S大南寮・目蒲編に新たなる世界を追加してくださった日光さんへこの一篇を贈ります。ありがとうございました。

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ギョウチュウ検査とケツピン棒・お返し 〜中三男子編〜 by 太朗 

 

一、津島先生のたじろぎ

 明和中学校3年A組、朝のST。

「では、ギョウチュウ検査を集めます。出席番号順に持ってきてください!!」

 3A保健委員の小林君が、出席番号順にギョウチュウ検査1日目の検体を集め始める。

 にわかにざわつく教室。教室のあちこちから、

「うわぁ!!ばっちぃ〜〜〜!!」

といった声と笑い声が聞こえてくる。

「コラァ!!騒いでねぇで、早く小林に提出しろ!!先生は、これから会議室で用事があるんだ!!」

 3A担任で体育担当の津島先生(26歳)が生徒たちを一喝する。いつもはこれで静かになる教室だったが、その日は違っていた。

 担任・津島先生のその言葉に、さらにざわつく教室。そして、3Aでは一番やんちゃな野球部員の岡本君が、

「先生!!会議室でなんの用事ですか?」

と、わざとらしく津島先生に質問してくる。岡本君のその質問に、さらに教室はざわつくのだった。

「コラァッ、岡本!!それはお前が一番よく知っているだろう!!くだらんこと聞くんじゃねぇ!!」

と岡本君を一喝する津島先生。津島先生は、ニヤリと笑うと、さらに、

「岡本、おまえも、中一の時は、会議室行きだったよなぁ・・・会議室で、ベソかきながら、四つんばいになって、オレの方にケツを向けてたよなぁ・・・岡本君よぉ!!」

と続けるのだった。

 岡本君の悪友たちからは、

「やっぱ、会議室で四つんばいになってケツ出したんだ!!岡本、ダッセーーーー!!」

と声がかかり、教室全体からドッと笑い声が起こるのだった。

 ギョウチュウ検査・検体忘れで、会議室行きを食らった生徒は、そのあまりの恥ずかしさから、仮に親友同士であっても会議室でのことについて多くを語ろうとはしなかったのだ。

 津島先生の暴露話に、岡本君は、真っ赤な顔になって口をとんがらせ、

「きったねぇなぁ・・・そんなこと、みんなの前で言わなくたっていいじゃないッスか!!」

と、津島先生に食ってかかるのだった。

 津島先生は、そんな岡本君の態度に苦笑いしながら、

「まさか、おまえらの中で、検体を忘れたヤツはいねぇーだろうな!?」

と、クラス全体に今までよりもちょっと厳しい声をかけるのだった。

 それにいち早く応えたのもやはり岡本君だった。

「忘れるヤツなんているわけないじゃん!!みんな、今朝、学校の便所で自分でギョーチュー検査したんだろ!!」

 それを聞いた教室全体から、再び、ドッと笑い声が起こる。

 津島先生は、笑いたくなるのを必死で堪えながら、厳しい声を装って、

「岡本!!昼休みに体育教官室へ来い!!ケツピン棒だ!!」

と、岡本君に命令するのだった。

「えーーーっ!!なんでですか?」

と、再び真っ赤な顔で口をとんがらす岡本君。

「ギョウチュウ検査は、提出日の朝、起床時に、各自の家で、ご両親にお願いしてやってもらうのが規則だからだ!!」

「だったら、長澤君もケツピン棒ですよ!!」

「えっ!!なんでオレもケツピン棒なんだよ!!」

と、テニス部の長澤君があわてたように声をあげる。

「ピンポ〜〜〜ン!!ナースコールで〜〜す!!」

 教室全体が再びどよめく。

「出たぁ〜〜〜!!長澤総合病院!!エロい!!」

 長澤君の父親は、病院を経営している。そして、長澤君は、ギョウチュウ検査を、父親の病院に勤めている美人看護婦さんにやってもらっていると、クラスメートから噂され、事あるごとにからかわれていたのだった。

「コラァッ!!長澤は関係ない!!岡本、昼休み、絶対にオレのところに来いよ!!」

と、津島先生は、岡本君に念を押すのだった。

「チェッ!!またケツピンかよ・・・3年になってからこれで3回目だよ・・・」

と岡本君。

「おまえ、ケツピンやられすぎ・・・まだ4月だぞ・・・」

と言って、後ろに座っていたサッカー部の秋吉君が、ニヤニヤ笑いながら、岡本君の丸刈り頭を平手で軽くはたくのだった。

 その様子をやはりニヤニヤ顔で見ている津島先生。

 津島先生自身も明和学園のOBであり、中学生の頃は、「中学生にもなってギョーチュー検査かよ・・・」と思っていた。

 もちろん 、津島先生自身も、ギョウチュウ検査を親にも兄弟にも頼めず、学校の便所でセルフ・ギョウチュウ検査をしていたのだった。津島先生も中学生時代は岡本君と同類のやんちゃ坊主だったのだ。

 そして、これは生徒たちには絶対に秘密だったが、中三の時の第一回・検体提出日。便所から検体を持って出てきたところを町田先生にみつかり、会議室で何人かの中一の後輩とともに、検査やり直しとケツピン棒を食らった恥ずかしい想い出があった・・・。

