金サポ翔太「真夏の夜の悪夢」1

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一、シューベルト事件 後半2(10番吉川から13番小平までケツ竹刀敢行!)

「10番きっかわ!」

「ィ〜〜ス!お願いします!」

「おらぁ〜〜!しっかりケツ出せィ!」

パァ〜〜〜ン!

「うっ!いてぇ!あ、ありがとうございました!」

って、吉川はうめくようにケツの下の方を両手で押さえたッス。

 陸上部の吉川のケツはかなりデカクて太腿も立派ッス。吉川の、はちきれんばかりのスクールブリーフの二つのレッグフォールからヌッと出た逞しい太腿の後ろの上部に薄っすらとピンク色の線が入っていたッス。

 ゴリのケツ竹刀がやや下側に逸れ、ちょうど太腿とケツの境目あたりに竹刀が着地したようだったッス。

 ゴリも悪いと思ったのか、まるで、「わりぃ・・・」と、吉川に言うがごとく、吉川のスポーツ刈りの頭を左手でグッと押さえたッス。

 吉川は涙目だったッスけど、

「ィ〜〜ス!」

とだけ挨拶して戻っていったッス。

 教室に戻ると、吉川は、両手をケツの下の方にあてがいながら、他の連中にまるで報告するかのように、

「やべぇ〜〜、太腿だよ・・・太腿・・・ひィ〜〜〜いってぇ〜〜〜!」

って、かなりデッカイ「小声」で、つぶやいていたッス。

 教室で正座しているヤツらは、ケツ竹刀が終ったヤツらも、これからのヤツらも、そろそろ正座が30分を超えて、集中力が散漫になっているのか、薄目を開けたまま首だけ後ろ向けて吉川の太腿を観察しようとするんで、後ろから見ていて、もう俺、吹き出しそうだったッス。

「11番楠木正成!」

って、ゴリの呼ぶ声が廊下から響いて来たッス。楠木は足が相当痺れたのか、足を引きずりながら、ゆっくりゴリの前に出来たッス。硬い椅子、しかも、人間のケツの形に合わせて微妙に湾曲している椅子に正座していたせいか、楠木の両脛は、真っ赤になっていたッス。

 1Cの連中は、大なり小なり、ほとんどの野郎がブリーフのフロントに染みつくってったッスけど、楠木の黄色い染みは、かなり濃かったッス。そうッス。楠木は剣道部で、先輩に命令されてパンツはきッパの まっただ中ッス。

「おめえ、おっせぇ〜〜よ!」

「あ、足、マジで痺れました・・・」

「バカもん!剣道部のくせにこの位の正座で足が痺れてどうなる!さあ、そこに手をついてケツを出せィ!」

「せ、先生、じ、実は自分、今日、朝練遅刻して、コーチから、マジでケツ竹刀食らったッス・・・だから・・・」

「だから、なんだよ!?男だったらはっきり言ってみろ!」

「だから・・・今日のところはケツ竹刀は勘弁して・・・」

「なにぃ〜〜!?クラス全員、おめえの仲間がだぞ!仲間が罰食らってケツ、痛てぇ思いしている時に、おめえだけ、逃れようってつもりかぁ!?」

「い、いや・・・そ、それがだめなら・・・」

「なにぃ〜〜〜!それがだめならだと!!」

「ち、違います・・・だ、だから・・・お手やらわらかに・・・ちょ、ちょっとだけです・・・お手やわらかに・・・してほしいと・・・」

 剣道部の楠木は、クラスメートのケツに竹刀が炸裂する音で、その日のゴリのケツ竹刀が、マジで手加減なしであることをわかっていたッス。

「そうかぁ・・・安部コーチからマジでケツぶん殴られたか・・・楠木、それ本当だろうな?」

「ほ、ほんとうッスよ!信じないんなら、佐藤や福田に聞いてくださいよ!」

 1Cの佐藤も福田も剣道部のヤツっす。佐藤も福田も、薄目あけたまま、楠木の方を向いて、ガッツポーズとってるッス・・・。ったく、ゴリに見られたらマジでヤバイッスよ・・・。

「よぉ〜〜し!じゃあ、おめえのケツ、見せてみろ!」

 ゴリのその言葉に、楠木は、うれしそうな顔をして、

「ィ〜〜〜ス!」

と返事をし、慣れているのか、こともなげに、ブリーフのバックをペロンとめくって、ゴリにケツを見せたッス。楠木のケツには、うっすらピンク色の線が 一本入っていたッス。

 二高のスクールブリーフはスタンダードっていうより、セミビキニに近いんスけど、それでも、楠木のヤツ、本当に上手に、前の方はそのまま隠して、ケツだけペロンとめくったッス。だから、読者の皆さんには悪いッスけど(笑)、楠木の前の方は、俺にも見えなかったッス!!

