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「色柄を持たないパンツはく山崎すぐると、彼の担任の中村大悟」

 番外編08 教頭先生の教育相談 2013

<第一幕> 木村家の玄関ホール

 「こら!!甚平なんて着て、どこへ行くんだ!!」

 8月上旬の夕方。

 「木村真司法律事務所」の裏手にある木村宅の玄関ホールで、木村真司は、いままさに出かけようとしている一人息子の条文(えだふみ)を呼び止めるのだった。

「あっ・・・とうさん・・・い、いってきます・・・」

 父親の厳しい声を背中に聞いて、ドキリとして後ろを振り向く条文(えだふみ)。

 えだふみが所属する市立三中・吹奏楽部では、秋の運動会向けのドリル練習がすでに夏の炎天下で始まっており、えだふみは真っ黒に日焼けしていた。えだふみは、父親に似てなかなかのイケメンのメガネ君で、ややぎこちなく着込んだグレー系のユニクロ・甚平も、なかなか似合っていた。

 えだふみは、自分を睨みつけている父親のいつにない厳しい顔を一瞥する。いつもはやさしい糸目のインテリ・メガネ・パパも、その日は、メガネの奥の目をカッと見開き、真剣な顔つきで、怒ったように、自分のことを睨みつけていた。父親が、自分のことをマジで怒っている証拠だった。

「あっ・・・やばいかも・・・」

と思い、父親の真司からサッと目を逸らし、逃げるように玄関から出ようとするえだふみだった。

「こら!!待ちなさい!!戻ってきて、とうさんの前に来なさい!!」

 さらに厳しい声をあげる父親に、えだふみも、やや狼狽したのか、

「は、はい・・・友達と花火に行くんだけど・・・遅れちゃうよ・・・花火くらい、いいでしょう・・・みにいっても・・・」

と言いながら、えだふみは、甚平とおそろいのオシャレ下駄を脱いで、玄関ホールに戻ってくる。そして、両腕は胸の前で組んで、玄関ホールに仁王立ちなっている父親の前に立つのだった。しかし、ちょっとビビッてしまい、父親の真司と目をあわせることができないでいた。

「今日、とうさんのところに、エース個別指導学院の川村先生から電話があったぞ!!」

「や、やばい・・・とうさんに、完全バレてる・・・」

 父親の言葉に、そう思ったえだふみは、顔を耳まで真っ赤にして、うつむいてしまうのだった。

「夏期特訓個別指導に参加してないそうだな!!どうなんだ!!」

「は、はい・・・申し込むの忘れちゃって・・・締切になってから気がついて・・・」

「夏期特訓の授業料は、先月、おまえに渡したはずだぞ!!それはどうしたんだ!!」

「えっ、えぇと・・・お、おつりなら、あるけど・・・」

「なに!!おつりだと!!何のおつりなんだ!!」

「えっと・・・この甚平と、下駄をスーパー・ニコニコ(^^)の2階で買った時の・・・」

「なに!!おまえは、とうさんとかあさんをごまかしていたのか!!」

「そ、そんな・・・ちゃ、ちゃんとあとではなすつもりだったんだ!!部活の友達から急にさそわれて、それで、みんなで甚平きて花火をみに行くことになって・・・だから、ごまかしてなんていないよ!!」