 そんな中学時代の恥ずかしい想い出が、ふぅっと頭をよぎり、図らずも顔を赤らめる津島先生。

 岡本君はいまだ不満そうな表情で、「なんでオレだけケツピンなんだよ・・・」とブツクサつぶやきながら口をとんがせたままだったが、3Aの生徒たちのざわめきもやがておさまり、津島先生が教室を出て行こうしたその時だった。

 教室の丁度真ん中あたりに座っていた生徒が、急に立ち上がり、

「わ、忘れました!!す、すいません!!」

と、よくとおる大きな声で検体忘れの申告をしたのだった。

「えっ!!」

 完全に静まり返る教室。クラス全体が「ウソだろ?」と呆気にとられ、立ち上がったそのクラスメートのことを凝視していた。

 教室の中央にいままさに突っ立ている、最後になって検体忘れを申告したその生徒は、学級委員の水野良太君だった。

 水野君は、成績は学年トップクラス。スポーツも得意で、岡本君とおなじ硬式野球部に所属し、野球部の中学生キャプテンだった。やや生真面目すぎるところはあったが、性格は温厚で、目蒲君たち中一野球部員にも仏の先輩として慕われていた。

「バァ〜〜カ・・・・アイツ、なにやってんだ・・・」

と思いながらも、驚いたようにポカンと口をあけて、事の成り行きを見守る部活仲間の岡本君。 

 しかし、そんな岡本君以上に驚いたのは、他ならぬ、担任の津島先生だった・・・。

「こ、ここで、おまえが忘れるのは・・・・いくらなんでもなしだろう・・・」

と思い、津島先生は、しばらく言葉がでなかった。

 津島先生にとって、学級委員の水野君は、クラスでは一番叱りにくいタイプの生徒だった。いや、叱るようなことをやらかすとは、絶対に想定できないタイプの生徒だったのだ。

 この想定外の事態に、さすがの津島先生も、一瞬、どうしていいのか動揺するのだった。

「オ、オレは、コイツをどう処すればいいんだ・・・岡本を叱るようにすればいいのか・・・まさか、コイツ、叱られると自殺するようなタイプの野郎じゃないよな・・・」

と、考えをめぐらしてしまう津島先生だった。

「い、いかん・・・オレはこいつらの担任であり、リーダーだ・・・これ以上黙っていると、こいつらにオレが迷っていることを見透かされちまう・・・」

 そんな時、津島先生の頭に、厳しかった恩師、そして、今は職場の大先輩である町田先生の言葉がよぎるのだった。

「津島君・・・生徒にはいつも公平に接しないとダメですよ・・・叱る時は特にね・・・コレ、基本中の基本なんだけどね・・・教師も人間だから、ついつい忘れちゃうんですよ・・・」

 津島先生は決心した。真っ赤な顔で教室のど真ん中に突っ立ている学級委員の水野君を睨みつけると、やんちゃ坊主の岡本君を叱る時のように、

「バカ野郎!!学級委員のお前が忘れてどうすんだ!!しめしがつかんだろう!!」

「は、はい・・・す、すいません・・・」

「すいませんじゃねぇ!!水野!!検体忘れた時の、オレとの約束忘れてねーだろうなー!!」

「は、はい・・・」

「よし!!じゃ、みんなの前でデッカイ声で言ってみろ!!検体忘れてたらどうするって約束したんだ!?」

「は、はい・・・パ、パンツ・・・」

「聞こえねぇ!!もっとでっかい声だ!!」

「は、はい!!!パ、パンツ一丁で、会議室まで罰ランです!!」

 教室からドッと笑い声が起きる。そして、主にサッカー部やバレーボール部のやんちゃ坊主たちが、

「罰ラン!!罰ラン!!」

「パンツ一丁!!パンツ一丁!!」

と、嘲りの笑い声とともに、囃し立てるのだった。

 そんな中、岡本君だけは、まるで自分自身が恥をかかされているかのように、悔しそうに真っ赤な顔で下を向いたままだった。

「水野のバァーカ・・・なんでオレに相談してくれねぇんだよ・・・チームメートなのに水臭せーよ・・・オレに一言相談してくれればさぁ・・・貸してやったのに・・・へへへ・・・オレ、一組余計に検査セロハン持ってるんだよな・・・長澤からもらったヤツ・・・」

 もちろん、岡本君の独り言の「長澤からもらった」というのはあまり正確ではない。「長澤から脅し取った」と言ってもいいようなものだった。「長澤・・・おまえんち、病院だからさ 、あのセロハン、一枚ぐらい余計にあるだろう、ちょっと持って来いよ・・・持ってこねぇーと、こんど部活で捻挫した時、お前んちの病院いかねーからな!!」と言って、長澤君に無理 やり持ってこさせてゲットしたものだったのだ。これこそ、津島先生が知ったらケツピン棒100発くらいは軽くいくやんちゃ行為であろう。


二、3A限定!!約束のパンツ一丁罰ラン

「罰ラン!!罰ラン!!」

「パンツ一丁!!パンツ一丁!!」

 思春期のクラスメートたちの残酷ともいえる嘲りの中、真っ赤な顔の水野君は、無表情で、学生服・学生ズボン・カッターシャツ・ランニングシャツを脱ぎ去る。それは、体育前の着替えの時のように、野球部員らしい、キビキビとした素早さだった。

