無駄がなく。すぐにまた、次々と、

「お願いします!」

「お願いします!」

「お願いします!」

「お願いします!」

「お願いします!」

と、師範にケツへの気合入れを堂々と依頼するのだった。

「あ!大きい兄ちゃんもいる!」

と、勇実は一番端で、潔く父親に尻を突き出す兄貴・勇一に気がつくのだった。

「大きい兄ちゃんたち、格好いいなぁ〜!なんかすごく男らしい・・・」

 キビキビとして、男らしく、凛として、惜しげもなく、師範にケツをさし出す高校三年生5人。特に、大好きな長男のケツ出しポーズは、勇実には特に格好よく映るのだった。

 自分が恐る恐るケツを出したことが、なんかとても恥ずかしく思えてくる勇実。

「でも、試合に負けて叩かれるなんて、高校生クラスは、中学クラスよりきびしいんだな・・・」

「よし行くぞ!しっかり足を踏ん張り、奥歯をしっかりと食いしばれ!」

 道場の中では、師範の厳しい命令が勇一たちに飛んだ。

「はい!」

「はい!」

「はい!」

「はい!」

「はい!」

 まずは、師範の長男・勇一のケツがターゲットだった。両手で竹刀をしっかりと握り、全体重を掛け、フルスイングで長男のケツを打ち据える勇雄。

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

 一歩足を踏み出したものの、どうにか師範の竹刀を六尺の食い込んだケツで受け止めることのできた勇一。

「ありがとうございましたぁッ!」

と、苦痛に顔を少し歪ませながらも、すかさず大声で、感謝の雄たけびを上げる!

 そして、ケツをさすることもなく、両手を脇にピシッとつけ、直立不動の姿勢に戻る勇一の姿は、勇実をしびれ上がらせるほど格好よかった。

「大きい兄ちゃん!カッコいい!」

 勇実のジャージの中のアレは、また石のようにビンビンに張り、ズキンズキンと脈を打っていた。

「よし!次!」

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

 勇一の隣の上山も、一歩右足を踏み出した。それほど、師範の竹刀は、重くてズシンとケツに響くのだった。しかし、顔を紅潮させながらも、なにもなかったように直立不動の姿勢に戻ると、

「ありがとうございましたぁッ!」

と、叫ぶ上山だった。やはり、男らしくかちょいい!!

「よし!次!」

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

「ありがとうございましたぁッ!」

「よし!次!」

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

「ありがとうございましたぁッ!」

「よし!次!」

パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン!

「ありがとうございましたぁッ!」

と、ケツを出して並ぶ5人の高校三年生の剣道で鍛えられた堅尻を、竹刀で次々打ち据えていくオヤジ師範だった。

「よし!回れ右!」

「はい!ありがとうございました!」

と言って、いっせいに向きを変えた高三練習生たち。竹刀を食らった五人のケツが、正座して待つ高校生練習生、そして、それを覗き見ていた勇実たちの前に晒される。遠めから見てもはっきりとわかる、赤い一本の横線が、ケツの谷間に見え隠れする六尺の白い線と十字をなすように、兄貴の勇一たちのケツに焼付けられていた。

 ジリジリと熱いケツの痛みが勇一たちを襲っているはずだ。しかし、ケツをさする者はひとりもいない。両手を脇にピシッとつけ、師範のケツ竹刀後の仕上げの説教に耳を傾けている。

「大きい兄ちゃんは、やっぱ、すごいや・・・あんな厳しいケツ竹刀にも、全然、平気な顔なんだもん。」

 高校生クラスのケツ竹刀の儀式が終わり、ますます「大きい兄ちゃん」が好きになり、誇らしく思えてくる勇実だった。ジャージの中のイチモツは、もうはちきれんばかりだったが、それにどう対処していいかまだ知らない勇実であった・・・。


七、長男の寝床

 甘えん坊の勇実は、しばしば、「大きい兄ちゃん」こと、長男の勇一の部屋に入り込み、勇一のベッドに入って寝るのが好きだった。

 下田家は、父親の道場はなかなか儲けがでなかったが、母親の実家でのコロッケ屋がなかなか健闘し、長男には一部屋与えられ、次男・三男には、共同の子供部屋を与えられる程度の「広い」家で生活できるほどの家計は維持できていた。

