金サポコーチ誕生秘話

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四ー1、エッサッサ太鼓

 チィ〜〜〜〜〜ッス。オレ、東和大付属第二高校・社会科教諭の藤本翔太ッス。

 本当ならば、オレがエッサッサについて詳しく読者の皆さんに説明すべきなんスけど、なにせ東和二高に来て間もないオレっすから、二高のエッサッサについては、あんまり詳しく知らないんです・・・だから、ここは東和二高・硬式野球部主将で、3年B組クラス委員、そして、生徒会副会長の辻大輔君に説明してもらうッス。

 おい、辻君!あくびなんてしてないで、オレの代わりにしっかり頼むぞ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・わかってますよ、藤本先生。自分、人になにか説明すんの超・得意なんスから。エヘン!

 ウッス!自分、3Bの辻大輔です。藤本先生に指名されて、皆さんに二高の今年度のエッサッサについて、話することになりました。よろしくッス!

 え?藤本先生はどんな先生かって?

 そうスねーー。自分たち三年にとっては、まだまだ未知数ッスね。っつうか・・・自分たちは来年の3月に卒業なんで、はっきし言って、あんまし関係ないんスよ。後輩には、そこそこ受けいいみたいッスよ 、藤本先生。

 まあ、自分としてはですね・・・藤本先生がゴリの手下(生活指導担当の先生のこと)になって、自分たちのケツを竹刀でぶん殴ることだけが生きがいの教師にだけはならないように願うだけッスね。

 自分は今年度のエッサッサで、サブリーダーと言われる「太鼓打ち」に立候補しました。

 自分、サッカー部主将でA組の佐々木にめちゃくちゃ対抗意識強いんスよ。クラス対抗戦のことから、部は違うけど部活のことまで、いつも佐々木とは勝負ッス。

 このまえのA組「彼女のトランクス事件」には、佐々木に一本とられったッスよ・・・自分も早く、東横線で女の子ナンパして(痴漢じゃないッスよ・・・)、トランクス、プレゼントしてもらわないとアイツに負けたことになるんで、まじヤバイっす。

 もちろん、ケツ竹刀3発くらいへっちゃらッスよ。東和二高硬式野球部は、春・夏の合宿で東和大硬式野球部のOB先輩が来て、ケツバット指導があるんですよ・・・これは鬼痛・・・だから、それに比べれば、ゴリのケツ竹刀くらい朝飯前ッス(←ウソ、ウソ、この前ベソかいてたくせに!佐々木談)。

 で、自分、佐々木とは、ゴリにとっつかまって、職員室前のパンツ一丁正座の罰を食らった回数まで競ってます。まあ、これに関しては、アイツとは五分五分ってとこッスね。

 職員室前のパンツ一丁正座、めちゃくちゃ恥ずかしいッスよ。一年生のクラスって職員室のすぐ隣なんで、後輩とかにジロジロみられるし・・・でも、佐々木が正座食らってると、オレもって・・・ つい対抗意識燃やしちゃうんスよね。

 東横線の反町駅前のゲーセンで、野球部の連中と金かけてマージャンゲームやってるとこゴリに「現行犯逮捕」された時食らったパンツ一丁正座が一番長くてきつかったッスよ。ったく、ゴリの神出鬼没ぶりには油断ならないッス。でも、正座時間ではサッカー部の連中に勝ったッス。

 それから、パンツ一丁正座はめちゃくちゃ恥ずかしいッスけど、生徒会長に立候補する時のいい選挙運動になるんスよ。顔と名前(もちろん、ブリーフ・オンネームだからッス。)を後輩に覚えてもらうのに絶好の機会ッスから。

 東和二高では、ゴリのペットのようなマジメなヤツは生徒会長になれないッスよ。後輩たちからの得票数が鍵を握るんで、職員室前で、何回、パンツ一丁の正座の罰、食らったかで決まるッス!