 しかし、体育前の着替えの時と違い、パンツ一丁になるのは、水野君一人だけ・・・水野君は、クラスメート全員の視線を、痛いほどにその鍛えられた肉体に感じるのだった。

「うわぁ・・・アイツ・・・鍛えてる・・・・」

「さすが野球部だ・・・」

 男同士、体育前の着替え時には意識すらしなかったパンツ一丁の水野君のガタイのよさに、クラスメートからは、思わず、そんなつぶやきがもれてくる・・・。

 丸刈り頭に、まじめそうな黒縁メガネをかけた温和そうな童顔の学級委員。

 しかし、そのまじめそうな童顔に似合わず、水野君のガタイは、硬式野球部で鍛えられたガッチリとした筋肉質だった。特に、水野君のスクールブリーフに包まれたムッチリ肉厚のケツは、もう窮屈そうではちきれんばかり。いまにも、その白ブリーフ木綿を破って、プリッとはじけてでてきそうな風であった。

 パンツ一丁になった水野君は、廊下にでると、デカい声で、

「3A、水野!!!罰ラン、失礼します!!」

と言うと、

「明和!!いち!!に!!いち!!に!!」

と叫ぶような掛け声を上げながら、真っ赤な顔で、会議室までの罰ランを始めるのだった。

「罰ラン!!罰ラン!!」

「パンツ一丁!!パンツ一丁!!」

「会議室!!会議室!!」

「ギョーチュー!!ギョーチュー!!」

と、3A教室の囃し立ては、ますますエスカレートしていくのだった。

 時まさに、朝のSTが終わりを告げ、一時間目の授業までの10分間の休憩に入ったところ。

 3年生で一人、ギョウチュウ検査の検体忘れをやらかした者がいると、事情を察知した他の3年生のクラスからは、

「えっ!!誰だ??」

「3年でギョーチュー忘れたヤツいるのか??」

「3Aの水野だよ!!」

「かわいそー!!」

「パンツ一丁で罰ランさせられてる・・・」

「やっぱ、津島は鬼だ・・・・」

の声とともに、嘲りの笑い声とどよめきが聞こえてくる!!

 そして、3年生のクラスの前では、

「水野!!がんばれよ!!」

の声がかかるものの、

「会議室でしっかりケツ出せよ!!ギャハハハ!!」

「ケツピンもあるぞ!!ギャハハハ!!」

との嘲笑が、パンツ一丁の水野君を打ちのめすのだった。

 そんな3年生の嘲りや、1、2年生の後輩たちの好奇の目にさらされながらも、水野君は、めげることなく、しかし、その罰ランのテンポを速めつつ、

「明和!!いち!!に!!いち!!に!!」

とデカい掛け声を張り上げながら、フロント部分に苗字とクラス名が明記されたスクール白ブリーフ一丁で、中学校舎4階の3A教室から一気に階段を駆け降りて、高校校舎の一階にある会議室へと逃げ込むように入っていくのだった・・・。

 

三、会議室にて

 会議室で自分のギョウチュウ検査の順番を待つ3A学級委員の水野君。3年生は自分一人。自分と一緒に順番待ちしているのは、2年生が一人と、あとは1年生ばかり・・・。しかも、後輩たちと並んで、パンツ一丁、正座して待つように、担任の津島先生からは命令されていた。

 水野君は、ギュッと目をつむって、自分の順番を待っていた・・・。同じ正座の列に、野球部の後輩・1C目蒲君がいることも気がついていた・・・。そして、衝立の向こう側からは、ケツピン棒が後輩たちのパンツ一丁のケツに唸りをあげて振り下ろされる音も聞こえてくる・・・。

「はぁ・・・やっぱ、オレが一番最後か・・・ケツピン棒・・・痛いんだろうな・・・終わって出てくるやつ・・・みんなベソかいてる・・・」

 水野君は、罰ランの時をはるかに凌駕する屈辱感にさいなまれていた・・・。

「はぁ・・・一年生と一緒に正座だなんて・・・それに、ケツピン棒も・・・」

 野球部で高校生の先輩から一列に並ばされてケツバットは食らったことがある。しかし、後輩がその音を聞いているところでケツピン棒を食らうことを想像すると、なぜか、恥ずかしくて屈辱的な気持ちでいっぱいになる水野君だった。

「目蒲にオレがケツピン食らう音、丸聞こえだしなぁ・・・キャプテンの立場ねぇーよな・・・」

 そんなことを思いながら、今朝、登校前のことを回想する水野君。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、あの・・・とうさん、いま、ちょっと時間ある?」

「わ、悪いな・・・良太・・・今日は、会社で重要な会議があってな・・・もう出ないとまずいんだ・・・夜、帰ってからじゃ、ダメか?」

「だ、大丈夫・・・帰ってからにする・・・」

「そうか、悪いな・・・じゃあな・・・おまえも気をつけて学校行けよ!!」

「は、はい・・・いってらっしゃい・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・

「でもな・・・とうさんにも頼めなかったよな・・・かあさんになんてもう頼めないし・・・あ〜〜、オレって、なんか要領悪りぃよな・・・岡本みたいに自分でやっちゃえばよかったのかなぁ・・・でも、それって、不正だよな・・・」

「次!!良太!!こっちへ来い!!」

「えっ・・・は、はい!!」

 津島先生が自分の名前を呼ぶ声が耳に飛び込んでくる・・・。いきなり名前を呼ばれてドキッとしながらも、返事をして立ち上がり、しびれる足を引きずるようにして衝立の向こう側の津島先生の声が聞こえてくる方へと進む水野君。