「そういうのをごまかしているって言うんだ!!花火に着ていく甚平が欲しかったら、最初から、とうさんか、かあさんに相談すべきだろ!!」

「絶対に反対するもん!!許してくれないだろう!!買ってくれないだろ!!金返せば、とうさんは満足なんだろ!!」

「なんだその言い方は!!花火にいくことは絶対に許さん!!とうさんがいいというまで、部屋で謹慎してろ!!夕飯も抜きだ!!」

「チェッ!!」

と、舌打ちだけすると、えだふみは、真っ赤な顔のまま、頬をプッとふくらまして、家の2階にある自分の部屋へと玄関ホール脇の階段をトボトボと昇っていくのだった。

 玄関ホールに残った木村真司は、「ったく・・・」とつぶやきながら、自分の携帯をズボンの尻ポケットから取り出し、どこかへ電話をかける。

「あ・・・もしもし、木村だけど・・・これから、そっちへ行っていいか?・・・いや、ちょっとおまえに相談したいことがあってな・・・」

 えだふみは、階段の途中で立ち止まって、父親が電話で話す声を聞いていた。

「とうさん・・・今夜、出かけるんだ・・・」

 その時、えだふみは、自分の甚平パンツのポケットに入れてあったスマホの通知音が鳴ったことに気がつく。

「あっ、LINEだ・・・やっべぇー、翔太からだ・・・」

とつぶやくと、えだふみは、急いで自分の部屋に駆け込み、ドアのカギをロックすると、あわててスマホでLINEをし始めるのだった。

 えだふみはLINEを終えると、自分の部屋のドアをそっと開けて、忍び足で階段の方へ行き、下の様子をうかがうのだった。そして、ちょうど、父親の真司が出かけていくところを見て、

「よし!!とうさん、今からだと、今夜帰ってくるのきっと遅いよな・・・少し早めに家に戻ってくれば、バレないよな・・・」

とつぶやくのだった。 

 

<第二幕> 中村家・母屋(おもや)二階・大悟の書斎 

「ワハハハ!!べつに気にすることねぇーんじゃねぇか・・・オレなんか、中2くれえの時は、しょっちゅう、親にウソばっかついてたぜ!!ワハハハ!!」

 市立三中・教頭の中村大悟は、深刻そうな顔で自分の前に、自分の机を挟んですわっている、山崎卓と木村真司のことをみながら、笑って言うのだった。

「教頭先生!!笑っている場合じゃないですよ!!木村えだふみ君は、中2の頃の教頭先生とは違うんです!!我が2Aのエースなんですから!!一学期の期末試験だって、数学は学年でただ一人、満点だったんですよ!!」

と、木村えだふみの担任・山崎卓は、口を尖がらせて大悟に言うのだった。

 えだふみの父親・木村真司は、えだふみの担任であり、中学そして高校時代の同期生である山崎卓に、個別指導塾の夏期特訓費用として息子に与えた金銭を、息子が友達と花火を観に行くための甚平と下駄代として使ってしまったことに対して、父親として、どのように対処すべきなのか、部屋で謹慎させるだけで良かったのか、相談に来ていた。そして、卓は、こういう事案は、自分よりも大悟の方がより扱い慣れていると考え、真司に、教頭である大悟にも相談するように勧めたのだった。

「期末試験の数学、満点とるくらいだ。そもそも、夏期特訓個別指導なんて、受ける必要ねぇーんじゃねぇーか?」

「もう教頭先生ったら、そういう問題じゃないんです!!」

と卓。

 しかし、大悟は、卓ではなく、真司に、直接、聞くのだった。

「それで、シンジは、えだふみ君のオヤジとして、どうなんだ?部屋で謹慎だけでは足りないと思っているのか?」

「ボクとしては、いままで、中学生の男の子にあまり細かいことをうるさく言うのは、父親の役目じゃないかなと思って、えだふみのことは、ある程度、大目にみてきたんです。でも、今回はちょっと、目に余るというか、息子が反省しているようにはとうてい思えなくて・・・親から預かった金をごまかしたことに対して、いつも通り、部屋で謹慎させただけで許しては、またいつか同じことを繰り返すような気がするんです。そんなこと考えたくもありませんが、このままだと、将来、他人から預かった金もごまかすようなことになるのではないかと・・・だから、すぐるだけではなく、教頭先生にも相談に伺ったわけでして・・・」

「そうか・・・シンジがオヤジとしてそう思うのは当然だな・・・で、えだふみ君は、今、部屋にいるのか?」

「ええ、夕飯も抜きだって言って、部屋で謹慎させてます。」

「携帯は、取り上げたか?」

「い、いえ・・・そこまでは・・・」

 木村真司のその返答に、大悟は、顔にニヤリと笑みを浮かべながら、

「今頃、えだふみ君は、河川敷で友達と花火を楽しんでいるんじゃねーかな・・・」

と、つぶやくように言うのだった。

「えっ、まさか、えだふみ君に限って!!」と卓。

「えっ!まさか、えだふみが、そんなこと・・・・」と真司。

 三人の間にしばしの沈黙が流れる。大悟の部屋の窓は開けられており、そこから8月上旬にしては、涼やかな夜風が部屋の中に吹き込んでいた。そして、その夜風にのって、ド〜〜ン!!ド〜〜ン!!と、隣町の河川敷で行われている納涼花火大会の打ち上げ花火の音が、三人の耳に運ばれてくるのだった。