 ゴリは、楠木のケツの線をみて、

「おぉ、まだまだいける!!!ケツを出せぃ!そのままだ!」

って、楠木に命令したッス。

「え〜〜〜!生ケツに竹刀はないッスよ〜〜!」

「バカもん!クラス全員がケツ痛いおもいしている時に、一人だけ、手加減してもらおうと思う、おめえのその狭い料簡が気にくわねぇ!!楠木正成って立派な名が泣いてるぜ!」

「え〜〜〜!マジ、生ケツっすかぁ〜〜!?勘弁してくださいよ!」

「え〜〜〜じゃねぇ!もっとしっかりケツを突き出せ!いくぞ!」

 そういい終わるか、楠木が挨拶する間もなく、

ベッチィ〜〜〜〜ン!

と、お情け無用!ゴリのフルスイング・ケツ竹刀が、剣道部の楠木のプリプリッと活きのいい生ケツに炸裂したッス。 気のせいか、他のヤツよりも、さらに強烈なケツ竹刀のように聞こえたッス。

「いってぇ〜〜!あ、ありがとうございました!」

って、楠木は挨拶すると、 ゴリのケツ竹刀の脳天直撃の重い衝撃に、両手で生ケツを押さえながら、その場でピョンピョン飛び跳ねていたッス。

 しばらくして落ちついてくると、

「チクショォ〜〜!!ケツがジリジリあっちぃ〜〜!」

て、でかい声でつぶやきながら、ブリーフのバックを上げようともせず、 教室に入り、こともあろうに、同じ部活の佐藤や福田のところを回って、

「やっべぇ〜〜、見てくれよ・・・ここと、ここ・・・あ〜〜マジいってぇ〜〜!」

って、おケツの赤い二本線をみせびらかしていたッス。他の連中も薄目を開けて、興味津々ッス。

 楠木のケツについた赤い二本線のうち、上のうっすらとしたヤツは、今朝、剣道部コーチから、そして、下のちょっと濃い線は、ゴリから頂戴したものッス。

 もちろん、そんな楠木に、ゴリからは、

「コラァっ!楠木!きたねぇケツ、みせびらかしてねぇ〜で正座だ!正座して反省を続けろ!それから、おえめのブリーフの出席番号とクラス名の漢数字は、算用数字になおしておけ!!明日までだ!いいな!」

と、一喝ッス。 ブリーフのフロントに書くクラス名、出席番号、名前は、極太油性黒マジックで、消えないように濃く、そして、はっきりとデカく、数字は算用数字で、名前は漢字で書くのがゴリが決めた規則ッス。

「や、やば・・・ィ〜〜〜ス!」

と返事をして、楠木はブリーフのバックをあげてようやくケツを隠し、やっと自分の椅子の上に そぉ〜〜とケツに響かないように正座したッス。さすが剣道部。ケツ竹刀後の正座の仕方には慣れているみたいッス。

「よぉ〜〜し!次!12番久米!パンツ一丁になって、こっちへ出てこぉ〜〜い!!」

 次の12番久米は、技術工作部、そして、13番小平は音楽部。どちらも文化系部活で、ゴリのケツ竹刀、未経験者ッス。もちろん、今回の事件に関しては、1番の相原同様、実際のところ巻き込まれ組ッス。

 相原は、 ゴリに抵抗する勇気がないだけかもしれないッスけど、唯々諾々とゴリの指示に従い、いわば連帯責任の罰をパンツ一丁甘んじて受けていたッス。

 けど、久米と小平はちょっと違ったッス。 もちろん、いままで、「まぁ〜しゃあない」って、ケツ出してた運動部のヤツらの反応とも違っていたッス。

 久米は、体操服をつけたままで、廊下で竹刀片手に待ち構えているゴリのところまで来ると、

「まじめに音楽の授業を受けていたヤツもいるんです!それなのに、全員、竹刀で叩かれるなんて、不公平だと思います!!」

って、口をとんがらせて抗議し始めたッス。久米は、根が技術屋気質なのか、クラス一理屈っぽい野郎ッス。

 ゴリは、すでに予想していたのか、特に驚く様子もなく、久米の抗議を黙って聞いていたッス。

 久米の抗議を教室内で正座して聞いていたクラスの連中からは、

「ったく・・・アイツ、それでも、1Cかよ!」

「アイツ、俺たちの仲間じゃねぇ〜よ!!」

って、でかい声のつぶやきが、次々起こったッス。

 それを聞いて、1番前に座っていた13番小平も、廊下に出てきて、

「久米君の言うとおりです!授業をまじめに受けていたボクたちまで竹刀で殴られるなんて・・・ 絶対、納得いきません!!ボクは、音楽部なんで、谷岡先生の授業はいつもマジメにきいてます!!シューベルトの『鱒』だって、ボクの好きな曲の一つです!!!」