 勇実は、長男の部屋にある、自分の二段ベッドより広くて大きな兄貴のベッドが大のお気に入りだった。なんといっても、ふとんに潜り込むと、大好きな「大きい兄ちゃん」の残り香がするのが、勇実にはたまらなかったのだ。

 父親は甘えさせてくれるタイプではない。母親も、生活レベル維持のために働くコロッケ屋で超多忙。それに三男ともなればもう邪魔者あつかいだ。そして、次男の勇武は、いつも勇実をいじめてばかり。甘えさせてくれるのは、長男だけだったのだ。

 そんな事情を知ってか、自分がいない時でも、末っ子の弟が自分の部屋にはいってくるのを勇一は嫌がらなかった。勇実が入ってきても、ただベッドに潜り込むだけ。勇実が、次男の勇武のように机の中をいじり回して、勝手にものを持ち出したり、ベッドの下に隠してある上山から借りたエロ本を見つけて大騒ぎしたりしないことを、勇一も知っていたのだった。

 小学生の時は、次男の勇武にいじめられたり、けんかに負けたりすると、すぐに「大きい兄ちゃん」部屋に逃げ込み、ベッドの中で泣いているうち、寝込んでしまう勇実だった。

 その日の稽古が終わった後も、なぜか勇一の匂いが恋しくなり、長男の部屋に行って、ベッドに潜り込むうち、稽古の疲れと緊張のせいか、寝込んでしまった勇実だった。

 どのくらい居眠りをしてしまったのだろうか?

「あ、お前またここにいたのか!」

と、長男・勇一の声で目が覚める勇実。

「うん・・・・・あぁ〜〜〜〜〜」

 大きなあくびをして、背伸びする勇実。

「そろそろ晩飯だぞ!早く行かないと、勇武に全部食われちゃうぞ!」

「うん!」

 ベッドから起き上がる勇実。

「あ!あのことを聞いてみよう!」

と、急に思い出したことを勇一に聞く。

「ねえ、兄ちゃん・・・高校生になると、試合に負けるといつも竹刀でお尻、叩かれるの?」

 勇一は、ちょっと顔を赤らめて、

「見てたのか?俺たちのケツ竹刀・・・・」

「う、うん・・・ふんどしの洗濯が終わったらもう高校生の稽古始まっていて・・・」

「そうだな、もう勇実も小学生じゃないからな!道場の下働きをしないと駄目なんだな!」

「うん!」

「そうか、俺がおやじからケツ竹刀食らってるところみられたのか・・・なんか恥ずかしいぜ・・・」

と、赤い顔をして、スポーツ刈りの頭をポリポリと掻く兄貴の勇一だった。

「兄ちゃん、すごく格好いいと思った・・・俺なんか、前に転んじゃって・・・」

「え!そうか?そういってくれるとうれしいけど、ケツ竹刀食らうなんて、やっぱ、格好悪いぜ。後輩も見てるし・・・六尺一丁だからな・・・」

「そうかなぁ・・・・」

「あ、でもあれはちょっと違うんだ!試合に負けたからって殴るようなオヤジじゃないことは、お前もよく知ってるだろう?」

「うん!とうさん、いつも、勝っても負けても一生懸命やればいいって・・・」

 少し安心したような表情で答える勇実だった。

「そうだろ。あれは、俺がオヤジに頼んで、気合を入れてもらったんだ!昨日は勝てる試合だった。でも、主将であり大将である俺のくだらん判断ミスで試合を台無しにしちまったんだ・・・ちょっとした油断で相手に隙を見せちまったんだ・・・あの時、手を緩めずにかかっていけば、勝てたのに・・・畜生・・・悔しい・・・本当に悔しいよ・・・俺は・・・」

 急に悔しそうな顔をして泣きそうな様子の勇一に、びっくりする勇実。

「兄ちゃん・・・泣かなくていいよ・・・兄ちゃん一生懸命戦ったもん・・・」

 昨日の日曜日は、墨田川を挟んだ対岸・浅草にある横山剣友会・健武館道場へ、胸を借りに、道場破りの練習試合を申し込みにいった高三練習生の勇一たちだったのだ。そして、同じ高校三年生との団体戦で、2対2といいところまで迫りながら、最後の大将戦で、勇一が負け、惜しくも涙を呑んだのだった。
 