 自分、高二・秋までの職員室前正座の回数が、学年ダントツだったのが効を奏して、去年の秋の選挙で、 生徒会副会長になれたッス。会長の佐々木には、5票差で負けたッスけど・・・畜生〜〜〜!アイツ、最近のサッカー部人気のせいで、後輩にめちゃくちゃ受けいいンすよね・・・ 大して強くもねぇのに・・・

 あ、自分、エッサッサと全然関係ねぇこと話してますよね・・・ヤバ・・・えぇ〜と、話をエッサッサに戻します。

 で、サブリーダーの「太鼓打ち」なんスけど、自分、佐々木も絶対ぇ〜立候補すると思ったんスよ。だって、「太鼓打ち」ってエッサッサ思いっ切しサボれるじゃないっスかぁ・・・

 案の定・・・A組の「太鼓打ち」立候補者は佐々木だったッス。もちろん、お互いに負けねぇ〜ぞって、目から火花ッス。

 A〜F組からそれぞれ一名ずつ「太鼓打ち」立候補者がでて、本番でやるのは、そのうち一名。ゴリが最後の最後になって決めるッス。まあ、一番気合の入った撥さばきができるヤツが選ばれるってわけッス。

 でも、エッサッサをサボれるっつうあては、見事はずれてたッス・・・トホホ。

 自分たちB組の練習はほとんどがA組と合同ッス。ゴリが、

「誰か!太鼓打ちやってみたいヤツは、前に出て来い!」

って言うから、自分、気合入れて

「ウッス!」

って返事して、列から飛び出して、ゴリのところへダッシュっす。

 もちろん、A組の佐々木も「ウッス!」と返事をして、ゴリのところへダッシュっす。

 勝ったぜ!自分の方が、わずかに早かったッス。

 ゴリの前に直立不動の姿勢で並んだ自分たち二人の顔を見て、ゴリはニヤリとしたッス。いやぁ〜〜な予感・・・

「お前ら二人が太鼓打ち候補かぁ・・・まあ、いい・・・お前らに、エッサッサ太鼓の真髄をたっぷりと教えてやるから、楽しみにしとけ!」

「ウッス!」

「ウッス!」

「それからだ・・・太鼓打ち候補だからといって、エッサッササボれると思ったら大間違えだからな!」

「ウッス!」

「ウッス!」

 そう返事はしつつも、ゴリの言葉を聞いた時、自分、マジ、ガァ〜〜〜〜ン!でした。佐々木もきっとそうだったと思うッス。でも、いまさら、引き返せないッス。こうなったら、やるっきゃないッス。

「いいかぁ、今後の練習では、お前らが交互に太鼓を打つが、一方が太鼓を打っている時は、一方は、列に戻ってエッサッサを気合入れてやる!わかったな!」

「ウッス!」

「ウッス!」

「よし!今日は初回だからな・・・まずは、お前らに、太鼓を打つタイミングと同時に、エッサッサのリズムを徹底的に叩き込んでやる!」

「ウッス!お願いします!」

「ウッス!お願いします!」

 自分たち、お互い負けじと張り合って、気合を入れて返事したッスけど・・・いやぁ〜〜な予感が的中しつつあり、内心「ヤバし!」だったッス。

「よぉ〜〜〜し!まずは佐々木からだ!辻!太鼓の腹のところに両手をついてケツを出せ!」

「え!?なんでッスかぁ?」

なんて疑問はさしはさめなかったッス。

 クラスごとに4×9列にならんでいる、クラスの連中から起こったざわめきを背中で聞きながら、俺は太鼓の腹のところに手をついて後ろにケツを突き出したッス。

「いいか、佐々木!エッサッサのリズムにあわせて、この竹刀で、辻のケツを叩くんだ!」

「ウ、ウッス・・・」

「辻のケツのここらへんを狙うんだ!わかったか?」

「ウ、ウッス!」

 自分、ゴリの言葉が信じられなかったッス。後ろでは、俺の突き出された白短パンのケツを見ながら、クラスの連中が爆笑ッス。

「いいか、辻!エッサッサの太鼓のリズムとタイミングは、身体で覚えるのが一番なんだ!ちょっとケツが痛むだろうが、我慢せい!」

「ウ、ウッス・・・」

 佐々木に対抗して、太鼓打ちなんかに立候補するんじゃなかったッス。しかし、後悔あとに立たずッス・・・始まってしまったッス・・・・

 あ〜〜〜短パンのケツの音(ね)太鼓でエッサッサっす。

 A組エッサッサ・リーダーの西川(体操部主将)が、朝礼台に立って、A・B組の約72名の野郎たちに、号令をかけるッス。

「エッサッサ!用ぉ〜〜〜〜〜〜意!」

「おぉ!!!!!!」(ここでエッサッサ始めの体勢になる。)

「エッサッサ!始め!」

「おぉ!!!!!!」

 

 

Andante

     acceierando

パンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!(←竹刀が自分の短パンのケツを叩く音ッス。)

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」 (←雄叫び)

(ケツ太鼓打法:  ペースはほどよくゆっくり、アンダンテ!

