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「色柄を持たないパンツはく山崎すぐると、彼の担任の中村大悟」

 番外編04 家政婦の息子は見た!!必殺ブリーフ仕分け人!!家政婦キミのブリーフ洗濯術!!

 (ケツ叩きシーンはありません。)

 卓が高1の夏休み。平日の昼間、卓は、母屋(おもや)で仕事をしている母親に用事があった。そして、母屋(おもや)の台所へ行くと、キミは台所にはおらず、大悟の母親が、

「キミさんなら、今、洗濯部屋で洗濯しているわよ。」

と教えてくれた。

 中村家の母屋(おもや)の風呂場の隣には、洗濯専用の部屋があった。卓は、早速、台所を離れて、その洗濯部屋の方へと向かうのだった。

 ドアが開け放たれた洗濯部屋からは洗濯機と乾燥機の音が聞こえてくる。部屋の蛍光灯もついていて、入り口のところから母親のキミがカゴに入った洗濯物を取り出している様子がみてとれた。

 そして、卓が、母親に声をかけようとしたその時だった。母親の手に握られた白いものをみて、卓は、ニヤリとする。

「あっ!大悟兄ちゃんがはいている白ブリーフだ!!」

 その前年、卓が中3の時、大悟の一番上の兄とその次の兄が相次いで結婚して独立し、別居していた。

 そのため、中村家の母屋(おもや)で、自分と同じ白ブリーフをはくのは、大悟だけだということを、卓は知っていた。大悟の父親は、世代的に、「さるまた」と呼ばれるステテコパンツに近い下着をはいていて、ブリーフは穿かなかったのだ。

 卓は、母親にすぐ声をかけることをせず、部屋の外から、しばらく、大悟兄ちゃんのそのブリーフをじっと観察するのだった。

 そして、卓は、大悟のブリーフを持った自分の母親の行動に驚かされるのだった。

 卓の母親のキミは、大悟のブリーフの腰ゴムのところを両手でつまむように持ってグイと左右に伸ばすと、手慣れた感じで、ブリーフを上下にふり、サッと、大悟のブリーフを裏に返したのだった!!それはまるで手品みたいだった。

「うわぁ!!大悟兄ちゃんのパンツに染み、結構、濃いなぁ・・・」

と思う卓。

 そして、卓の母親キミは、大悟の穿いていた白ブリーフのフロント裏の黄色い染みを、つくづく見つめながら、

「うん〜〜〜、これは普通に洗濯じゃ落ちないわね〜〜〜。」

とつぶやくと、棚から緑色のポリ容器を取り出すのだった。

 その緑色のポリ容器には、

「しつこい染みも残さず一気に落とす!!強力漂白!!ブリーフ・ブリーチャー

とプリントされたたラベルが貼ってあった。

 次に、キミは、その漂白剤付属のプラスティック製のスポイトを取り出すと、その容器の中の液体を吸い取り、大悟のはいていた白ブリーフのフロント裏にこびりついた黄色い染みの上に、その染みの輪郭を丁寧になぞるように、そのスポイトから一滴ずつ漂白剤を落として染みこませていくのだった。

 そして、それが終わると、

「はい!!完了!!大悟さんのパンツは、しばらくそのままにしておいて、別にして洗いましょうね!!」

とつぶやくのだった。

「フフフ・・・もう大悟兄ちゃんったら、『卓!!高校生になったら、もっと、オシャレにも気をつかえよ!!でないと、女の子にもてねぇーぞ!!』とか口では偉そうなこといつも言ってるけど、自分のパンツはあんなに汚れてるなんて!!」 

と思う卓だった。

 そこまではよかった。しかし、自分の母親が、次に籠から取り出した白いものを見て、卓は驚愕する!!

「あっ!!そ、それは、ボ、ボクのブリーフ!!ど、どうして、母屋(おもや)の洗濯場にあるの?」

と思う卓。もう恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なかった。

 高校生になって、卓は、学校にはいていくパンツを、トランクスに変えたのだった。しかし、トランクスは、高校でからかわれたり、いじめられたりしないための、いわば、卓にとっての「世を忍ぶための仮のパンツ」略して「仮パン」だった。

 そして、週末とか、平日でも家に帰ってくつろぐときや、就寝時は、卓は、白ブリーフにはきかえていたのだった。これは、卓が慕う大悟兄ちゃんが、いまだ白ブリーフであったことも影響していた。

 そして、母親のキミは、なかなかのちゃっかりもの、もとい、しっかりもので、「離れ」の電気代や水道代、そして、洗剤代を節約するため、一番下着が汚れる年頃の、息子の下着を、母屋(おもや)に持ち込んでは、大悟のブリーフとまとめて洗っていたのである。

 息子が、自分の後ろで、真っ赤な顔で見ていることには気がつかず、キミは、大悟の白ブリーフにしたのと同様に、卓の白ブリーフの腰ゴムを両手でつまむようにして持つと、それを左右にグイと伸ばし、上下にササッと振って、卓のブリーフも、一瞬のうちに、裏に返してしまうのだった!!

「か、かあさん・・・お願いだから・・・もうそれ以上は、や、やめて・・・」

 卓の顔は、もうゆでだこのように真っ赤だった・・・。

 しかし、息子の願いは、母親には届かず、キミは、卓のブリーフの裏フロントを、自分の顔に近づけて、マジマジとながめると、

「もうやだね〜〜、卓ったら、この茶色いゴワゴワの染みはいったいなんなの・・・う〜〜ん、これも普通に洗濯じゃダメだわ・・・。ブリーフ・ブリーチャー、たっぷりと染みこませないと・・・・」

と、そういいながら、大悟のブリーフにしたように、ブリーフ・ブリーチャーの容器からスポイトで吸い取った漂白剤を、卓のブリーフのフロントについた、かなりド派手な染みの上に、一滴一滴、なぞるよう丁寧に、落としていくのだった。

「も、もうダメ・・・かあさんがボクのパンツにあんなことしてたなんて・・・ありえない・・・恥ずかしくて、もう見てられない・・・」

 卓は、母親への用事のことなど、すっかり忘れて、「離れ」の自分の部屋に、逃げるように帰っていくのだった。

 それ以来、卓は、自分のはいた白ブリーフは、風呂に入っている時に、できる限り自分で洗濯するようにした。特に、いつものあの夢をみて、パンツにゴワゴワの染みをつくってしまった時は・・・。 

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