 横山剣友会といえば、下田道場よりも歴史があり実力も格上だから、2対3とはすごい善戦で、「やっぱ大きい兄ちゃんはさすがだ!」と、勇実は内心思っていたのだった。しかし、昨日の自分の大将としての負け方がよほど無様で情けなかったのか・・・勇一は本当に悔しそうに、勇実に話しかけてくるのだった。

「いや、くいの残る、完全燃焼できない対戦だったんだ。だから、オヤジに、高校生クラス全員の前で、竹刀で気合を入れてくれって頼んだんだ!本当は主将の俺だけケツ竹刀のはずだったんだけど、俺といっしょに団体戦を戦ってくれた上山たちも一緒に六尺一丁でケツ出して殴られてくれたんだ!」

「・・・・」

「涙がでるほどうれしかったぜ!大将の俺まで2対2でつないでくれたのに、俺がヘマしたばかりに・・・でも、恨み言一つも言わずに、後輩たちの見ている前で、俺と並んでケツを突き出し、ケツ竹刀を受けてくれたんだぜ!」

「うん!」

「『気にスンナよ、下田!俺たちにだって連帯責任があるんだ。俺たちも師範の竹刀を食らうよ。お前と一緒に並んでな!六尺一丁だろ!覚悟はできてるぜ!』って、みんなが言ってくれたときは、ほんとにうれしくて涙が出てきたぜ!やっぱ、中学から道場で苦労をともにした奴等は違うって思ったよ・・・」

「うん!」

 まだよくわからなかったが、相槌だけ打つ勇実だった。

「俺たち中一の時から、オヤジの竹刀で鍛えられた仲間だからな!みんなケツ竹刀の痛さも辛さも知っている連中さ!学校の部活の仲間もいいけど、道場の仲間もいいぞ!お前も、大切にしろよ、今日、一緒にフリチンで挨拶したヤツらをな!」

「う、うん!」

「さあ、下に行こう!夕飯だ!」

 そして、勇実は、長男・勇一と部屋をでて、下へと降りていくのだった。



八、兄貴のケツ

 風呂に入った後、宿題を終わらせ、やっと寝る時間の勇実だった。さっきの話は、少し難しかったけど、

「大きい兄ちゃんって、勇気あるな・・・自分から進んでお尻をたたかれるなんて!」

と、心底、長男のことを尊敬してしまう勇実だった。

 寝る前にトイレに行って小便して、自分の部屋に戻る勇実は、長男の部屋の前を通った。部屋はドアが開いていて、まだ机には明かりが点り、勇一は勉強中だった。

 勇一は、Tシャツにジャージ姿だった。勇一が机に座る後姿を眺め、急にまた甘えたくなる勇実。勇実は、長男の部屋を覗き込み、甘えた声で、おねだりする。

「ねえ、兄ちゃん!今日ここで兄ちゃんと一緒に寝ていい?」

「おお!お前そこにいたのか!」

 びっくりした様に後ろを振り返り、にっこりと笑う「大きい兄ちゃん」。

「ったく!相変わらず、おまえは、甘えん坊だな・・・もう中学生だろ!一人で寝れないのか?」

 そういいながらも、勇実を追い出そうとする気配は全くない勇一だった。

「ねえ、いいでしょう・・・」

 さらに甘えた声になる勇実だった。

「まあ、いいかぁ!今夜だけだぞ!オヤジの竹刀、ケツに食らったもの同士で、仲良く寝るか!」

「うん!」

 そいういと、いきなり大好きな「大きい兄ちゃん」の大きいベッドに潜り込む勇実だった。カワイイ弟の勇実に甘えられては仕方がないと、もう勉強を続けることもあきらめたのか、部屋のドアを閉めると、