 津島先生の前でどういう体勢をとらなければならないのか、水野君に説明は不要だった。

 衝立で区切られた中へと入り、水野君の目にまず飛び込んできたのは、津島先生が座っている前の床にベットリとついた、後輩たちの脂汗による手形と足型だったのだ。

 そして、津島先生の傍らに立てかけられている二本の竹棒・・・。一本には白のビニールテープがグルグルと巻かれており、もう一本は、赤のビニールテープ。どちらの棒に己のケツの皮と己の精神を「鍛えていただく」のか・・・それは水野君にも十分にわかっていた。

「よし!!オレの方にケツをむけて、そこに四つんばいになれ!!」

 四つんばいという言葉が、水野君の自尊心を辛辣に傷つける・・・。

「オ、オレは、牛や馬じゃないって・・・」

 しかし、男らしく罰は受けなければならない。水野君は、男としての、そして、先輩としてのプライドを少しでも保とうとして、衝立の向こう側で正座して、このペナルティのギョウチュウ検査が終了するのを待っている後輩たちにも聞こえるように、男らしくキビキビした調子で、

「はい!!よろしくお願いします!!」

と返事をし、津島先生の指示通り、津島先生の方へケツを向け、両足を開き、前屈みの姿勢からさらに上体を屈して両手を床にベタリとつき、牛馬のごとく、四つんばいになるのだった。

 そして、津島先生から言われる前に、

「ケツピン棒!!お世話になります!!」

と挨拶するのだった。

 優等生の水野君のことである。明和学園において、部活での連帯責任ケツバット・デビューは済ませていたが、ケツピン棒は今回が初めてだった。そして、そのことを後輩たちに知られたくはなかったのだ・・・。

「よし!!いい覚悟だ!!ったく、3年生にもなってギョウチュウ検査忘れやがって!!ケツピン棒3発だ!!覚悟しろ!!」

「はい!!お世話になります!!」

 四つんばいでパンツ一丁のおケツ丸出し。自分がそんな恥ずかしい体勢をとっていることを衝立の向こう側の後輩たちは知っている・・・そして、教室にいるクラスメートの奴らもみんな知っている。

 そう思うと恥ずかしさと屈辱感で後頭部がカァッと熱くなってくる。しかし、グッと奥歯を噛みしめて、ケツピン棒の試練に男らしく立ち向かおうする水野君。

 そして、それはいきなりだった・・・水野君の心とケツの準備がまだ十分に整わないうちに、水野君の耳に、背後から、

ヒュッ!ビシッ!

と鋭い音が飛び込んでくる。同時に、ケツに焼けるような熱い痛み感じるのだった。

「痛い!!」

と思わず声が出そうになるのを必死で堪える。床についた両手のひらと両足の裏に、じんわり脂汗がにじみ出ていることを感じる水野君。

「挨拶はどうした!?水野!!やり直しか!?」

 「しまった・・・」と思った時はもう遅かった・・・ケツの痛みに気をとられ、「一!お世話なりました!」の挨拶を忘れてしまっていたのだ・・・。これが3A学級委員・水野良太君のホロ苦いケツピン棒デビューだった。

 正座している間、心の中で、水野君は、ケツピン棒への挨拶の練習をしていた・・・後輩たちに、その日が自分のケツピン棒デビューと悟られるのだけは、恥ずかしくて、絶対に回避し たいと思っていたのだった。特に、野球部の後輩の目蒲に知られたら、野球部の後輩たちに言いふらされるだけでなく、「水野先輩って、スゲー、まじめなんスね。」と言われるに違いない。そう言われるのが水野君にとってはなぜか嫌だったのだ。

「ヤ、ヤバい・・・オレ、なにやってんだ・・・あんなに忘れないように練習してたのに・・・」

 しかし、ここはもう、男らしく潔く、ケツピン棒やり直しを願い出るしかないと思った水野君は、両ひざをスクッと伸ばし、ケツを高く、津島先生の前に差し出すと、

「ケツピン棒!!やり直し!!お世話になります!!」

とデカい声で願い出るのだった。

「よし!!いい覚悟だ!!行くぞ!!」

ヒュッ!ビシッ!

 「い、痛い・・・」思わず両目をキュッと瞑ってしまう水野君。しかし、最初よりは少しは慣れたのか、

「一!!お世話になりました!!」

と、後輩たちに模範を示すような挨拶をするのだった。

「よし!!もう一丁!!」

ヒュッ!ビシッ!

「あっ、あちぃ・・・・」再び、両目をキュッと瞑ってしまう水野君。「ケツピン棒くらうと、ケツが火傷したみたいに痛てぇーんだぜ・・・」岡本君のあの言葉が大げさではないことを、水野君は、己のケツを以って、今さらながらに知るのだった。

「二!!お世話になりました!!」

「よし!!ラストだ!!ちょっと痛てぇ〜ぞ!!」

ヒュッ!ビシッ!