         叩く強さは、やや弱めのメゾピアノ、

         小刻みに連打しつつだんだん強く 、クレッシェンド

         そしてだんだん早いテンポで、アッチェレランド!!)

 

 

         sfz  

パァン!  パァ〜〜〜〜ン!  (←ヤバいっス、佐々木、ニヤツきつつも力はマジっす。)

「ッサァーーーー  サアッ!」

(ケツ太鼓打法:初っ端は少し強めのメゾフォルテ

        二打目は強くきわだつように、フォルテ アンド スフォルツアンド

        次からの強打を予感させるように・・・)

 

 

         sfz  

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン!  (くぅ〜〜、あいつ、腰入れてるッス。)

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

(ケツ太鼓打法:適当な間隔をおきながらの三連打。

        初っ端からかなりの強打で、フォルテ

        二打目三打目とクレッシェンド!

        三打目は腰と気合を思い切り入れて打つ!

        そう、フォルテシモ アンド スフォルツアンドだ!)

 

 

   sfz  

パァ〜〜〜〜ン!!!!! (くぅ〜きくぅ〜佐々木の野郎・・おぼえてやがれ・・・)

「エーーッサァッ!」

 

 

   sfz  

パァ〜〜〜〜ン!!!!!(あぁ〜〜〜〜〜、ケツが燃えそうに熱いッス・・・)

「エーーッサァッ!」

 

 

           sfz

パァン!    パァン!      パァ〜〜〜〜ン!(・・涙・・言葉にならない・・・)

「エーーーーッ  サーーーーッ    サァッ!」

(ケツ太鼓打法:適当な間隔をおきながらの三連打だが、

        初っ端から猛烈強打で、フォルテシモ、

        二打目三打目とクレッシェンド!

        三打目は腰と気合を思い切り入れて フルスイング!

        究極のフォルテシモシモシモ アンド スフォルツアンドだ!)

「まだまだ!太鼓が全然あっちゃいねぇぞ! いいかぁ!辻のケツの音をよぉ〜〜〜く聞くんだ!もう一丁!」

「イィ〜〜〜〜ス!!!!」

「佐々木!全然、腰が入っとらんぞ!初っ端から遠慮せず腰入れていけ!」

「ウ、ウッス!」

あ〜〜〜〜、ケツの音・太鼓でエッサッサ、二周目、突入ッスかぁ・・・・

 

パンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

パァン!  パァ〜〜〜〜ン! 

「ッサーーーー  サアッ」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン!

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!!

 「エ ーーッサァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!! 

「エーーッサァッ!」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン! 

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

 

「まだまだだなぁ・・・辻!短パンを脱げ!パンツ一丁でケツ出すんだ!」

そ、そんな殺生な・・・ッス。けど、佐々木には負けたくないッス。

「ウ、ウッス!」

と返事をして、ケツ擦りながら、短パン脱いだッス。

「バカモン!ケツ擦ってる場合か!早くケツだせ!」

「ウッス!」

 俺はケツと顔を真っ赤にさせて、再び、太鼓の腹に両手をついて、ブリーフ一丁のケツを佐々木の竹刀の先に突き出したッス。

 畜生〜〜〜、佐々木には負けないッス!

「エッサッサ!用ぉ〜〜〜〜〜〜意!」

「おぉ!!!!!!」(ここでエッサッサ始めの体勢になる。)

「エッサッサ!始め!」

「おぉ!!!!!!」

と、再び、西川の号令で、エッサッサが始まったッス。俺は、歯を喰いしばって、佐々木の竹刀を待ちうけたッス・・・

 

パンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

パァン!  パァ〜〜〜〜ン!  (うぅ〜〜〜、さっきより数倍は強いッス・・・)

「ッサーーーー  サアッ」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン!