「よし!オレの考えを言おう。」

「は、はい・・・お願いします。」

「いいか、シンジ、これから家に戻って、えだふみ君が、お前のいいつけ通り、おとなしく部屋で謹慎していたら、今回だけはきつく叱り置くということで、謹慎だけで許してやれ。金と塾のことは、おまえら父子の問題だ。オレは、これ以上、口をはさまん。」

「は、はい・・・でも、もし、花火を観に行って部屋にいなかったら・・・」

「もし、花火を観に行って部屋にいなかったら・・・その時は、正攻法で行くしかないな!!」

「せ、正攻法?」と、卓が、驚いたように声を上げる。

「正攻法ですか?」

「ワハハハ!!正攻法じゃわからんか!!これだよ!!これ!!おまえらも懐かしいだろ!!えっ?」

 そういうと、大悟は、いらずらっぽい笑みを顔に浮かべ、右掌をバッと大きく開いて前に出すと、卓と真司の二人に見せつけるのだった。

 それを見た二人は、ちょっと面食らったような表情をしながら、やや恥ずかしげに頬を赤らめるのだった。

「きょ、教頭先生!!シンジ君、いや、えだふみ君のお父さんに体罰を勧めるのですか!!教頭先生のそのお考えは、ちょっと時代遅れだと思います!!」

と、卓は、責めるような言葉を大悟に投げかけるのだった。

 大悟は、卓のその言葉には応答せず、再び、真司に、

「シンジ、お前は体罰反対派か?」

と聞くのだった。

「ボ、ボクは、今まで、オヤジにだって一度も叩かれたことありませんし・・・だから、息子のことを叩こうなんて考えたことありません・・・息子とは、じっくり話し合いをするのが一番だと思っています・・・そ、それに息子はもう中学生ですから・・・」

「おまえだって、オレからケツを叩かれただろうが!!中1の時と、高3の時と。お前は、オレからケツを叩かれてどう思った?」

「えっ・・・そ、そりゃ、恥ずかしかったですし、悔しかったです。とくに高3の時は、先生から尻を叩かれた日は、苦々しい思いでいっぱいでした・・・でも、あとから冷静になって考えてみると、自分にも悪いところがあったし、尻を叩かれても仕方なかったかなと・・・で、もう二度と尻を叩かれないようにしようと思いました・・・」

「えだふみ君は、おまえの息子だ。おまえからケツを真剣に叩かれたら、そう思うようになるんじゃないかな?」

「ま、まあ・・・そうかもしれませんが・・・」

「言葉での話し合いも大切だがな、他に方法が思い浮かばないんだったら、ここは一つ、 お前の右手で、息子の生ケツと、真剣にたっぷりと話し合ってみろ!!男同士だ、言葉では伝わらんことが、伝わることだってある!!」

「は、はい・・・で、でも・・・」

「自信がないようだな。オヤジがビビってると、息子に足元をみられるぞ!!」

「は、はい・・・」

「よし!!おまえが、毅然とした態度で、息子のケツを叩けるように、オヤジが右手で息子のケツと対話する時の手順と注意点をメモ書きにしてやる!!それを家に戻るまでにしっかり頭にたたき込んどけ!!しかし、実際にそれを行動に移すかは、お前の意思に任せる!!」

 そう言うと、大悟は、机の上にいつもおいてある計算用紙から一枚をとり、そこに手書きで、中学生の息子のケツを叩くときの手順と注意点を箇条書きにしていくのだった。すなわち、中学生の息子のケツを叩いて懲戒する時の息子の「とりせつ」を書いて、それを木村真司に渡すのだった。