 津島先生のケツピン棒ラスト三発目は、特に力の入ったものだった。それは、津島先生から水野君への「おめえのような優等生が、ケツピン棒食らうようなこと、もうやらかすんじゃねーぞ!!」という兄貴心のこもった愛のメッセージだった。

 ケツを襲う焼けるような笞の痛さに、思わず右手でケツを押えようとする水野君。しかし、挨拶は忘れなかった。もうやり直しはまっぴらごめんだったからだ。

「三!!お世話になりました!!」

「よし!!ギョウチュウ行くぞ!!ケツはそのままの高さにあげとけ!!」

「はい!!お願いします!!」

 津島先生は、水野君の「お願いします」のあいさつが終わらないうちに、水野君のムッチリ野球部ケツを包む白ブリーフの腰ゴムをムンズと両手でつかむのだった。

 水野君のケツを包む スクールブリーフのバックの部分には、水野君のケツの谷間をなぞったかのように、水野君の汗が染み出ていた。水野君のブリーフのケツの部分に縦に染み出た汗の線を見ながら、津島先生は、遠慮会釈なく、ガバッと、水野君の膝のあたりまで、ブリーフをズリ下ろすのだった。

スゥ〜〜〜〜〜

 生ケツ丸出しとなり、恥ずかしさというより、なんともいえない爽快感をケツに覚える水野君。

 津島先生は、水野君のムッチリケツについた、3本の赤い横線を見て、ニヤリとしながら、「よし!!」とつぶやくように言うと、自分の前で四つんばいに這いつくばり、生ケツを晒している水野君には、

「良太!!しっかり野球部で鍛えているようだな・・・・それだけは褒めてやる!!」

と言うと、用意してあった「ギョウチュウ検査用のセロハンの〈 1日目 〉」をめくり、それを水野君のケツの中心に貼り付けるようにする。

 そして、津島先生は、右手親指を、水野君の右ケツペタに、小指と薬指を、左ケツペタに軽く添えると、残った中指と薬指を、水野君のケツの双丘の谷間へとギュ〜〜と沈めていくようにして、検査用のセロハンをケツの谷間へと押し付けていくのだった。

「あっ・・・あぁ・・・」

 去年、母親にやってもらった時とは、まったく違う圧迫感を、ケツの奥に感じる水野君。思わず、ケツを前に引こうとするが、四つんばいであることもあり、それもままならない。

「コラッ!もうちょっとだ・・・これくらい我慢しろ!!」

と、後ろから津島先生の注意が飛ぶ・・・。

「あっ・・・あぁ・・・も、もう・・・せ、先生・・・」

 ケツの谷間に感じる、何とも言えない温かくむず痒い圧迫感に、水野君の股間が、反応してしまっているのだった・・・・。水野君は、もう恥ずかしくて、首から上が真っ赤なゆでだこのようだった。

 津島先生も水野君の股間の反応に気がついたのか、苦笑いを顔に浮かべると、

「よし!!検査終了!!男ならだれでもそうなる!!元気があってよろしい!!」

と言うと、水野君のムッチリ・ケツの谷間をグイグイと押して圧迫していた右手・中指と薬指を反らせて、あの悩ましい圧迫感から水野君を解放してやるのだった。

バッチーン!

と、津島先生は、左手で、水野君の左ケツペタを一打すると、

「よし!!立って、パンツを上げてよろしい!!」

と言い、この懲罰的ともいえる検査に終了を告げるのだった。

 もちろん、他の後輩たちとは違い、水野君には、3A教室までの「罰ラン復路」が待っていた。

 後輩たちに先立ち、会議室の前で、

「3A、水野!!!罰ラン、失礼します!!」

と言うと、

「明和!!いち!!に!!いち!!に!!」

の掛け声よろしく、教室へと戻っていくのだった。

 先輩がパンツ一丁罰ランする羞恥の姿を、目の前でまざまざと見せつけられた目蒲君をはじめとする後輩たちは、先輩の面目丸つぶれのそのダサさにゴクリと生唾を呑み込み、さらなる反省を深め、二度とギョウチュウ検査の検体を忘れまいと心に誓うのだった。

 水野君の気合の掛け声がだんだんと遠のいていく、それと同時に、再び、中学校舎4階の3年生の教室が騒がしくなってくるのが聞こえてくる。

 それを聞きながら、津島先生は、ガラにもなく、心配そうな表情をみせるのだった。

 

四、昼休み・体育教官室にて

 その日の昼休み。

 普段は、昼のホームルームで3A教室にいるはずの津島先生。しかし、その日、ホームルームの方は、副担任で後輩の相沢先生(数学担当)に任せて、一人、体育教官室で、なにやら書類とにらめっこしていた。

「なんだ・・・水野のオヤジさんは、ここのOBじゃないか・・・」

 津島先生は、自分の担任クラスの生徒のプロフィールが記載された生徒個人台帳を見ていたのだった。明和学園では、父親の欄に、父親の氏名の横に括弧書きで算用数字と「回」 という文字が書かれている場合がある。その場合は、その生徒の父親が、明和学園OBで、その数字は卒業回であることを示していた。

 水野良太のプロフィールの父親欄にも、「父親 水野良一(56回)」とあり、水野良太の父親が、明和学園56回卒業生であることを示していた。

「56回か・・・オレの十個上だな・・・町田先生が20代の頃、生徒だったのか・・・知らなかったぜ・・・しかし、だったら話は早いぞ・・・さっそく電話してみるか・・・」