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!!

 「エ ーーッサァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!! 

「エーーッサァッ!」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン!  (キッくぅ〜〜〜〜目から火花・・・)

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

 

「まだまだぁ!!いいかぁ、佐々木の打つ、辻のケツ太鼓の音をよぉ〜〜〜く聞いて、それにあわせる努力をせい!!!おまえらが合わせてやらないと、いつまでも終らんぞ!!!!、ネバーエンディング ・エッサッサだ!!!!」

 クラスの連中は爆笑ッス。そして、ゴリは、ニヤリとサディスティックな笑みを浮かべながら、

「よし!もう一丁!」

と宣言したッス。

「イィ〜〜〜〜〜ス!」

と、クラスの連中の無情の応答ッス。アイツらニヤニヤ笑っていたに違いないッス。

 

パンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

パァン!  パァ〜〜〜〜ン! 

「ッサーーーー  サアッ」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン!

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!!

 「エ ーーッサァッ!」

パァ〜〜〜〜ン!!!!! 

「エーーッサァッ!」

パァン!      パァン!        パァ〜〜〜〜ン! 

「エーーーーッ サーーーーッ    サァッ!」

  あ〜〜〜〜、短パンのケツの音太鼓でエッサッサ!

 そして、ブリーフのケツの音太鼓でエッサッサ!

 まさに、エッサッサの、ネバーエンディングストーリーっす。

 自分、太鼓打ちにこんな厳しい訓練が待っているなんて思ってもみなかったッス。

 ケツも腫れて重くなってきたッス。立候補を後悔しそうになる自分の心に喝を入れるように、心の中でエッサッサ!と叫びながら、クラスの連中が、自分のケツの音にあわせてくれるように 必死で念じながら、ただ、ひたすら我慢したッス・・・・

 いったいエッサッサを何周したか、自分でも覚えていないッス。ゴリが、後ろで、

「よし!交替だ!佐々木、太鼓に両手をついてケツを出せ!」

 自分はつむっていた目を開けて、上半身を起こすようにして、太鼓から離れたッス。ケツがズキリと痛み、思わず、パンツのケツを両手で押さえてしまい、それで、またズキリと痛んだッス・・・

 そのつど自分、思わず爪先立ちになって、

「イちぃ!」

って叫んじまったッス。

 自分の超カッコ悪りぃ〜〜〜リアクションに、クラスの連中からは笑いが・・・アイツら、人のケツだと思いやがって・・・自分は、そぉ〜〜〜〜と、短パンを穿き直したッス。

 佐々木は、自分と目を合わせないようにして、太鼓に両手をついてケツを出したッス。佐々木の顔には、不安の色がありありと浮かんでいたッス。

 必死でケツをさすって気にする佐々木に、

「佐々木!ケツをさするのはまだ早いぜ・・・手は太鼓の腹にきちっとつけろ!危ねぇ〜じゃねぇ〜か・・・・」

「ウ、ウッス!」

「よし、辻!佐々木のケツを叩いてやれ!エッサッサ始めだ!!!」

「エッサッサ!用ぉ〜〜〜〜〜〜意!」

「おぉ!!!!!!」(ここでエッサッサ始めの体勢になる。)

「エッサッサ!始め!」

「おぉ!!!!!!」

 もちろん、自分も佐々木のケツに、毎回、フルスイングで、お返しッス!

パンパンパンパンパンパンパン!!!!!!!

「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

パァン!  パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン! 

「ッサーーーー  サアッ」

 

「ぎゃぁ〜〜〜〜〜いでぇ〜〜〜〜〜〜!!!!」

「ぎゃぁ〜〜〜〜〜いでぇ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 佐々木は自分の フルスイングをケツに受け、自分は、その振動がケツに響き、思わず、叫び、そして両手で、必死こいて、ケツをさすってしまったッス・・・・

 俺が放り出した竹刀をゴリは拾って、

パァ〜〜〜〜〜ン!

パァ〜〜〜〜〜ン!