 木村真司は、大悟から受け取ったメモ書きを、一行一行丁寧に熟読する。そして、言葉ではなにも言わなかったが、なにかを決意したように大きくうなずくと、

「教頭先生、遅くまで、ありがとうございました。息子のことでお騒がせしてしまい、申し訳ありません。今夜はこれで失礼します。」

と挨拶をすると、大悟に一礼して、席を立つのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・

「ご、ごめん・・・教頭先生の話、あんまり役に立たなかったかも・・・」

「そんなことないよ・・・オレ、えだふみのケツを叩いてみようと思うんだ・・・」

「そ、そうか・・・父親のシンジ君がそう決めたんだったら、ボクはもう反対できないね・・・」

「なあ、すぐる・・・オレと一緒についてきてくれないか?」

「えっ、ボクが・・・」

「アイツの担任のおまえがそばにいてくれたら、オレも、心強いんだけどな・・・」

 しかし、それに対して、教師である卓は、キッパリとした口調で、

「いや、それはまずいよ。シンジ君が心強いって思ってくれるのはありがたいけど、えだふみ君がボクがいるのを見たら、かえって反抗的な態度をとるんじゃないかな。」

と断るのだった。

 真司は、ハッとしたような顔で卓の方を見ると、

「それもそうだな・・・じゃあ、家の近くまで一緒につきあってくれないか・・・」

と言うのだった。

「そうだね・・・それだったら、家の近くまで。えだふみ君にみつからないようにしないと・・・」

 そう言いながら、卓と真司は、真司の自宅へと夜道を歩いていくのだった。真司は無言だったが、真司の不安で揺れ動く気持ちが、卓の方に、痛いほどに伝わってくるのだった。

 10分ほど歩いて、真司の家の近くまで来た時。

「じゃあ、この辺で・・・」

「ああ、今夜は、悪かったな・・・」

と、卓と真司はお互いに短い挨拶をかわす。そして、二人は、何気なしに、真司の家の方をみるのだった。 

「えっ!!」

「ま、まさか・・・アイツ・・・今夜は絶対に許さねぇ!!卓・・・今夜、オレ、鬼になるから・・・アイツに嫌われたっていいから・・・」

 木村真司は、そう言い残すと、卓の方を振り向くこともなく、自分の家の玄関の方へ走っていくのだった。

 木村家の玄関のところでは、ちょうど帰ってきた、一人息子のえだふみが、物置からはしごを取り出してきて、その先端が二階の自分の部屋の窓のところにくるように、家の壁にたてかけようとするところだったのだ。

 卓も真司も、暗い中でも、家の灯りに照らされたえだふみのその姿を、遠目に、みることができたのだった。

「コラ!!えだふみ!!いままで、どこ行ってたんだ!!」

と、まさに梯子を昇り始めようとする息子をどなりつけながら、家に近づく真司。

 真司は、大悟から受け取った「お仕置きマニュアル FOR 普段は優等生の中学息子」を思い出していた。

 

ステップ0 冷静になれ。感情にまかせて手を上げたら負けである。 

 

 そして、こみあげてくる怒りを必死でおさえながら、しかし、息子のことをキッとにらみつけながら、息子の方へ近づいていくのだった。

 父親から、まさに「現行犯逮捕」される寸前のえだふみは、梯子に右手をかけたまま、唖然として、父親が近づいてくるのを、ただただ見ているしかなかった。

 真司の後ろ姿をみながら、卓は、

「シンジ君・・・やっぱり父親なんだよな・・・たくましいなぁ・・・こういう時って、教師って、非力なんだよな・・・」

とつぶやくのだった。

 やがて真司は、玄関のところいる息子にとびかかるようにして近づくのだった。そして、再び、「お仕置きマニュアル FOR 普段は優等生の中学息子」を思い出す。

 

ステップ1 問答無用!!息子の腕をつかんだならば、自分の部屋まで、一気に連行。家の外からの場合、くつなど脱がせる必要はない。抵抗したら引きずってでも一気に連れくる。迷うな!!迷えば息子になめられる!!

 

「さあ来い!!」

「な、なにするんだよ!!そんなにギュッとつかんだら腕が痛いよ!!」

 真司は、息子のえだふみを、ひきずるようにして、家の中に入っていく。

 卓は、ちょっと心配になって、真司の家の玄関の方へと向かうのだった。

「シンジ君・・・えだふみ君のこと、あんまり厳しくしないでね・・・本当はいい子なんだから・・・」

と、卓は、ついつい思ってしまうのだった。

 卓は、ついつい木村家の玄関を覗いてしまう・・・すでに真司とえだふみの姿は見えなかった。

 

ステップ2 息子につきまとう母親は完全排除!!男同士の話し合いに女はいらない!!