と、津島先生が電話の受話器をとろうとしたその時だった。

 体育教官室のドアにノックの音が響き、廊下で、

「3A!!岡本!!入ります!!」

との声が聞こえてくる。

「チェッ!!そうか・・・アイツのこと、昼休みに来いって言ってあったんだ・・・」

 そうつぶやくと、津島先生は、廊下の外まで聞こえるようなデカい声で、

「よし!!入っていいぞ!!」

と言うのだった。

「失礼します!!」

 3Aの岡本君が神妙な顔つきで教官室に入ってくる。そして、津島先生が座っている机の横に立つのだった。

「岡本か・・・どうしたんだ・・・」

 もちろん、岡本君の出頭を命じたのは津島先生自身だったが、「どうしたんだ?」は、お約束の質問だった。

「はい!!ケツピン棒のお世話になりに参りました!!」

と、岡本君は、津島先生に模範通りのあいさつをするのだった。

「よ〜〜し、岡本、ちょっと聞くが、お前が、前回、オレのケツピン棒の世話になったのはいつだ?」

「えっ・・・そ、それは、三日前です・・・」

「なんでケツピン棒の世話になったんだ?」

「は、はい・・・そ、それは、六時間目のパンツ検査の時、野球部の練習に早く行くため、所定のパンツをはかずに、スラパンにはきかえていたからです!!」

「そうだったな・・・で、ケツピン棒の痕は、残ってるか?」

「えっ?は、はい・・・うっすら、ピンク色に・・・一本ッスけど・・・今日、朝練の後、体育館の風呂場で見たときッスけど・・・」

 津島先生は、それを聞いて、ニヤリと笑うと、

「よし!!今日は特別に勘弁してやる・・・クラスの連中にはケツピン軽く一発で勘弁してもらったとか言っとけ・・・いいな!!」

と言うのだった。

 ケツピン棒に慣れっことはいえ、またあのケツの痛みを体験するのかと、かなり憂鬱な気分だった岡本君は、急に元気な晴れやかな声で、

「あ、ありがとうございます!!じゃあ、失礼します!!」

と言うと、ペコリと頭を下げ、そこから逃げるように立ち去ろうとする。

 しかし、津島先生は、

「バカ野郎!!まだ帰っていいとはいっとらん!!」

と言い、岡本君の手をグイと引っ張り、自分の机の横に再び立たせるのだった。

「な、なんスか?」

「水野の様子はどうだ?」

「水野ッスか?いや別に・・・っていうか、自分、あんまし、教室では水野と一緒にいないッスから・・・部活の時だけって感じで・・・」

「そうか・・・今朝のことで、クラスの連中からしつこくからかわれているようなことはなかったか?」

「あっ・・・まあ、ちょっとは・・・サッカー部のヤツらから・・・あっ、オレ、別にチクッてるわけじゃないッスからね・・・」

「わかっている!!心配すんな・・・おまえがしゃべったなんていわねぇーから・・・」

「は、はい・・・でも、アイツ、かわいい顔してて、結構、タフっすから大丈夫ッスよ・・・」

「そうか・・・まあ、同じ野球部で同じクラスなんだからよ・・・アイツのこと、少しはフォローしてやってくれよ・・・」

「は、はい・・・わかりました!!」

「よし!!頼んだぞ!!では、戻ってよし!!」

「は、はい!!失礼します!!」

 津島先生は、岡本君が教官室から出て行ったのを確認すると、再び、電話の受話器をとり、どこかへ電話をかけ始めるのだった・・・。


五、昼休み・3A教室にて

 その日の昼休み。3Aの教室では、いつもとは違う、気まずい空気が流れていた。

 硬式野球部の岡本君が、ケツピン棒のお世話になるために、津島先生が待つ体育教官室へと出ていくと、それを待っていたかのように、サッカー部の連中が、教室の後ろで、デカい声で、

「せ、先生・・・・あっ・・・き、気持ちいい・・・もっと右・・・あっあぁ・・・も、もうちょっと右よ・・・ち、違うわ・・・ギョ、ギョーチューの卵は、もうちょい左にあるかも・・・ギャハハハハ!!!」

と騒ぎ立てている。

 そして、3A教室のほぼ真ん中では、水野君が、机に座ったまま、真っ赤な顔でうつむいているのだった。両目を瞑り、なにかにジッと耐えているような表情だった。

「学級委員!!会議室では四つんばいッスか??」

「学級委員!!会議室ではケツ丸出しッスか??」

「学級委員!!貴重な体験ッスね!!ボクたちにも詳しく教えてくださいよ!!ギャハハハ!!!」

と、サッカー部の連中に、さらに、バレーボール部のやんちゃ坊主たちが加わり、水野君へのからかいが執拗に続いていた。

 そして、他の生徒たちは、ある者は、気まずそうに教室を出て行き、ある者は、水野君の机の方へは近づかず、サッカー部やバレーボール部の連中とも距離をおいて、遠巻きに事態を見守っているのだった。

 ほどなく、わざとらしく顔をしかめて、学生ズボンのケツを摩りながら、

「痛ってぇ〜〜〜、ったく、オレには全然容赦なしだぜ・・・また3発も食らっちゃったよ・・・ケツピン棒・・・」

と言いいながら、体育教官室から3Aの教室へと戻ってくる岡本君。

 3Aの教室は、静まりかえっていた。自分の机のところに座ったまま、真っ赤な顔でうつむいている水野君の姿。もちろん、岡本君は、その場の空気を察知する。そして、教室の後ろの方でニヤニヤ笑っている連中を睨みつけるのだった。

