金サポ翔太「真夏の夜の悪夢」1

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一、シューベルト事件 後半1(1番相原から9番木田までケツ竹刀敢行!)

「よ〜〜し!1番!相原!パンツ一丁になって廊下に出てこ〜〜い!!!」

「は、はい・・・」

 ゴリに名前を呼ばれると、1C1番の相原が、蚊の泣くような声で返事をして、体操着の上下を脱いで自分の机のところにおいて、廊下に出て行ったッス。もう真っ赤な顔で、半べそ顔だったッス。

 一発目からいきなりクラスではやや問題ありのヤツの登場ッス。実は、相原は、一高併願組の一人で、進学校である東和一高を落ちて、二高に入学してきたヤツっす。もちろん、めちゃくちゃ成績優秀で、中間考査では、総合成績が学年一位でした。 でもイマイチ、協調性に欠けるンすよね。

 部活は、数学の寺崎先生が顧問をする囲碁将棋部ッス。二高では、文化系部活に入るやつの人数が極端に少ないんで、本来なら別の部であるはずの囲碁と将棋が、同じ部活になっているッス。

 ここだけの話ッスけど、相原は入試の成績もトップで、本来ならクラス委員長になるヤツっす。けど、ゴリから「あいつじゃクラスはまとめられんから高山にしとけ。」って指示があって、本来なら一年生一学期はクラスで一番入試成績のよかったヤツが委員長になるっていう二高の慣習を破って、1Cでは入試の成績二番の高山が委員長、そして、三番の福田が副委員長ってことになったッス。

「よし!相原!そこに手をついてケツを出せ!」

 相原は、

「は、はい・・・」

って返事をして、ゴリが指し示した、開け放たれた教室の窓のさんのところに両手をついて、顔を教室の方に向けて、後ろにケツを出したッス。

 相原のいまにも泣きそうな真っ赤顔を見て、クラスの連中は、

「アイツ・・・マジやばいんじゃなねぇ・・・」

と、口々にいい始めたッス。

 それを聞いたゴリは、

「順番を待っているヤツは、目をつむって、引き続き反省だ!」

と命令を下したッス。

 クラスの連中の言ったとおり、相原は、かなりヤバそうな顔してたッス。それもそのはず、教師からケツ叩かれるのは、その時初めて。まさにケツ竹刀デビューだったからッス。

 一高に受かっていれば、ケツ竹刀のような体罰とは無縁の高校生活を送っていたに違いないッス・・・けど、二高にくれば、どんな秀才でも、みんなでブリーフ一丁のケツ出して、連帯責任のケツ竹刀ッス。

 そんな相原にも、ゴリは容赦なかったッス。

「なんだその女みたいなケツの出し方は!おめえの場合、内股なんだよ!男なら、こうやってもっと両足を外側に開いて!そして、蟹股になるみたいに、腰をグッと落とすんだ!」

 二高の中にあってはかなり色白の相原は、さらに真っ赤になって、

「は、はい・・・」

と返事をして、ゴリの言ったように足を開いて腰を落としてケツを出したッス。

「そう!そうだ!やればできるじゃねぇ〜か。」

「は、はい・・・」

「いいか、俺からケツを殴られる前は『お願いします』、殴られた後は『ありがとうございました』ってデッカイ声で元気に挨拶だ!よし!行くぞ!」

「は、はい・・・お願いします!」

ブゥ〜〜ン!パァ〜〜〜ン!!

 ゴリの竹刀は、相原のケツに、低めから上に向かって炸裂したッス。容赦なしのフルスイングだったッス。

「ひやぁ!!」

と、相原は悲鳴のような叫び声をあげて、両手でケツを押さえて、思わずそこに屈みこんだッス。

 ゴリはそれを見下すようにして、

「痛かったかぁ?」

「は、はい・・・」

「おめえらにからかわれて、谷岡先生の心は、もっと痛かったんじゃねぇ〜か?頭のいいおめえならわかるだろ!」

「は、はい・・・ありがとうございました!」

「よし!次!2番秋山!」

 こうして、無事、ケツ竹刀デビューを果たした相原ッス。相原は、痛そうに顔をゆがめて、両手をケツに あてがいながら、自分の机のところへ戻っていったッス。

 相原は、俺が立っていた後ろの方のドアから教室に入っていったッスけど、俺の前を通る時は、俺は相原の頭をグッと押さえてやったッス。でも、相原は俺とは目を合わせようとはしなかったッス・・・。