 

 ただ、家の奥からは、

「や、やめろよ!!い、痛いよ!!」

「あ、あなた・・・そんなに厳しくしなくても・・・今回だけは許してあげれば・・・」

「ダメだ!!お前は黙っているんだ!!えだふみ、さあ、来い!!」

「や、やめてよ・・・ほんとうに、痛いよ・・・」

と、木村家の人々の声が聞こえてくるのだった。

 卓は、心配そうな顔をしながら、玄関の前に立つと、木村家の人々に代わって、玄関の扉を外からそっと閉めるのだった。そして、ちょっとさびしそうに、

「ボクができるのは、ここまで・・・シンジ君も、えだふみ君もがんばってね・・・」

とつぶやくように言うのだった。

 木村家の玄関は、先進的なオートロック!!その扉の外側には、弁護士の自宅らしく、「セコム ホームセキュリティ」のシールも誇らしげに張ってある。もう卓は、家の中に入ることはできなかった。 

  

<第三幕> 木村家・木村真司の書斎

 

 真司は、息子のえだふみを、自分の書斎に放り込むように入れると、書斎のドアをバタンと閉めて、カギをかけてしまうのだった。真司の妻も、その音を聞いて、あきらめたのか、もうドアを叩くことはなかった。

ステップ3 息子と二人きりになったら、即座に、息子を膝の上にのせ、生ケツを丸出しにする。ここでも迷いは無用。一気に膝までズボンをずり下ろす!!生ケツ丸出しにするまで問答も無用。 

「さあ、えだふみ!!こっちへ来い!!」

「い、痛いよ・・・とうさん・・・なにすんだよ!!痛いって言ってるだろ!!やめてよ!!」

 真司は、息子の腕をギュッとつかんだまま、書斎の椅子にすわると、息子を強引に膝上に乗せ、左手で、息子の腰をギュッとロックして、右手で、息子の甚平パンツの腰ゴムをムンズとつかむと、それを膝のところまでずり下ろし、続けて、息子のグレーのボクサーブリーフの腰ゴムもムンズとつかみ、それも一気にズズッと膝のところまで下ろして、息子の生ケツを丸出しにするのだった。

「や、やめてよ・・・生なんて、恥ずかしいよ・・・パンツはかせてよ・・・」

 

ステップ4 息子の懇願はすべて却下!!即座に、右手で、息子の生ケツとじっくりと対話すべし!!厳しく、かつ、連続して切れ目なく、、息子に反省の色がみられるまで、徹底的に、息子のケツと対話すべし!!

 

「ダメだ!!」

 そうとだけ言うと、真司は、天井をつくように右手を高く挙げると、短パンの日焼け痕がクッキリと白く残った息子のケツめがけて、その右手を振り下ろすのだった。

バッチィ〜〜〜ン!!

 一発目は、息子にとっても、オヤジにとっても、心にのこる一発だった・・・。

「いっ、痛い!!」

と、真司の膝上で声をあげるえだふみ。

 えだふみの太股と股間の温かさを、自分の太股に感じながら、真司は、

「ったく・・・オレの手のひらだって、痛いんだぞ・・・」

と思うのだった・・・。

 真司は、無言のまま、連続して、渾身の力をこめて

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

と、何度も何度も、息子の生ケツと「対話」してやるのだった。

 中2にして、父親の膝上でのケツ叩きデビューとなった、いままで優等生だったえだふみ。父親から叩かれるケツの痛みはもちろんだが、父親が無言のままであることが、つらくて仕方なかった。

「痛いよ・・・もうやめてよ・・・」

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

「い、痛い・・・もう、ボク、中学生だよ・・・恥ずかしいよ・・・」

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

「い、痛い・・・もう反省したから・・・もうこれ以上、叩かないで・・・」

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

 何を言っても、父親は、なにも答えてくれない。ただ、自分のケツをひたすら平手打ちするのみ・・・。 

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

 そして、ケツもだんだん麻痺して痛みを感じなくなるのか、ただただ、父親の平手の圧力と、その手のひらの熱気だけを、えだふみは己の生ケツに感じるようになるのだった。

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

 そして、50発を超える頃には、真司もえだふみも、もう汗だく。

 そして、えだふみは、父親の力強い平手打ちをケツに受けて、なにか心に響くものがあったのか、汗と同時に、涙をボトボトと床に落とすようになるのだった。

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

バッチィ〜〜〜ン!!