 その睨みに応答するかのように、サッカー部の藤田君が、

「岡本!!うちのクラスの学級委員、おまえと同じ野球部だったよな!?」

と、わざとらしく聞いてくる。

 岡本君は、藤田君をにらみつけ、

「ああ、だったらなんだよ!!」

と返すのだった。

「だったらさー、頼んでくれよ!!学級委員から、会議室での貴重な体験を聞きたいでーすって!!」

 岡本君は、それを無視するかのように、まだ自分の机のところでジッとうつむいて座ったままの水野君の手を引っ張るようにして、水野君を立たせると、

「さあ、水野、部室に行くぞ!!」

と促すのだった。

 そして、サッカー部の藤田君たちには、

「おめえら、しつけぇーよ!!いいかげんにしろ!!」

と、強い調子で言い、水野と一緒に教室を出て行こうとするのだった。

「なんだよ!!逃げんのかよ!!」

と、岡本君と水野君の背中に向けて、藤田君は言い放つのだった。

「違う!!部室でミーティングなんだよ!!遅れると先輩からケツバットだからな!!野球部はおめえらの部と違って厳しいんだよ!!」

と、藤田君たちを見ることなく、意地を張るように言って3Aの教室を出ていくのだった。

 後ろで3Aの教室から聞こえてくるゲラゲラ笑い・・・しかし、それにはもう構わず、廊下を速足で歩き教室から遠ざかる岡本君と水野君だった。

「あんなの気にすんな・・・無視、無視・・・」

「う、うん・・・」

 しばらく無言のまま硬式野球部の部室へと向かう二人。その日の昼休み、ミーティングあるというのはもちろんウソだった。

 そして、やっと生徒たちがいないところへと来たとき、岡本君が、水野君に、

「あのさー、親に頼めないんだったらさー、ギョーチューなんて、自分でやっちゃえよ・・・」

「えっ・・・」

「クラスの半分くれぇは、朝、学校の便所で自分でケツにやってるぜ・・・ペタって・・・」

「えっ・・・でも、それじゃ・・・正確じゃないでしょう・・・」

「いいの!!誰がやっても、どうせ全員、陰性なの!!」

「そうかなぁ・・・」

「おまえなぁ・・・そんなクソ真面目なこと言ってっから、恥かくんだよ!!いいか、これは絶対に秘密だぞ・・・先輩から聞いたんだけどな・・・あの津島もだな、中学の時、朝の便所で自分でギョーチューやってるとこ町田先生に見つかって、ケツピン棒と検査やり直しだったんだって!!」

「えっ!!!ウソ!!」

「なっ、だから、あんな時代遅れの検査、どーでもいいんだって!!兄貴が言ってたんだけど、中学でやってるの、全国で、ウチの学校くらいしかないらしいぜ!!」

「そ、そうか・・・わかったよ・・・」

「よし!!だったら、明日の朝は自分でやるんだ!!」

 そういうと、岡本君は、自分の説得を水野君が受け入れてくれたと思い、うれしそうに、無意識のうちに、水野君の学生ズボンのケツを、かなり強めにポンと叩いてしまうのだった。

「いっ、いってぇ〜〜〜!!」

と、ケツを引くようなしぐさをみせ、思わず、ケツを両手でかばうようにする水野君。

「あっ、わりぃわりぃ、今朝、ケツピンやられたばかりだったんだよな・・・痛かったか?」

「う、うん・・・すげぇー痛かった・・・3年は3発・・・そ、それにオレ、挨拶忘れて、1発追加だった・・・」

「ダッセーー!!」

「・・・・」

「ウソだよ!!誰でも初めは忘れるんだ・・・オレもそうだったし・・・あの棒でひっぱたかれると、ケツ、スゲー痛てぇーもんな・・・」

「うん・・・ケツが焼けるみたいだった・・・」

「だろ!!やっぱ、オレの言っていること大げさじゃねーだろ!!」

 そういうと、うれしそうに、岡本君は、水野君の後ろにまわり、右膝小僧で、水野君のケツを小突き始めるのだった。

「や、やめろよ・・・・い、いてぇよ・・・」

「このくらいで痛がってるようじゃ、まだまだだな!!オレなんて、ケツピン棒食らったすぐあとにケツバットだったんだからな!!わかるか!!このツラサ!!」

 そういいながら、岡本君は、さらにうれしそうに、水野君の学生ズボンのケツに、右膝小僧でちょっかいを出し続けるのだった。

「い、いてぇよ・・・マ、マジでやめろよ・・・・」

「男だったら、こんくらいガマンしろ!!」

「や、やめろよ・・・・い、いてぇよ・・・」

「ダメ!!まだまだ!!!」

「や、やめて・・・マジ・・・・ヤバい・・・・あっああ・・・・」

「ほ〜〜ら・・・そろそろ気持ちよくなってきただろう・・・それが、ケツピンの後の、痛みを乗り越えた先にある快楽の境地ってヤツだよ!!」

「ウ、ウソ、マジ・・・ちょっと気持ちいいかも・・・」

「バァ〜〜カ!!冗談だよ!!おめえ、変態かよ?」

「ち、違うよ!!」

「冗談だよ!!ワハハハ!!」

 二人はそんなじゃれ合いを続けながら、仲良く硬式野球部の部室へと向かうのだった。

 

六、翌朝の水野家 ギョーチュー二回目無事敢行!?