 相原の汗がにじんだケツにピッタリとくっついたスクールブリーフはすけすけで、うっすらと赤い線がついたケツが見えたッス。

 もちろん、クラス全員のケツ竹刀が終るまで、正座して反省なので、相原は、体操着に着替えると再び、椅子の上に正座して、目を閉じたッス。

 秋山、井上、宇佐美とブリーフ一丁ケツ竹刀の儀式は粛々と進んでいったッス。 秋山、宇佐美もケツさすりながら俺の前を通って机に戻る時、俺と目をあわそうとしなかったッス。

 井上は、ゴリからブリーフの茶色いゴワゴワの怪しげな染み を指摘されて、真っ赤な顔で、もう泣きそうな目で俺を睨んだッス・・・。

「藤本先生!先生は俺たちの担任なのになんで助けてくれないんスかぁ?」

って、井上の目は俺に訴えかけているようだったッス・・・

 そして、いよいよ榎本ッス。俺がフィルホに勧誘した一人ッス。

 やっぱりそうだったッス・・・榎本たちは、俺が軽い気持ちで言ったあの言葉を真に受けてあれを実行していたッス。

 自分の前に来た榎本に、ゴリは、

「おめえ、なんでサポーターなんだよ!?パンツはどした?穿いてねぇ〜のか?」

って、榎本の金サポを見て聞いてきたッス。

 そうッス、榎本は、金サポ一丁でゴリの前にでてきたってわけッス。俺はもう、どこかへ逃げ出したい気分だったッスよ・・・

 ゴリの質問に、榎本は、

「ウッス!藤本コーチの命令で、夏合宿が終るまで金サポはきッパっす!!!」

と、悪びれる風もなく、答えたッス。

 ゴリはすかさず、俺の方をにらみつけたッス・・・。正直、俺、なんてゴリに言い訳していいかわからなかったッス。

「そうかぁ・・・藤本先生の指導かぁ・・・ずいぶんとユニークな指導法じゃねぇ〜かぁ〜!」

って、ゴリは俺のことをじっと睨みつけるッス。

 榎本の、

「先生、ゴリになんか言ってやってくださいよ!」

と言わんばかりの視線も痛かったッス。

 そして、ゴリは無言のままの俺の困ったような顔をみてニヤリと笑い、

「よぉ〜〜し!今回は、藤本先生に免じて、おもらしブリーフだけは許してやる!しかし、男が一回金サポはきッパを決意したら最後まではき続けろ!!」

って言い、

「よし!そのままでケツを出せ!」

って、榎本に言ったッス。

 体操短パンでのケツ竹刀をかすかに期待していた榎本は、

「えっ!生ケツっすかぁ・・・」

って、ちょっと不安そうな声で言ったッス。

「あったりめえだ!男が金サポはきッパを決め込んだら、生ケツを殴られることも覚悟の上ってことだろう!ケツ殴られる時だけ、おめえ、パンツはく気なのか!?」

って、ゴリは榎本に畳み掛けるように言ったッス。

 榎本は、あきらめたのか、

「ィ〜〜ス!お願いします!」

って言って、ケツを出したッス。

パァ〜〜〜ン!

って言うゴリの竹刀の音と同時に、

ベッチィ〜〜〜ン!

って言う、床に雑巾をたたきつけたような、榎本のケツ肉の音が、廊下にこだましたッス。

「い、いってぇ〜〜〜!」

と言いながら、榎本は、ケツをさすってその場でピョンピョン跳ね回ったッス。

「よし!次!6番太田!」

と、ゴリが次のヤツを呼んだときは、正直ホッとしたッス・・・。けど、榎本の前で、榎本のために、ゴリに何も言ってやれなかったことに、正直、俺は、自分が嫌になったッス・・・。

「いってぇ〜〜〜、はんぱじゃねぇ〜〜」

と言いながら、榎本が俺の前を通った時、俺に向かって、

「先生!俺、がんばったぜ!」

って感じで、ケツを擦っていた両手で、ガッツポーズしてくれた時は、正直救われたッス・・・。

 次の太田のブリーフは、フロントの黄色い染みがかなり派手だったッス。太田はレスリング部ッス。練習がきつくて、家に帰ると、もう寝るだけで、風呂に入ってパンツ取り替える暇もないのかもしれないッス。

「太田!ちょっと臭うぞ!コマメに風呂に入れ!」

って、ゴリに言われちまったッス。

パァ〜〜〜〜ン!