 膝上でジッと生ケツを出し続けている息子のケツは、もう真っ赤になっていた。そして、息子が、自分の膝上で、シクシク泣き始めていることに気がついた真司は、「そろそろだな・・・。」と思い、息子の生ケツを叩くことをやめるのだった。ケツ叩きの回数は、すでに100発近くにのぼっていた。

 

ステップ5 息子のケツとタップリ対話した後は、息子を部屋の隅に行かせ、壁を向いて立たせて反省させる。会話は最小限に。反省中も、ケツは生のまま丸出しにさせる。反省中は、オヤジの方からは声をかけない。息子の反応を辛抱強く待ち、反省終了の時を見極める。 

 

「さあ、立つんだ!!」

 真司は、えだふみを膝上から立たせると、即座に、書斎の隅を指さし、

「とうさんがいいと言うまで、あそこの隅で、しばらく、壁に向かって立ってろ!!じっくり反省するんだ!!」

と、厳しく命令するのだった。

 涙目のえだふみは、ケツをさすりながら、コクリと一度だけうなずくと、真司が指定した部屋の隅へと行き、壁に向かって立つのだった。

 えだふみは、蚊の鳴くようなたよりない声で、

「とうさん・・・パンツ上げていい・・・恥ずかしいよ・・・」

と聞いてくる。

 しかし、真司は、

「ダメだ!!」

と一言。心を鬼にして、息子を、生ケツ丸出しのまま、書斎の隅に立たせておくのだった。

 すでに時間は、午後9時過ぎだったが、真司は、自分の手形がベッタリとつき真っ赤になった息子のプリッとしたかわいいケツを、時々、チラッとみながら、夕方、やり残した書類の整理を始めるのだった。

 そして、1時間半近く、後ろで父親は、なにか仕事をしているようで、一切、話しかけてきてくれない・・・。

 えだふみ自身も、塾のためのお金で甚平と下駄を買ってしまった自分が悪かったことは、もう十分にわかっていた。それだけに、父親の真司が、本当に、自分のことが嫌いになったのではと、不安で仕方なかったのだ。

 すなわち、部屋の隅に生ケツ丸出しで立たされる反省の時間が、30分、1時間、1時間半と、過ぎていくにつれて、中学生にもなって、父親の膝上で生ケツを叩かれ、さらに、生ケツのまま立たされている、恥ずかしや悔しさは徐々に落ち着いてくるのだった。しかし一方、それに反比例するかのように、父親が、自分に何も話しかけてきてくれない不安感とつらさとが、心の中で増してくるのであった。

 すでに、時間は午後11時をまわっていた。ついに、反省時間も2時間近くに達してようしていた頃。えだふみの胸に、再び、つらさと情けなさがこみあげてきて、涙をうっすら頬につたわせながら、鼻をすすり始めるのだった。

 えだふみは、真っ赤な生ケツを丸出しで、壁の方を向いたままで、

「と、とうさん、グスン・・・ボ、ボクのこと・・・グスン・・・本当に嫌いになっちゃったの・・・グスン」

と、泣きべそをかきながら、真司に話しかけてくるのだった。

 自分の書斎の隅にケツ丸出しで立っている息子の様子は、時々、チェックしていたつもりだったが、いつの間にか書類整理に集中していた真司は、えだふみのその声に、思わずドキリとして、顔を上げるのだった。

 えだふみが、肩をわずかに震わせて、泣き始めていることが、真司にもわかった。

 真司は、

「相当、懲りたらしいな・・・よし!許してやるか・・・反省時間終了だな・・・。」

と思いながら、椅子に座ったまま、

「えだふみ!!パンツと甚平を上げていいぞ!!上げたら、こっちへ来い!!」

と、引き続き厳しい声のまま、反省のコーナータイムを終わらせてやるのだった。

「はい・・・グスン・・・」

と小さな声で返事をすると、えだふみは、素早く、パンツと甚平を上げると、素直に、父親の真司のところにくるのだった。

 真司は、息子の顔をジッとみつめる。そして、

「なんだ、泣いてんのか。」

と、えだふみに言うのだった。

 えだふみは、恥ずかしそうにコクリとうなずくと、頬についた涙のあとを腕で拭くのだった。

 そして、真司は、続けて、

「泣くくらいだったら、もう2度と塾の授業料を無断で使ったりするな!!欲しいものがあるんだったら、まずは、とうさんか、かあさんに相談するんだ!!いいな!!」

と息子に言い聞かせるのだった。

 えだふみは、素直に、

「はい・・・ごめんなさい・・・」

と言って、ペコリと頭を下げるのだった。

  