「さあ、俺も勉強は終わり、さあ、寝るか!」

と言って、ベッドに入ってくる勇一だった。

 勇一は、Tシャツにジャージ、高校剣道部の合宿での癖なのか、ジャージの中はパンツは穿かず、フリチンだった。ジャージは、当時流行の、アシダスの三本線ライン入り黒ジャージで、勇実の羨望の的だった。もちろん、滅多に洗濯はしないため、ケツはテカテカに光っていた。

「おい、ケツを見せてみろよ・・・」

「うん!」

 勇実は、ベッドから起き上がって、ジャージとパンツを下ろし、ケツを兄貴の方へ向けて、ペロンとむき出しにしてみせた。ピンクの横一文字の線が一本、左右のケツについていた。

「おお、しっかり線ついてんじゃねーか・・・痛かったか?」

というと、勇一は、勇実のケツをポンと叩く。

「うん、すごく痛かった・・・兄ちゃんは?」

「そりゃ、痛かったさ・・・でも、気合入ったな・・・それに仲間と一緒にケツ竹刀食らえて、なんかアイツらとの連帯感も高まったって感じだったな・・・」

「ふぅ〜〜〜ん・・・兄ちゃんのお尻もみせてよ・・・」

「おお・・・」

 勇一もベッドから起き上がると、勇実の前で、後ろ向きになって屈み、ジャージをおろして、ケツをペロンと見せるのだった。

「どうだ・・・赤紫の筋になってるだろう・・・」

 兄貴の逞しい肉厚でプリッとしたケツの中央からやや下には、赤紫色の太い一本の筋がついていた。

「う、うん・・・すごい濃い・・・痛くないの?」

「まあ、押すとまだちょっと痛いけどな・・・男の勲章だぜ!それに俺たち下田道場・高三練習生の連帯の証さ!」

「うん!」

 なんか難しくて、勇実はいまいちピンとこなかったが、一応、相槌を打っておいた。ただ、兄貴の引き締まったケツについた赤紫の線が、勇実にとっては印象的だった。

「さあ、寝るぞ!」

 そういうと、Tシャツを脱いで、上半身裸、パンツなしのフリチン・ジャージでベッドに入る勇一だった。

 そして、勇実は、Tシャツ、自分では兄貴のに比べダサいと思っている、アシダスのブルーの一本線入りジャージの両方を脱いで、白ブリ一丁で、兄貴のベッドに潜り込むのだった。ベッドに入ると、いつものように、勇実は、自分のブリーフの股間をそれとなく兄貴のケツにこすりつけてみる。兄貴の堅尻を股間に感じる勇実。その日は、ベッタリと濃い赤紫の罰筋入りのケツだった。勇実はだんだん気持ちよくなってくる。兄貴も別にやめろとは言わなかったので、兄貴のケツに己の股間をこすりつけることが、癖にもなっていたのだ。

 その日は、勇実にとって、いろいろなことがあった。どっと疲れがでたのか、そのうちに兄貴の背中に抱きつくようにして、眠りに落ちる勇実だった。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何時間たったのだろうか?明け方か、外はうっすら明るかった。眠りが浅くなった勇実は、いつもの癖で、無意識のうちに、背中を向けて寝ている兄貴のケツに股間を押し付けていた・・・。そうしている間に、いつもより何十倍も気持ちがいい感覚が勇実の股間から全身へ駆け抜けていた。それは抗することのできない気持ちよさだった。

「あぁッああ・・・・・」

 パンツの中に何かをもらしてしまったような感覚に、一瞬、勇実はハっと目が覚めたが、布団はぬれていないことに安心したのか、また眠りに落ちていった・・・。

 一方、勇一は、弟のブリーフからにじみ出る生暖かさに気がついて、やはりハッと目が覚めていた。弟がいい年して寝小便をしたのかと思ったが、布団の中から匂ってくる栗の花のような匂いに、

「あ!あれか・・・そうか勇実も、もう中一だからな・・・勇実にもシコり方教えてやんないとな・・・ムニャムニャ・・・」

と、弟の股間の生暖かさに気がつきながらも、今は気がつかぬふりを弟を寝かせておくのだった。弟の股間の生暖かさをケツのあたりに感じながら、勇一は、またウトウトと眠りに落ちていった・・・。