「おい!!良太!!もう起きてんのか?だったら、風呂場に降りて来い!!」

「えっ!!あれ、とうさんの声だ・・・オレのこと起こすなんて、めずらしい・・・なんだろう・・・」

 良太は、スクッとベッドからおきあがると、明和のスクールブリーフ一丁のまま下に降りていくのだった。そういえば、昨日はいろいろあって疲れたのか、風呂にも入らず、パンツもとりかえず、いつのまにかベッドに入り熟睡していたのだった・・・。

「とうさん、なぁに?なんか用?」

 良太の父親・良一は、ニヤニヤ笑いながら、

「今日はあの検査の二回目の提出日だろ?オレが手伝ってやるから、早く、検査用のセロハンを持って来い!!」

と言うのだった。

「えっ!!いいの?」

「あたりまえだろ!!さあ、早く持って来い!!」

「う、うん!!」

 恥ずかしさ半分、うれしさ半分。良太は急いで部屋に戻ると、勉強机の引き出しにしまってあった二回目の検査用セロハンを持ち出すのだった。正直なところ、岡本の忠告通り、学校の便所でセルフ・ギョーチューをするかどうか決心がつかないまま寝てしまっていたのだった。

 風呂番の脱衣場のところで、父親は待っていた。

「よし!!後ろむいてパンツをおろしてケツを出せ!!」

「う、うん!!」

 良太は父親・良一に、検査用セロハンを託すと、父親の指示通り、後ろを向いてパンツをおろし、前かがみになってケツを後ろに出すのだった。

「いや、ちょっとポジションが悪いな・・・よし!!思い切って、四つんばいになれ!!学校の時と同じようにな!!」

「えっ!!知ってたの?」

「当たり前だろう!!オレは、お前のオヤジでもあり、学校の先輩でもあるんだぞ!!そのこと忘れるな!!」

「は、はい・・・」

「ケツ痛かったか?担任の津島先生か?派手にやられたようだな・・・ケツピン棒・・・」

「あっ!!そのこと・・・忘れてた・・・」

と思い、良太は、恥ずかしさで顔が真っ赤になるのだった。四つんばいになってオヤジに生ケツ丸出しの体勢で、良太は、昨日、会議室で、華々しいケツピン棒デビューを飾ったことを思い出したのだった。そして、その笞痕がケツにまだクッキリと赤く残っていたのである。

「あの棒は、いてぇ〜よな・・・オレも町田先生によくやられたもんだよ・・・・」

「えっ!!とうさんも!!」

「ああ!!もちろんだ!!オレの時代はいまよりもっと学校の規律が厳しかったからな、オレの世代で、ケツピン棒の痛さを知らないOBなんていないはずだぞ!!」

「へぇ〜そうなんだ・・・」

 良一は、息子の良太の野球部で鍛えたムッチリケツをマジマジと見つめ、息子がたくましく成長していることを感じ、明和学園を受験させたことは間違いでなかったと確信するのだった。そして、息子のケツに、あのケツピン棒の赤い横線を見て、なにか胸に熱いものがこみあげてくるのだった。

「よし!!セロハンを張り付けるからな!!」

 そういうと、良一は、右手のひらに検査用セロハンを乗せ、それが落ちないように慎重に息子の良太の肉厚のケツに近づけると、良太の左ケツペタに自分の右手の小指と薬指を、そして、良太の右ケツペタに、自分の右手親指を、やさしくあてがい、

「よし!!ちょっと我慢してろよ!!」

と言うと、丁度、検査用セロハンの中心が載っている右手・人差し指と中指を、良太のケツの谷間に沈めるかのように、グイッグイッと数回押すのだった。

「あっあぁ・・・」

 昨日、津島先生から検査を受けた時のあのなんともいえない圧迫感をケツの奥の方に感じる良太。そして、昨日の津島先生の検査のやり方が、決して意地の悪いやり方ではなかったことを知るのだった。

 自分のケツの谷間にグイグイと喰いこんでくる、オヤジの右手の人差し指と中指。良太は、そのなんともいえない熱い感覚に、再び、

「あっあぁ・・・・」

となんともいえない悩ましいため息をもらす。良太は、股間に前の方にも熱いものを感じてしまうのだった。

「やばい・・・・オヤジにみつかっちゃう・・・・」

 もちろん、オヤジも、自分の息子・良太のムスコの反応に気がつかないはずはなかった。

「元気いいじゃねぇーか!!おまえも一人前の男になったって証拠だ!!よし!!そろそろ終了だな!!」

 そういうと、オヤジ・良一は、息子のケツの谷間をグイグイと圧迫していた右手・人差し指と中指の力を抜き、良太のケツ谷間に押し付けた検査用セロハンを、二回目提出用の台紙セロハンに貼って、それを提出用封筒にいれて、息子に渡すのだった。

「はい!!検査無事終了!!いいか、この封筒を忘れるようなヘマをやらかすなよ!!」

「は、はい!!ありがとう!!とうさん!!」

「よし!!それから、これからは、かあさんに相談しにくいことがあったら、必ずオレに相談すること、いいな!!一人で悩んだりするなよ!!」

「う、うん!!わかった!!そうするよ!!」

「よし!!じゃあ行きなさい!!」

 そういうと、良一は、息子・良太のブリーフ一丁のケツをやさしく2、3度ポンポンと叩くと、息子に登校の準備をするように促すのであった。良太は、まだケツピン棒の笞痕がクッキ リついた己のケツに、オヤジの平手の大きさと温かさを感じながら、制服に着替えるため、二階の自室へと向かうのだった。  

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