ステップ6 息子が十分に反省したならば、仲直りは、風呂の中で!!男同士、裸の付き合いが一番!!息子の息子をズルッと剥きあげてやれば、仲直り効果抜群!!

 

 顔を上げた息子・えだふみが見たものは、父親・真司の笑顔だった。

「さあ、久しぶりに一緒に風呂でも入るか!!」

 父親のその誘いに、えだふみは、まるで小学生に戻ったかのように、

「うん!!一緒にお風呂入ろう!!」

と、うれしそうに返事をするのだった。

・・・・・・・・・・・・・

 そして、風呂の中。さすがに中2の息子と二人で入るのに、庶民の家の内風呂では、狭すぎるようだった。息子が体を洗っている最中、真司は、湯船につかりながら、息子のアソコをチラッ、チラッと横目で観察しながら、

「息子の息子をズルッと剥きあげて・・・とか、マジかよ・・・中村先生も、相変わらず、下ネタが好きだよな・・・こういうのは、無理にはダメだよな・・・まあ、自然にまかせるとするか!!」

と思いながら、一人ニヤニヤとするのだった。

・・・・・・・・・・・・・・

 

ステップ7 落ち着いたところでスマートフォン、ケータイ類の一時使用禁止を宣告。使用開始の条件は、ケツ叩きの反省効果・非行抑止効果の持続可能性を最大限に引き出すように、慎重に設定する。

 

 もちろん、翌日、えだふみは、真司から、スマートフォンを取り上げられてしまう。そして、真司が、えだふみに提示した、スマホ再使用許可のための条件とは・・・

「おまえが、明日からの10日間、中村先生の家で行われる、夏期数学特訓個別指導に、まじめに通ったら、スマホを返してやる!!」

「中村先生って誰?」

「ワハハハ!!何言ってんだ!!おまえの学校の教頭先生じゃないか!!」

「えっ!教頭先生の家で、勉強すんの?」

「どうだ?嫌なのか?」

 えだふみは、いつも学校の朝礼とかで、目にする教頭先生のことを思い出していた。

「あの真っ黒に日焼けして、いつもやさしそうにニコニコしているオジサンか・・・塾の 川村先生より楽勝かも・・・」

と思いながら、

「部活が終わってからでいいの?」

と、えだふみは父親に聞いてくるのだった。

「もちろんだ!!おまえの都合のいい時間でいいって、中村先生も言っていたぞ!!」

「じゃあ、ボク、中村先生のところで勉強するよ!!だから、きちんと通ったら、ボクのスマホ、返してよ!!約束だよ!!」

「ああ、もちろんだ!!」

 

<第四幕> 中村家・母屋二階・大悟の書斎

 

「やっべぇ・・・遅刻しちゃった!!」

 市立三中・2年A組の木村条文が、中村家の邸宅の2階、大悟の部屋の前に緊張の面持ちで立って、大悟の部屋のドアをノックする。

 部屋の中からは、

「よし!!入っていいぞ!!」 

と、怖そうなおじさんの声が聞こえてくる。

「やべぇ・・・教頭先生って、あんなに怖い声してたっけ?」

 恐る恐る部屋の中に入るえだふみ。午後3時10分だった。

「おまえが、えだふみか!」

「は、はい・・・」

「先生と約束した時間は、何時だった?」

「さ、3時です・・・遅刻しました・・・ごめんなさい・・・」

「よし!!オレとの勉強の時間に遅刻したらどうなるか、早速、これから教えてやる!!かばんを置いて、オレの机の前に立ちなさい!!」

「す、すげー、やばいかも・・・」

「さあ、グズグズしてないで、こっちへ来なさい!!」

「は、はい・・・」

 えだふみは、大悟の有無を言わせぬ雰囲気に、完全にのみこまれてしまい、大悟の言われるがままに、大悟の机の前に立つのだった。

「よし!!ズボンを膝まで下ろして、そこに両手をつきなさい!!」

「えっ・・・や、やばい・・・なんで、パンイチになるの・・・」

 そう思いながらも、えだふみは、まるで大悟の命令にあやつられるかのように、ベルトのバックルをカチャカチャと緩めて、グレーの制服・夏ズボンを膝のところまで下ろすのだった。