と、自分と佐々木の両太ももを竹刀で思い切りぶん殴ると、

「いってぇ〜〜〜〜〜!」

「いってぇ〜〜〜〜〜!」

と再び叫んでしゃがみこむ自分たちの頭上に仁王立ちになり、

「おめえら、少しは懲りたか・・・・」

と、自分たちに言ってくるッス。

「・・・・・」

「・・・・・」

 返答に困っている自分たちに、ゴリは、

「きおつけぇ〜〜〜〜〜〜〜!」

と、号令をかけたッス。

「ウ、ウッス!」

「ウ、ウッス!」

とどうにか返事をして、ゴリの前に、二人とも並ぼうとしたッス。

 けど、ケツと腿が痛くて痛くて、さすらずにはいられなかったッス。

パァ〜〜〜〜〜ン!

パァ〜〜〜〜〜ン!

「あっあぁ、いちィ・・・・」

「あっ、いっ、いてぇ・・・・・」

 今度は、ゴリの竹刀が、自分たちの腿サイドに再び飛んできたッス。思わず、姿勢が崩れそうになるッスけど、佐々木には負けたくないんで、自分、どうにか耐えたッス。

「バカモン!人の話を聞く時に、ケツやももをさするヤツがどこにおる!両手は両わきにピシッと伸ばしてツケィ!」

「ウ、ウッス!」

「ウ、ウッス!」

「立候補した時のおめえらの顔にはよぉーーー!エッサッサさぼりてぇーーーって表情がアリアリと浮かんでんたんだよ!え!わかってんのかぁ!!」

「ウ、ウッス!」

「ウ、ウッス!」

「そんなにエッサッサは甘くねぇーーんだよ!わかってんのかぁ!!」

「ウ、ウッス!」

「ウ、ウッス!」

「ホントにわかってんのかぁ!返事だけじゃねぇーだろうなぁ!おめえら!いいかぁ!おめえらの気合が入ってない時は、いつでも、今日みたいに、お前らのケツにエッサッサ太鼓になってもらうからな!それから、太鼓打ち候補は、 毎週土曜の午後に、パンツ一丁で特別居残り特訓だ!いいなぁ!」

「ウッス!」

「ウッス!」

「おめえら、それでも、太鼓打ちやりてぇーかぁ?え!どうなんだ?」

「・・・・・」

「・・・・・」

 俺は、ジリジリと燃えるように痛むケツを、思わず再びさすっちまったッス・・・

 土曜日のパンツ一丁・居残り特訓、ネバーエンディング・ケツ太鼓は、正直勘弁してほしいッス。佐々木も自分のフルスイング、ケツに受けて、身にしみてるはずッス・・・

「こらぁ!辻!ケツをさするな!」

パァ〜〜〜〜〜ン!

「あっ、いちィ・・・ウ、ウッス!」

 再び、ゴリの竹刀が、自分の腿サイドを直撃ッス・・・

 その時だったッス。佐々木がデッカイ声で、

「エッサッサ、さぼりたくて太鼓打ち立候補したんじゃありません!今年のエッサッサを一番気合の入ったエッサッサにしたくて、自分、太鼓打ちに立候補しました!!!」

 あ〜〜〜、またもや、佐々木に一歩先をこされたッス。さすが生徒会長・・・ウソの演説はうまいんスよ・・・もちろん、佐々木の進学希望先は、東和大政治学部ッス・・・

 こうなったら、自分も、引くわけにはいかないッス。

「自分もです!太鼓打ちやりたいっす!」

って、佐々木に負けないくらいデッカイ、気合の入った声で、決意表明したッス。

 ゴリは少しは満足したように、

「よし!本格的練習は、土曜からだ!徹底的にシゴいてやるから、楽しみにしとけ!!」

「ウッス!」

「ウッス!」

 ゴリの言葉通り、その日から、自分たちは、手にマメができ、それがつぶれて、またそのうえにマメができるまで、徹底的に、ゴリからエッサッサ太鼓の撥捌きを叩き込まれたッス。

 なにがつらいって、てのひらの血マメもそうッスけど、気合入ってないって、パンツ一丁でケツ太鼓させたれた後の太鼓打ちが、ケツにやたら響いてつらかったッス!

 藤本先生!体育祭での自分たちのエッサッサの勇姿、ぜってぇ〜〜見逃さないでくださいよ!

 自分からは以上ッス。ウッス!お先、失礼します!! 

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