って、もう真っ赤な顔で必死にゴリに直訴ッス。二高の音楽部は、実質、吹奏楽部兼ブラスバンド部で、小平は、トランペット吹きッス。だから、小平って、水泳部のヤツらも顔負けの逆三角形の上体でガッチリした体格してるッス。でも、小平って、普段は物静かで、内面は繊細なんヤツなんスよね〜〜。もうすでに、泣きそうな顔してるッス・・・。

 教室で正座しているヤツらの中には、小平が 「 鱒(マス)」っていうのを聞いて、性懲りもなく、また「プッ・・・」って吹き出しているヤツも多かったッス・・・ったく、ほんとにこいつら面倒見切れないッスよ。

 一方、ゴリは、普段はおとなしい小平の「反抗」にちょっと面食らったようだったッス。けど、すぐに、

「おめえら、いいたいことはそれだけか?」

って言って、ギロリと二人を睨みつけたッス。

「そ、それだけって・・・」

と、久米は、さらに不満そうな口調で言ったッス。

「・・・・グスン」

 一方、小平は、もう半泣きッス。

 そして、ゴリは、

「じゃあ、聞くが、なんでおえめらは、その時、クラスの連中にもっとマジメに授業受けろとか、静にしろとかって、注意しなかったんだ?なんで、谷岡先生のこと助けてやらなかったんだよ?」

と、二人に聞いてきたッス。

 それに対して、久米は、

「そ、そんなのボクの責任じゃありません!注意するのはクラス委員長の高山の責任だと思います!!」

って、勝ち誇ったように言ったッス。

「バカヤロー!どっかで聞いてきたような小理屈いうんじゃねぇ!」 

と、ゴリは一喝。

 一方、小平は、

「ボ、ボクは、注意しようとしました!けど、けど・・・グスン・・・住谷君が、いきなりあんなこと言って・・・それで、突然、谷岡先生が怒り始めちゃって・・・だから・・・グスン・・・注意できなかったんです・・・グスングスン・・・」

って、もう目からあふれ出した涙を右腕で必死に拭きながら、ゴリに説明したッス。

 小平の口から、住谷って具体的な名前が出たのを聞いて、正座しているクラスの連中からは、

「ちぇっ!チクリがでちまったよ・・・」

との「デッカイ声のかなりはっきり聞こえる」ささやきが漏れてきたッス。

 そんなクラスのささやきが小平にも聞こえたのか、小平は、

「不公平だと思います・・・グスン・・・授業をまじめに受けていたボクたちまで 叩かれるなんて・・・ズゥ〜〜グスン!!」

って、泣きながらも、鼻をすすりながら、再度、必死でゴリに訴えてきたッス。

  共学校だと、泣き役は女子って相場は決まってるッスけど、男子校では、男が結構泣くんスよ〜〜。しかも、女子みたいにウソ泣きじゃなくて、男の場合、マジ泣きッス。

 男子校での生徒のマジ泣きに、男子校の男性教師は、ちょっと弱いッス・・・。

 女の先生の場合、

「ちょっと小平君!男の子でしょ!そのくらいで泣くんじゃありません!」

とか言うんでしょうけど、男同士の場合、

「コラァ!小平!男だったら、そんくらいのことで、泣くんじゃねぇ!」

って、いえる場合といえない場合があるんスよね〜〜。特に、男のプライドが微妙に関わってくると、そう単純じゃないッス。これは女の先生には絶対わからないことだと思うッス。

 男子校で、男の教師が生徒をきつく叱れるのは、生徒が泣かないって暗黙の前提があるからだと俺は思うッス。その前提が崩れると、まあ、生徒のキャラにもよるッスけど、こっちもちょっとばかし叱りづらくなるんスよね・・・。それはベテラン教師のゴリも例外じゃなかったッス。

「よぉ〜〜し!わかった!先生はもうなんにも言わん!俺の竹刀を受けるか受けないかは、おめえらに任せる。俺の竹刀を受けたかったら、とっととブリーフ一丁になって、そこに手をいてケツを出せ!それが嫌だったら、席に戻っていいぞ!さあ、どうする?」