 そして、両手を大悟の机の上につくのだった。えだふみのパンイチのケツに、大悟の部屋のひんやりとした冷房の冷気があたり、えだふみは、思わず、ゾクっとするのだった。

 そんなえだふみに、大悟は、

「さあ、遅刻をした罰だ!!ケツを後ろに突き出せ!!」

と厳しい命令を出す。

「えっ・・・またケツ叩き・・・おととい、とうさんから、思いっきり叩かれたばかりなのに・・・」

 そんなことを考えているえだふみの背後から、教頭先生の声が聞こえてくるのだった。

「いいか、オレとの勉強の時間に遅刻した時は、一分につき一発、宿題をやってこなかった時は、一題につき五発、復習テストでつまらない計算ミスをしたときは、ミス一か所につき二発、お前のパンツ一丁のケツを叩くからな!!覚悟しとけ!!」

「は、はい・・・」

 えだふみは、教頭先生の想定外の厳しさに、生唾をゴクリとのみこむのだった・・・。

「よし!!簡単な算数からだ!!おまえは、今日、オレとの約束の時間に、十分遅刻した!!さあ、これから何発ケツを叩かれるのでしょうか!?」

「じゅ、十発です・・・」

「よぉ〜〜し!!行くぞ!!」

 そう言うと、大悟は、昔、卓や真司のケツを叩いた時のように、えだふみの後ろに突き出されたケツに、右手のひらの照準をあわせるのだった。

「おお、グレーのボクサーブリーフか・・・オヤジのケツそっくりで、なかなか引き締まってプリッとした、いいケツをしてるな!!これは、気合の入れがいがあるぞ!!」

 そんなことを思いながら、大悟は、斜め横に挙げて構えた右腕に全体重を集中させるかのようにして、グイッと腰を入れて、右腕を振り下ろし、えだふみのパンイチのケツに、

バッチィ〜〜〜ン!!

と、右手のひらを着地させるのだった!!

 えだふみは、

「いってぇ〜〜〜〜〜〜!!」

と悲鳴にも似た大声をあげると、机についていた両手を尻の方へとまわし、さきほど大悟の右手が着地したホッカホッカのケツを、両手のひらでおさえながら、その場でピョンピョンと飛び跳ねるのだった。

「やべぇ・・・とうさんのお仕置きは、まだ終わってなかったんだ・・・それに、教頭先生のケツ叩きは、とうさんのケツ叩きより、百倍くらい痛いよ・・・これだったら、塾の川村先生の方がよかったのに・・・あ〜〜、まじめに塾の夏期特訓を受ければよかったよ〜〜」

と、後悔しきりだった。

 しかし、後悔、先に立たず!!えだふみのケツに一刻の休憩も与えられなかった。すぐさま後ろからは、

「二発目いくぞ!!いつまでもケツさすってねぇーで、トットと机に両手をついて、ケツを出せ!!」

と、教頭先生の厳しい命令が、えだふみに発せられるのであった。

・・・・・・・・・・・・・・

 その頃、木村家の書斎では、木村真司が、時計をみながらニヤニヤしていた。

「えだふみのヤツ、いまごろ、中村先生からビシッとやられてんだろうな・・・先生のもみじスタンプ・・・バッチィ〜〜ンって痛てぇーもんな・・・まあ、親をごまかした罰だ・・・甘えん坊のアイツには、いい薬になるだろう・・・フフフ。」

 奇しくも、父子二代で、大悟からケツにバッチィ〜〜ンともみじスタンプをいただいてしまった木村真司、えだふみ親子。真司は、その晩、勉強から帰ってきた息子のえだふみを、風呂に誘うのが楽しみで待ちきれなかったのである。 

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