九、その後の下田勇実

 オヤジの竹刀で鍛えられた下田勇実の中学時代の三年間はあっという間に過ぎ去った。道場での稽古は辛かったが、楽しい中学生活だった。一緒に、厳しい稽古とケツ竹刀に泣いて絶えた道場の仲間たちは、ほとんどが地元商店街の若旦那となっている。いまでも酒を酌み交わす気の置けない連中だった。兄貴の勇一の言ったとおり、道場の仲間は一生ものの友人たちだった。

 長男・次男と同じ都立高校へと進んだ勇実は、次男のしつこい勧誘で柔道部へと入ることになってしまった。本当は、長男と同じ剣道部へ入りたかったのだが、次男の仕返しが怖くて、やはり駄目だった。そういう次男・勇武も、高一の時、中学時代の先輩・番長に勧誘されて、テニス部軟派路線をあきらめ、仕方なく柔道部へ入ったのであった。

 勇実は、最初はいやいやだったが、剣道とは一味違った格闘技の面白さを柔道に見出し、高校時代は柔道にも打ち込んだ。高一の時は、ガリガリにやせていた勇実だったが、高校卒業時には、太ってはいないが、筋肉質のゴツイ体つきになっていた。もちろん、背はあまり伸びず、胴長短足の重心の低い柔道一直線野郎になっていた。オヤジの道場で時々締める六尺がまさに似合う体型になっていた。

 オヤジの剣道場へも、時間が許せば顔を見せていた。剣道の感覚を忘れたくなかったし、なによりも、六尺の締め心地と、時々、志願して、味わうオヤジの竹刀の味が、勇実を惹きつけていたのだった。特に、六尺で臍のちょっと下をあたりをキュッと引き締め、ケツに竹刀が飛んでくると、ピシッと気が引き締まるのであった。それは柔道部のシゴキで先輩から竹刀で叩かれるのとは一味違っていた。

 高校を卒業すると、下田家の伝統通り、長男・次男同様、オヤジから家を追い出されてしまった勇実。「大学へ行きたいのなら学費はだしてやるが、生活費は自分で稼げ、住むところも自分で見つけろ!」というのが、独立心を重んじる下田家の教育方針らしかった。もちろん、母親が父親に内緒で陰で助けてやってはいたのだが。

 そして、勇実が今住む、東京・千住・関屋町の四畳半一間、風呂なし、便所共用のアパートは、下田が高校卒業以来ずっと住んでいる安オンボロアパートだったのだ。

 母の援助、新聞配達、そして、末っ子ということで、どうにか許してもらえた父の道場での雑用のバイトで、浪人時代の二年間と大学4プラス留年1年間を乗り切った勇実だった。

 浪人・大学時代も、下着は六尺褌で通した勇実だった。小まめに洗えば、一本で長持ちするし、生活費節約のためもあった。そして、なにより、オヤジの元を離れ、ついだらけてしまう自分に気合を入れるためだった。大学の友人たちからは、六尺のことはバカにされ続けてきたが、「日本男児の伝統を守るためだ!」と豪語し、六尺愛用者であることを隠そうとはしなかった。
 
 就職、そして、あの鬼の巌内デスクとの出会いだった・・・さすがに、勇実もスーツのスラックスの下に六尺はどうかと思い、BVDブリーフへ切り替えたが、ここぞと言う仕事の時の決めパンツとして、そして、巌内のケツ竹刀で気合をいれてもらう時は、緊褌一番!六尺をキリッとしめて臨むことにしていた。

 もちろん、下田の六尺は、帝都スポーツで知らないものはいない。先輩や後輩にからかわれても、「六尺ビシッと締めて、気合入れていただくのが、日本男児ってもんっスよ!」と意に介さず、六尺で二つにプリッと割れた生尻を先輩や後輩たちに堂々と惜しげもなく晒すのであった。

 そして、ある日、下田の前に現れた米原忍・・・「先輩!先輩!」と慕ってくる、どこか甘えたところのある後輩に、今まで会社の後輩に抱いてきたのとは、まったく異質の感情を持ってしまった下田。兄貴しかいない下田にとっては、「え!甘えん坊の弟って、こういうもんなのかなぁ!?」と思ったりもしたのだった。

おわり

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