 その場は、一瞬シ〜〜ンと静まりかえったッス。

 教室で正座しいてるヤツら全員、

「き、きったねぇ〜〜アイツらだけ、ケツ竹刀なし?」

「やっぱゴリって、頭のいいヤツには、甘いよな!」

「それこそ不公平じゃん!」

と思いながら、その薄目の視線を、廊下のゴリ、久米と小平の方へ、一斉に向けたッス。

「さあ、どうした!ケツを出すのか出さないのか!早く決めろ!」

 ゴリのその言葉に押されたのか、教室のヤツらからの「薄目視線」のプレッシャーに負けたのか・・・グスングスンと鼻をすすりながら、小平が、体操服を脱ぎ始めたッス。そして、ブリーフ一丁になると、教室の廊下側の窓のさんに両手をついてケツを後ろへ突き出し、

「お願いします!グスン!」

って、ケツ竹刀を願いでたッス。

 小平は、まじめに筋トレしているらしく、運動部員も顔負けの均整のとれた身体だったッス。とくに、上体は、腹筋もくっきり二つに割れていて、なにか、ブリーフメーカーのモデルの身体を見るようだったッス。

 久米にしてみれば、小平の「降伏」は、意外以外のなにものでもなかったらしく、

「マジかよ・・・ったく・・・不公平だよ・・・」

と不満そうな顔でつぶやきながらも、体操服を脱ぎ始めたッス。

 そして、高校一年にして、すでにちょっと腹がでてオヤジ体型の久米は、ブリーフ一丁になると、小平の隣に両手をついて、ケツを後ろへ突き出すと、

「お願いします!」

って、小平同様、ケツ竹刀を願いでたッス。小平の口調には、「ボク、こういうの、絶対、認めませんから!!」って言う悔しさがにじみ出ていたッス。

 目をつむって正座している教室の中の連中は、

「でしょ!そうこなくっちゃ!」

「やっぱ、アイツらも、オレたちと同じ、1Cだよなぁ〜〜」

とでも言いたげに、薄目を開けたままうれしそうに、何度も頷いていたッス。

 ゴリは、ケツを出した二人に、

「よし!おめえらに一つ教えといてやる!いいか、ここ二高では、楽しい時もつれぇ時も、クラス全員、一蓮托生だってこった!誰に責任があって誰に責任がねぇなんて、問題じゃねぇ!ここは一高じゃねぇんだ!クラスが仕出かしちまった騒ぎは、クラス全員で責任を取る!!それが二高のいいところなんだ!わかったか!?」

って、説教したッス。一蓮托生っつのは、運命を共にするってことッス。

「は、はい・・・グスン・・・」

と、小平。

 いつまでもベソをかいている小平に、

「小平!いつまでも泣いてんじゃねぇ!」

と、ゴリは一喝したッス。

 一方、久米からは、「・・・・・」って、返事はなかったッス。でも、久米に対して、ゴリは何も言わなかったッス。

 そして、竹刀を構えると、

「よし!おめえら、もうちょっとお互いに離れろ!」

って、二人に命令したッス。

 そして、久米と小平が、ケツ竹刀にちょうどよい間隔に離れると、

「俺の竹刀はちょっと痛てぇ〜ぞ!覚悟はいいか?しっかり足ふんばってケツを出し、歯をくいしばってろ!いくぞ! 」

と言ったッス。

パァ〜〜〜〜ン!!

パァ〜〜〜〜ン!!

 小平、そして、久米のケツに、ゴリのフルスイングの竹刀が、順番に、食いこむように着地したッス。

 二人とも、強烈な、焼けるような熱い衝撃をケツに受け、

「ひゃぁ!!」

「うぅ・・・・!!」

と、小平は悲鳴をあげ、久米はうめき声をあげながら、二人とも両手をケツにあてながら、その場にうずくまったッス。

「オラァ!そんなところにうずくまってねぇで、サッサと立って席にもどれ!」

と、ゴリは、いつもの厳しさに戻っていたッス。

「あ、ありがとうございました・・・」

「あ、ありがとうございました・・・」

と、久米と小平は、どうにか立ち上がって、ゴリに挨拶したッス。

 二人は、床にあった自分たちの体操服を拾うと、ケツを痛そうに擦りながら、俺が立っている教室の後ろのドアから、自分たちの席へと戻っていったッス。

 二人とも生まれて初めてのケツ竹刀が相当ケツに堪えたのか、久米は涙目、小平は、再び、泣き始めちまって、目から涙が溢れ出し、

「グスン!ズゥ〜〜〜!」

と、鼻を必死ですすっていたッス。

 俺は、久米と小平の二人の頭を撫でてやろうとしたッスけど、二人とも、俺とは目を合わせず、俺を避けるようにして、自分の席へと戻っていったッス。

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