 そんな太田のブリーフのケツにも竹刀が炸裂。

「ヒィ〜〜〜!いってぇ〜〜〜!あ、ありがとうございました!」

って、太田はケツをさすりながら、教室に戻って行ったッス。

「次!7番!岡島!」

「はい!お願いします!」

パッチィ〜〜〜ン!

「あ、ありがとうございました!」

「次!8番!神崎!」

「ィ〜〜ス!」

と返事をして、廊下に出来てきた神崎のブリーフは、太田のブリーフよりも染みが濃かったッス・・・。それを見てゴリはニヤリと笑い、

「今日で何日目だぁ?」

って聞いたッス。

「ウッス!三日目ッス!」

の神崎の返答に、

「そうかまだまだ始まったばかりだなぁ!がんばれよ!よし!ケツを出せ!」

とゴリっす。

 実は、神崎は、柔道部ッス。東和二高の柔道、剣道、空手の武道系三部活は、「男はなんでもはきッパ教育」で有名ッス。あいつら、道着から下着まで、競ってはきッパするので、もう部室なんかくせぇのなんのって・・・。でも、その臭さに耐えるのも修行の一つらしいッス。

「お願いします!」

パァ〜〜〜ン!

 神崎のちょっとムッチリしたはちきれんばかりのブリーフのケツに、ゴリのフルスイングの竹刀が強襲したッス。

 クリクリ坊主の神崎は、ケツをさすらないように両手を組んで、ケツをさすったらゴリにまけたことになるッス・・・といわんばかりに、口をぎゅっと結んで、ケツの熱い痛みに根性で耐えているって表情で、席に戻っていったッス。

 次は9番の木田ッス。

 ゴリに呼ばれてブリーフ一丁廊下に出てきた木田のブリーフを見て、ゴリは早速、

「木田!名前どした!書いてねーぞ!」

と注文をつけたッス。木田は、

「あ、忘れました・・・いまから書きます・・・」

って言ったッス。

「名無しブリーフは盗難の原因になるっていつもいってるだろ!何度言ったらわかるんだ!」

「はい・・・だから、これから、書きます・・・」

「いつもなら大目にみてやるが、今日はダメだ!『おもらしブリーフ』だな!」

「え〜〜〜〜!それだけは勘弁してくださいよ〜〜!」

「ダメだ!グズグズ言ってやがると、ケツ竹刀一発追加だぞ!藤本先生のところへ行って、はやくは着替えて来い!」

って、その時のゴリは、まさに正真正銘の鬼だったッス。 「おもらしブリーフ」第一号がついに出ちまったッス。

 結局、木田は、泣きそうな顔で、俺のところへ来て、おもらしブリーフ取替え用のタオルを腰に巻いて、おもらしブリーフにはき替えたッス。もちろん、タオルを腰に巻くのは、他の生徒の前でフリチンにさせないようにする生徒の人権を配慮してのことッス。 ゴリの人権配慮型体罰の一例ッス。

 俺のところで、ブリーフを取り替えるとき、木田も、俺と目を合わせてはくれなかったッス・・・。

「なんで、名前書き忘れただけで、おもらしブリーフなんスかぁ・・・ 今書けば済むことじゃないッスかぁ・・・」

って、泣きそうな声で、俺に訴えかけるかのように、つぶやいていたッス・・・。 けど、俺はなにも助けてやれなかったッス・・・。声さえもかけてやれなかったッス・・・。情けねぇッス・・・。

 おもらしブリーフに着替えた木田は、ゴリのところへ戻って、ケツを出したッス。

パァ〜〜〜〜ン! 

「木田!なんだその目は!反省しとんのか!なんだったら、もう一発ほしいか!」

「え、遠慮しときます・・・・は、反省してます・・・あ、ありがとうございました!」

 木田は、ケツ竹刀一発食らって、はずかしそうに、おもらしブリーフのまま、席に戻っていったッス。

 おもらしブリーフは、一週間以内に洗濯して、ゴリに返却することになっているッス。返却する時、校則の規定通りのブリーフをはいているかどうか、再検査があるッス。

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